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連載
251 箱庭の迷宮 2
しおりを挟むギルドをあとにしたアーク達はそれぞれ自分達で必要なモノを確認し、ノアから魔導具やポーションなどを貰って装備も確認し、明日に備えて早めの就寝をした。
昨日はああ言ったが、アークは内心、気が気では無かった。
それはノアも同じだろう。
理由は分からないが、もし本当に銀色の瞳をターゲットにしているのなら・・・そんな危険を犯してまで迷宮の調査をしなくてもいいんじゃ無いか?
アークは本当はそう言ってノアを閉じ込めたかった。
だが、ノアの決断に異は唱えたくない。
番い至上主義の竜人の性質が恨めしいと思ったのはコレが初めてかもしれない。
---いいや、俺が護れば良いだけだ。
「・・・・・・アーク?」
ノアが囁く。
眠れないのだろう。
「何だ、ノア?」
「・・・あの、アークにぎゅってして、欲しいんだけど・・・」
上目遣いにそう懇願されて、イヤな気持ちが吹き飛んだ。
思わずぎゅうっと抱き締める。
「・・・・・・アーク、きっと、大丈夫」
「・・・ああ」
「もし、もしも・・・俺が消えても、探してくれるだろう?」
「当然」
「じゃあ安心だ・・・アークを、信じてるから」
---約束の口付けをして?
綺麗な顔で微笑んだノアが儚くて、今にも消えそうで・・・。
アークは大切そうに一度口付けしたあと、貪るように深い口付けをして、ノアは気絶するように眠りに落ちた。
翌朝、ノアが拗ねていたのを察したレオンやギギ達に生温かい目で見られて若干イラッとしたアークだった。
そして約束の時間にギルドに向かい、ギルマスのカフカや職員に挨拶をして『箱庭の迷宮』へと向かった。
案内と封鎖を解くため、サブギルマスのラミエルが同行する。
迷宮は魔人国の南に位置する。
魔人国の王城を背に南に向かう乗合馬車へと乗り込み、暫くして迷宮専用の門へと着いた。
「ここが迷宮の出入り口になります。今はギルド職員と警護のために冒険者を交代で待機させていて、自由には入れません。この前の王子の件は前ギルマスの勝手な振る舞いです。以後は有り得ませんのでご安心下さい」
「・・・・・・迷宮から出るとココに戻るのか?」
ラミエルの説明のあとにアークが聞いた。
他の迷宮のように門の付近にあるはずの転移の水晶が見当たらないからだ。
「そうですね、中に幾つか転移の水晶があるので、そのどれかに触れると勝手にこの出入り口に戻ります。広いですが階層が無いので、そういう仕組みになっているのですが・・・」
ラミエルが少し躊躇った。
そこにレオニードがツッコむ。
「行方不明者が出るようになってから、変わったか?」
「---ええ、行方不明者が出たときに限り、水晶に触れてもいないのに、弾かれるように迷宮から出ていたと言っていました。行方不明者が出ない時は今まで通りだそうです」
ラミエルの表情は変わらないが、声音はやや暗い。
「・・・邪魔だから外に追い出されたって感じか」
「選り好みする迷宮・・・・・・イヤすぎる」
「ははは・・・だな。弾かれないように頑張ろう」
ギギとルルがうへえっという顔でそう言うと、レオニードが思わず笑った。
「私は一旦ギルドに戻りますが、当番の職員と冒険者がおりますので、何かあればすぐにご連絡を」
「了解した」
代表してレオニードが応える。
ギルド職員と冒険者も頷いた。
「・・・・・・お気をつけて」
ラミエルとギルド職員が頭を下げる中、アーク達は遂に迷宮に足を踏み入れたのだった。
※今週末、業者さんが二日ほど工事に入るので、遅れるか更新出来ないかもしれません。
フラグいっぱいなのにスミマセン。
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