拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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550 錬金術ってすごいんです(ただしノアに限る)2

楽しいお昼休憩中、リンクスの錬金術を補助する助手になりそうなゴーレムを錬成しようという話になった。

「ゴーレム……ですか?」
「ええと、主に迷宮ダンジョンに発生する岩や土などでできた、意思疎通の図れない魔物ですよね?」

リオラルとリンクスが戸惑うように聞いてくる。うん、普通はそう思うよね。でも俺の言うゴーレムは、ギギルル兄弟のお父さんに以前錬成したような、ちゃんと会話ができるタイプだよ。きちんと主従関係もある。

「あれとは別物だと思ってくれていい。あー、実際に見てもらう方が分かりやすいんだけど──あっ」

そうそう、いにしえの森にいるじゃん。毎日、顔を合わせてるんだし、記録媒体の魔導具で録画されてるアレを──

「ほらほら、これは小っさい猫獣人ぽいのだけど、こんなヤツ」

そう言って、俺は古の森でメーレのお世話をしているクルールのうちの二体を映し出した。
……そこには当然、畑仕事をするメーレもバッチリ移っているわけで。

「──っ母上!?」
「正妃様!?」
「……あっ、しまった」

リンクスとリオラルを筆頭に、その場にいた全員が驚愕の声を上げた。
そりゃあそうだよね、一国の王妃が野良仕事してたら、驚くよね。
これって不敬だとか……

「いや、単に元気な姿が見られて驚いただけだと思うぞ」
「ええ? でも、こんな扱いしてるのに。まあ、メーレ自ら、嬉々として畑仕事してくれてるんだけど」

アークが苦笑ながらもそう言うから、まあいいか。

「話には聞いていましたが、本当に元気になったんですね。よかった」
「うん。だいぶ体力もついてきて、落ちた体重も少しずつ戻ってふっくらしてきたでしょ。そうだ、あとでメーレの様子をまとめて、記録媒体を渡すね」
「ありがとうございます!」

思いがけずメーレのことで盛り上がってしまったが、本題はそれじゃない。

「それでね、メーレの周りに小っさい猫獣人ぽいのがいるでしょ。一五センチくらいの背丈のが二体」
「はっ、そうでした。えっと、はい。……確かにいますね。え、これ、ゴーレムなんですか?」

リンクスもリオラル達も興味津々で、再生中の映像に釘付けだ。周りから「可愛い」と言う声がいくつも聞こえる。でしょ。可愛いよね。

「まあこれは完全に俺の好みだけど、こんなふうにちゃんと会話はできるよ。ただ、リンクスの助手にするには小さすぎるから、せめて大人サイズにしようか」
「はい──え、大人サイズ?」
「助手だから、大きい物とか重い物とか持ってもらったりするし。それなら大きくないと困るよね。魔法で浮かすって手もあるけど、毎回はねえ」

魔力に反応する素材とかもあるし。

「でも、リンクスがいつも側に置いておくことになるゴーレムだから、リンクスの好みに錬成するよ。さっきみたいに、リンクスのイメージした魔力を合わせて錬成するから」

だから、しっかりイメージしておいてね。能力はあとから付与できるけど、容姿は最初から錬成し直さないといけないし。

「……私のイメージ。うう、難しい」
「そりゃあねぇ、さすがに人型のゴーレムだなんて急だもんね。でも、あんまり深く考えずに、側にいて癒されるとか、頼りがいがあるなんてことでもいいと思うよ」

すごく悩んでいるリンクスにアドバイスをしたら、少ししてから、顔を上げた。

「決めました。ノア殿、いえ、ノア師匠! ゴーレム錬成、よろしくお願いします!」
「え、あ……うん、分かった。じ、じゃあ、早速やろう。まずは素材を準備して──」

急になんて呼ばれて動揺しまくったけど、ゴーレム錬成に必要な素材を出していくうちに、何とか落ち着いた。
最後に、ここで大事な、肝心の魔石をいくつか取り出すとリンクスに見せる。

「リンクス、今回は大人サイズだから、そこそこ大きなものになるんだ。それで、合うサイズの魔石はこの五つ。ここからリンクスが気に入ったものを選んで」
「えと、はい。それにしても大きいですね。このサイズは、私、初めて見ます」

リンクスが魔石を見て、ちょっと引いている。おや? 他の皆も初めて?
リンクスの護衛騎士のアサギとモエギが「さすがノア殿、えげつない」って呟いてるけど、そんなに大きくないよ。俺の握りこぶしくらいだよ。

「ゴーレムの性能は素材もそうだけど、一番は魔石で決まるようなものだから、ここは奮発しないと。あとはリンクスの直感かな。心地いい魔力を持つ魔石なら、相性は抜群」

それで錬成したら、最高のゴーレムができるんじゃないかな?

そう言ったら、リンクスはゴクリと唾を飲み、真剣な顔で魔石の選定をし始めた。俺達は黙って、それを見守る。

魔石は緑、黄、赤、白、紫の五色。

リンクスは一つずつ手に取り、ジッと見つめている。最後の紫を手に取ったとき、目を瞠った。それからすぐに気持ちよさそうに目を細める。

「ノア師匠、これ、この魔石です」

リンクスは最後に手に取った紫色の魔石を、大事そうに俺に差し出した。その表情だけで分かるよ。とても相性のいい魔力だということに。

「うん、じゃあ始めようか」

俺はにっこり笑って言った。
こうして、アークもリオラル達も目にするのは初めてであろう、大人サイズのゴーレムの錬成が始まるのだった。





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