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452 獣人国と竜王国の協力体制
しおりを挟むそんなこんなで色々あったが二国で協力する事が決まったため、今のうちにお互いの影のリーダーの顔合わせをこのまますることになった。
竜王国側は今まで表に出ることが無かったヴァルハラ大公家の影とリュカリオン殿下の影を、獣人国側は王太子殿下の影・・・・・・だけのはずだが。
『---何? 陛下の影を?』
『ええ。どうやら王太子殿下に一時的に権限を移すそうです』
リオラルに宰相がそう告げているのが聞こえた。
竜王国側は「おや?」と首を傾げた。
さっきまでリオラルの影だけだと思っていたからだ。
それがどうやらレナード王の影も使えるようになったらしい。
『一体どういう風の吹き回しだ?』
リオラルが怪訝そうにそう言うと、天井の方から応えるように声が聞こえてきた。
『今は日に何度か花が咲いて落ち着いておりまして。周りの諫言を素直に聞き入れるようになりました』
獣人国側のやり取りを黙って聞いていたウラノス達にも聞こえた、第三者の声。
印象に残りにくい、高くも低くも無い特徴の無い声音。
彼が獅子王レナードの影なのだろう。
黒ずくめの衣装で顔も分かりづらいが相当の手練れのようにみえる。
年齢は不詳だが雰囲気はリオラルよりも年上に感じる。
『お前は陛下の影のリーダー、だな?』
『はい。影故、名はございませんのでセロとお呼び下さい』
『分かった。セロ、話は聞いていたな? 今回、竜王国と手を組んで一緒に動いて貰うことになるから、あちらの影と顔合わせをしてこちらの取り纏めをしてくれ』
リオラルが音も無く側に降り立ったセロという影にそう告げると、セロは無表情で応えた。
『王太子殿下の方の影のリーダーはどうするので?』
『お前が今回は頭になってくれ。すまないがディエスはサブに回ってくれるか』
『畏まりました』
そう言ってこちらもやはり相当な手練れの影が一人降りてきた。
セロよりは年下のようだ。
不平不満を言うこともなく淡々としている。
黙って聞いていたウラノス達はキリの良さそうなところで声をかけた。
「そろそろこちらも紹介してよろしいですか?」
『あ、すみません。お願いします』
ウラノスの声にハッとした宰相が慌てて応えた。
それでは、とウラノスはヴァルハラ大公家の影のリーダーを紹介する。
「こちらが我が家の影のリーダーでサンです」
「サンと申します」
ウラノスから紹介されたサンはひょろりとした体型の竜人だった。
こちらは黒ずくめではないが暗色の腰までのローブを身に纏い、フードで顔が見えない。
無口な男だった。
「それともう一人、リュカリオン殿下の影ですが、ただいまリュカリオン殿下と共にこちらに向かっておりまして・・・・・・」
ウラノスがそう言ったときにノックがあった。
「失礼します。リュカリオンです」
「ああ、ちょうど良いところに。入って下さい」
ウラノスの声に護衛騎士・・・・・・に扮したルドヴィカが扉を開けた。
その顔がニヤけている。
ウラノス達はそれを見てこの後の状況を察した。
「失礼します。私の影を連れて参りました---っ、おいルドヴィカ、何故ここにいるんだ! オイコラ、何しれっと近衛騎士の制服を着ている?!」
「今の私は護衛の近衛騎士の一人ですよ?」
「馬鹿かお前! 魔法騎士団はどうした! 相変わらず巫山戯てるな!」
入った途端ルドヴィカに気付いたリュカリオンがぎゃいぎゃい騒ぎ出して、今度は獣人国側がポカンと聞き入った。
騒ぐ二人の横を淡々とすり抜けてウラノス達に近付くラン。
「お待たせいたしました。リュカリオン殿下の専属護衛の影のランです。こんなナリでもとっくに成人済みだし嫁もいるので安心して下さい」
そう無表情にランは告げた。
金のふわふわの髪に狼の耳、蜂蜜色のやや垂れ目の可愛らしい顔だがピクリともしない表情筋。
着ている服は文官の制服のようだ。
竜人の中では小柄で若干目立つし、影だというのにその外見を全く隠そうとしないところが影っぽく無かった。
呆気にとられているリオラル達に、ウラノスが苦笑して言った。
「彼はあの見た目に反して仕事はかなり出来る子なので安心して下さい。普段は諜報も兼ねてああいった格好をしています。今は無表情ですが嫁にはデレデレで、クーデレなんです。今回の香水の調査も彼がやりましたので」
そう言うとリオラル達は驚いていた。
「ランは凄く出来る子なので安心して下さい!」
さっきまでルドヴィカと騒いでいたリュカリオンがいつの間にか通信魔導具のところまで来て力説した。
「私の大切な影なのです。よろしくお願いします!」
それを聞いて、嬉しそうにランがほんのり笑って。
それを見たリオラルが顔を赤くしたのでリュカリオンはリオラルをビシッと指差して叫んだ。
「ランは既婚者だからダメですよ! 見た目金狼ですが半分竜人なので、番い至上主義です! というかウチの子に手は出さないで下さい!」
「リュカリオン殿下、誰も出しませんって。ラン本人に速攻殺されますよ。あ、嫁にも殺されるか」
「ああお前ら、夫夫揃って強いもんな。じゃあ大丈夫か」
リュカリオンが一人で暴走してルドヴィカの言葉に納得する。
ウラノス達はそれを呆れたように見ていたが、脱線してわちゃわちゃとなった部屋の中でそれでも淡々と影同士のやり取りが続いていて。
「『じゃあそう言うことで』」
いつの間にかお互い打ち合わせが終わったと双方に報告をしてお開きとなったのだった。
「---ルドヴィカのせいで調子が狂った」
リュカリオンが頭を押さえて呟く隣でルドヴィカは笑っていた。
「何時ものことでしょ。どうせなら楽しまないと!」
コレでまたアーク達に良い土産話が出来たとほくほく顔のルドヴィカだった。
※一応、影同士の顔合わせ終わり。
ランは通常は無表情で、嫁さん絡みだと喜怒哀楽出ます。仕事では割り切って役になりきるので笑ったり泣いたりしますよ。
若干寝不足で誤字や文章おかしいところあるかも。気付いたら修正します。
今日も寒くてチラチラ雪が舞ってました。
猫はこたつで丸くならない。外に脱走します。追いかける方の身にもなれ。
※若干文章を加筆修正しました。
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