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連載
485 獣人国における幻獣(フェンリル)伝説
「この獣人国の建国前にまで時は遡りますが・・・・・・」
そう言って静かに話し出したオウランによると───。
獣人国が建国される前、この大陸には頂点を極める竜王国の他には魔人国があるくらいで、あとは様々な種族が少数部族として小さな村を作っているくらいのものだった。
その中でも人族は力も弱く寿命も他種族に比べると遥かに短く、長くても八〇年ほど。
だが繁殖力は驚くほど強く、発情期という期間がなく、何時でも子供を孕みやすかった。そのため人口は爆発的に増えていき、やがて村は街へ、街は国へと規模を広げていった。
その上、手先が器用だった。力の弱い自分達が生き残るために特化していったのだろう頭の良さで様々な魔導具を作り、やがて魔物を倒すための魔導具を他種族を排除するものに進化させ、人族の住処を広げようとし始めた。
細々と自分達のコミュニティの中で自然と共に暮らしていた獣人族はその魔導具で襲われ、人数的にも不利なために逃げるしかなかった。
人族にとっては獣性を持つ獣人は彼等と同等の存在ではなく、その辺の無害な獣や魔物と変わらなかったのだろう。
だから住処を奪っても罪悪感などなかったに違いない。
そうして追いやられた獣人達は、途方に暮れながらも人族の国から離れるように移動した。
そんな獣人達がある森に集まりだす。
───現在の獣人国の側にある古の森。
そこに自然と辿り着いた獣人達は小さいながらも村を作り、森の浅いところで魔物を狩り、薬草を採って薬を作り生活をしていた。
そのうち噂を聞いたらしい獣人達があちらこちらからやって来るようになった。
しかし獣人が増えれば当然住む場所も狭くなるし獣人同士のトラブルも起きる。
ちょうどこの頃、村のリーダー的存在だった金獅子の青年が古の森の浅い場所で氷の幻獣フェンリルを見かけ、偶然にも意気投合して友誼を結んでいた。
金獅子の青年はフェンリルに言った。
『今の住処では狭すぎる。古の森には手をつけないから、こちらの森を開拓するのを手伝ってくれまいか』
フェンリルは面白そうだと笑い、青年の望む森の開拓を己が魔法で手伝ってやった。
氷の魔法で森に巣喰う数多の魔物を凍らせて絶命させたあと、風魔法で生い茂る木々を薙ぎ払った。
一度で五〇〇平方メートル近くが更地になった。それを何度行ったのか・・・・・・一日もかからずに森は切り拓かれ、現在の獣人国の下地が出来たのだった。
そこに新たな家を建て、畑を作り、獣人は増え続けてすでに国といっていい規模になっていた。
そして皆の推薦で金獅子の青年はやがて獣人国を名乗り初代国王になった。
その傍らには気紛れに幻獣フェンリルが寄り添う姿が見られたという。
「───ということで建国に一役買っているのがフェンリル様だったという訳なのです」
「代々金獅子が王になっているのはそう言う理由なのです。初代様のお口添えがなければ国など早々に作れませんもの!」
「獣人国はフェンリル様が作ったと言っても過言ではないでしょう。おかげで私達は今、平和に暮らせているのですから」
オウラン達が口々に陶酔したように話しているが、当の本人? 本狼? はどう思っているのか。
「・・・・・・ヴァン」
『・・・・・・うむ。まあ、結果だけを見ればな? 間違ってはいないな』
若干ジト目で見つめてやれば目を泳がせるヴァン。これ絶対、面白そうだってだけで考えなしに切り拓いたなと察した俺とアーク。
「初代国王と本当に友人だったの?」
『それは間違いない。彼奴はいいヤツだった。死に際にこっそり会いに行って、枕元でくだらないことを死ぬまで話して聞かせてやったら、微笑んで逝ったよ』
静かにそう話すヴァンに、俺達はかける言葉がなかった。
本当に、大切な思い出を話すような声だったから。
そう言って静かに話し出したオウランによると───。
獣人国が建国される前、この大陸には頂点を極める竜王国の他には魔人国があるくらいで、あとは様々な種族が少数部族として小さな村を作っているくらいのものだった。
その中でも人族は力も弱く寿命も他種族に比べると遥かに短く、長くても八〇年ほど。
だが繁殖力は驚くほど強く、発情期という期間がなく、何時でも子供を孕みやすかった。そのため人口は爆発的に増えていき、やがて村は街へ、街は国へと規模を広げていった。
その上、手先が器用だった。力の弱い自分達が生き残るために特化していったのだろう頭の良さで様々な魔導具を作り、やがて魔物を倒すための魔導具を他種族を排除するものに進化させ、人族の住処を広げようとし始めた。
細々と自分達のコミュニティの中で自然と共に暮らしていた獣人族はその魔導具で襲われ、人数的にも不利なために逃げるしかなかった。
人族にとっては獣性を持つ獣人は彼等と同等の存在ではなく、その辺の無害な獣や魔物と変わらなかったのだろう。
だから住処を奪っても罪悪感などなかったに違いない。
そうして追いやられた獣人達は、途方に暮れながらも人族の国から離れるように移動した。
そんな獣人達がある森に集まりだす。
───現在の獣人国の側にある古の森。
そこに自然と辿り着いた獣人達は小さいながらも村を作り、森の浅いところで魔物を狩り、薬草を採って薬を作り生活をしていた。
そのうち噂を聞いたらしい獣人達があちらこちらからやって来るようになった。
しかし獣人が増えれば当然住む場所も狭くなるし獣人同士のトラブルも起きる。
ちょうどこの頃、村のリーダー的存在だった金獅子の青年が古の森の浅い場所で氷の幻獣フェンリルを見かけ、偶然にも意気投合して友誼を結んでいた。
金獅子の青年はフェンリルに言った。
『今の住処では狭すぎる。古の森には手をつけないから、こちらの森を開拓するのを手伝ってくれまいか』
フェンリルは面白そうだと笑い、青年の望む森の開拓を己が魔法で手伝ってやった。
氷の魔法で森に巣喰う数多の魔物を凍らせて絶命させたあと、風魔法で生い茂る木々を薙ぎ払った。
一度で五〇〇平方メートル近くが更地になった。それを何度行ったのか・・・・・・一日もかからずに森は切り拓かれ、現在の獣人国の下地が出来たのだった。
そこに新たな家を建て、畑を作り、獣人は増え続けてすでに国といっていい規模になっていた。
そして皆の推薦で金獅子の青年はやがて獣人国を名乗り初代国王になった。
その傍らには気紛れに幻獣フェンリルが寄り添う姿が見られたという。
「───ということで建国に一役買っているのがフェンリル様だったという訳なのです」
「代々金獅子が王になっているのはそう言う理由なのです。初代様のお口添えがなければ国など早々に作れませんもの!」
「獣人国はフェンリル様が作ったと言っても過言ではないでしょう。おかげで私達は今、平和に暮らせているのですから」
オウラン達が口々に陶酔したように話しているが、当の本人? 本狼? はどう思っているのか。
「・・・・・・ヴァン」
『・・・・・・うむ。まあ、結果だけを見ればな? 間違ってはいないな』
若干ジト目で見つめてやれば目を泳がせるヴァン。これ絶対、面白そうだってだけで考えなしに切り拓いたなと察した俺とアーク。
「初代国王と本当に友人だったの?」
『それは間違いない。彼奴はいいヤツだった。死に際にこっそり会いに行って、枕元でくだらないことを死ぬまで話して聞かせてやったら、微笑んで逝ったよ』
静かにそう話すヴァンに、俺達はかける言葉がなかった。
本当に、大切な思い出を話すような声だったから。
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