拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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274 閑話 カフカとラミエルの出逢い 1

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※暫く二人の出逢いから最近までの話が続きます。
短編並みに長いです。スミマセン。
色々とフラグ回収できますので、読んで下さると嬉しいです。






そもそもカフカとラミエルが知り合ったのは今からおよそ300年ほど前に遡る。

カフカは母に人族、父に魔人族を持つ混血だった。
容姿は人族の母に似てほっそり美人、特性は魔人族の父に似たようでかなりの剛力だった。

そのため、見た目詐欺とよく言われた。

母親は人族なので、当然普通に年老いて70代で天命を全うした。
竜人族だけは特殊で、番いと生涯を共に出来る秘術のようなモノがあると聞いたことはあるが、他はほとんどがその種族の寿命で終わる。

母と番った時に一度冒険者を引退した魔人族の父親は母を看取った後、冒険者になっていた息子カフカと共に再び冒険者として生きたが、とある依頼を遂行中に傷を負い、その命を散らした。

その時、カフカもまた瀕死の重傷を負って生死の境を彷徨った。

そこで彼の人生を狂わすような運命の出来事が起こったのだ。


---その依頼は、ここ魔人族の住む南の海に現れたクラーケンを討伐すること・・・。

漁港の近くに現れて、そこで漁をする者や村の人々に甚大な被害が出ていた。
当時すでにAランクだった二人は、他のAランク冒険者達と共に討伐依頼を受けて、万全の体制で臨んだはずだった・・・。

それが狂ったのは、冒険者の中にカフカに懸想していた者が含まれていたせいだった。

「---父さん!」
「カフカ! ソイツは俺が殺る!」
「---危ない! 父さん避けて!」
「っぐああ---!!」

あろう事か、その冒険者は戦闘中の混乱に乗じてカフカを拘束して連れ去ろうとしたのだ。
それに気付いた父親が男を斬り捨てた直後、クラーケンに襲われて致命傷を負い、間もなく息を引き取った。

連係が乱れたカフカ達にクラーケンは手強かったが、カフカが魔力枯渇になってまで殲滅魔法を展開し、何とか倒した。

だがその時、カフカの霞んだ瞳に一人の青年が映った。

その場に偶然居合わせたのは、下半身が魚の、稀少種で数も定かで無い幻と言われる種族『セイレーン』の青年。

倒したはずのクラーケンが最後の悪足掻きとばかりに触手を彼に振り下ろし---。

カフカは魔力枯渇でクラクラする体を何とか動かすと彼と触手の間に割り込み、庇った。
そのお陰で青年は無事だったようだ。

クラーケンはその後力尽き、カフカも重傷を負って生死の境を彷徨った。
だが、先ほど父親が亡くなり、生きる気力を失ったカフカはこのまま父親のあとを追えると酷く安堵したのだ。

---しかしそれは叶わなかった。

意識の無いカフカの口の中を、血の味が満たす。
彼・・・セイレーンが自身の血をカフカに飲ませていたのだ。

それに気付いたときには、すでに彼は消えていて、自分の体が妙に軽いことに気付く。

瀕死の重傷だった傷が塞がっていたのだ。

幸い、他の冒険者達はその現場を見ておらず、セイレーンの青年の事も知られずに済んだ。

---稀少種の彼を見つけたら、彼等に拘束されて王侯貴族達に売られ、一生飼い殺しだったろう。
先ほどの俺もあのまま拘束されていたら、監禁されいたぶられてきっと同じような目に・・・。

それを思うと助かったことに酷く安堵した。

結局カフカは、ポーションで傷を直したと嘘を吐いて亡くなった父親を担いで冒険者ギルドに戻り、母親の墓の隣に丁重に弔うと、再び冒険者稼業に身をやつした。

「---父さんが救ってくれた命だ。・・・そしてあの青年にも救われた・・・。俺は生きねば」

幸いカフカは魔人族の特性が強いから、そんじょそこらの魔物に殺られることはほとんど無い。
まあ、見た目詐欺で性的に襲ってくる輩はかなりいたが、全て返り討ちにした。

がむしゃらに迷宮を踏破した。
PTを組まないかという誘いは山ほどあったが、皆、すげなく断った。

その事に憤る冒険者も多かったが、そんな時はあの討伐の事の顛末を知っている冒険者ギルドの職員が宥めすかしながら説明をしてくれた。

アレから自分以外のヤツを信用できない。
PTなんてまっぴらごめんだった。

---やがて二つ名『漆黒のカフカ』という呼び名が定着する。


そうしてSランク冒険者になった頃、自身の体の異常に漸く気付いたのだった---。


アレから今までも怪我を負っても瞬時に塞がり、傷痕も残らなかったし、病気にもかからなかった。
何より、あの時からゆうに100年は経っているのに、姿形が当時のまま---。

髪も爪も伸びたし、排泄だって普通にある。
腹も減るし眠くもなる。
性欲も淡白だがそこそこあった。

まあ、混血の割に体は丈夫だな、と思わなくもなかったが、魔人族の特性が強いからだと思っていた。

寿命だってそれなりに長い種族だったから。

でも・・・。

あまりにも成長しない体にふと違和感を覚えて、そして記憶の中から青年を思い出し・・・。

それから青年の種族・・・『セイレーン』の言い伝えを思い出したのだ。


『セイレーン』の血肉には不老不死の力が宿っている---と。


眉唾ものだったが、そのせいで彼等は他の種族から狩られ、拉致され、酷い仕打ちを受けて、姿を隠したのだと・・・。

不老くらいはあるだろうが、不死は無い。
なぜなら、拉致されたセイレーン達は皆、亡くなっているからだ。

当時の状況を鑑みて、やはり彼は善意で俺を助けるために血をくれたのだと改めて思う。
おそらく治癒的な意味合いで分け与えたのだろうが、偶然にもカフカの体に適合したのだろう。

だからきっと、カフカはあれからになったのだ。

・・・試す気は無いが、おそらく、ほぼほぼ死なない体になっていると思われる。
浅い傷は付いた瞬間に消え、深く刺されようとも瞬きのうちに直る。

手足や首も切れたそばから塞がるので、損壊も無いのだろう。

自身の意志は関係ない。
常時発動パッシブでそうなのだから、おそらく死ぬことは無い。


---俺はコレから、本当の意味で独りで生きていくのか。

父親や青年の為にも、と頑張って生きてきた足元が崩れていく瞬間だった---。






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