拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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484 近況報告会

※最初の方、少し加筆しました。メーレ王妃の体調のことが言葉足らずだったので。途中もちまちま修正しました。大筋は変わらないです。



オウラン達の驚きように、アークの背中でちょっとぴるぴるしてた俺はキョトンとした。

「あー、メーレの居場所って言ってなかったっけ?」
「・・・・・・そういえば、攫ったきり放置してたかも」

アークが思い出すように顎に手をあてている。俺も記憶を浚って見たけど、うん、言った記憶ないね。

「・・・・・・いや待てよ。確かメーレの息子のフィフス王子にはギギ達の友人を介して言ったはずだ」
「じゃあそこから国に伝わってないってこと?」

俺達がそう確認していると、オウランが慌てて言った。

「いえ、あの、竜王国との二回目の対談の時に教えて頂きました。───その場にいた私と王太子殿下、護衛騎士は聞いております」
「私も宰相閣下から窺っております」

パンテラも知っていたようだ。それを聞いて思わずティンバーを見るが、彼は首を横に振った。

「私は、初耳です」
「ええ、このことはその場の者達以外は口外禁止にしましたので。万が一、陛下のお耳に入ればまた暴走されると思い・・・・・・」

オウランが渋い顔でそう言った。そういえば確かに何かと暴れていたらしいし。

「それは賢明な判断だな」
「なので騎士団長も内密に」
「了解しました」

アークがうんうんと頷き、ティンバーも納得した。いやこの国のトップ、何やってんの?

「じゃあティンバーさんはともかく、二人は何に驚いたの?」

俺は疑問に思って尋ねた。所在地が分かってたならどうして驚いたんだ?

「いえ、それは王妃殿下が何やらすでに元気そうな口振りだったので、つい・・・・・・」
「ああ、メーレがいるから大丈夫って? 確かにそうか。寝たきりの人に使う言葉じゃないね。あのあとメーレはだいぶ元気になったんだよ」
「今じゃもう、近い距離なら一人で歩けるぞ」
「───何と! 本当ですか? よかった」

アークの背中からそろっと出てきた俺はオウラン達とアークを見て言った。

「この際だからお互いの情報を出し合って話をまとめた方がいいかも。ね、アークもいい?」

さすがに王妃が嬉々として畑仕事してるとは言えないけどね。

「そうだな。齟齬が生じてややこしくなるよりいいだろう。───ただし獅子王には内密で」
「───あー、うん。内緒で!」
「もちろんです!」
「はい!」
「同感です」

この場にいる俺達五人全員が獅子王レナードに対する認識を同じくしたのだった。
だってねえ・・・・・・王様なのに暴走して、周りを見て動けないなんてダメダメだよね。竜王陛下ウチだってそこら辺は弁えてるよ、少しは。

そんな訳で新しいお茶を淹れて貰って、俺はマジックバッグに常備しているお茶請け用の焼き菓子を提供した。
それを摘まみつつ、お互いの情報を出し合う。

「とりあえず、お互い何処まで知っているかの確認からだな」
「それを最初にしないとですね」

アークが進行役を買って出てくれた。オウランも慣れているようで一緒に進めてくれるから、俺はのんびりお茶を飲む。

「あの、今更ですが。こんな重要な機密事項にあたるような会話に、私が混じっててよろしいので?」

ティンバーがおずおずと手をあげて発言をした。いや今更だよね。

「メーレ王妃の居場所を聞いた時点で巻き込まれてるし、大体ヴァンを連れて来てるところからすでに終わってる」
「・・・・・・分かりました」
「それにヴァンが大人しく膝に乗ってるから任せた」
「嬉しいですが・・・・・・複雑です。フェンリル様を膝上になんて畏れ多い、いやでもすでに抱っこしてきたし・・・・・・」

なんて呟くティンバーに苦笑する。
ヴァン、本当に何をやったの? と気にはなったが今はこっちが重要だから意識を切り替えて。

「竜王国の獣人国の対談の内容はご存知ですか?」
「ああ、それは俺が父ウラノスから聞いている。そっちよりも王妃の不調に関してのことと今回の騒ぎのことを詳しく知りたい」

アークの言葉に俺も頷く。

「分かりました」

オウランも頷き、お茶を一口飲んで唇を湿らせると話し出した。

「王妃殿下に盛られた毒を作ったのが錬金術師ギルドということで今回の捕り物になったのですが、薬師ギルドにも関与が認められて数名捕縛してます」
「それでさっき捕まえたばかりってこと?」
「ええ。今頃は王城の地下牢に入れられて事情聴取をする準備が行われているでしょう」
「なるほど」

一応、錬金術師ギルドが悪事を働いた証拠があって動いたんだね。そこにヴァンがたまたま居合わせて、臭いで一番怪しいヤツを指摘したと。
それでお忍びがバレて俺にお仕置きされてるわけだ。

「でもいくらなんでもヴァン──フェンリルの言うことを鵜呑みにしすぎてない? 適当なこと言ってるかもしれないのに」

俺はヴァンを信じてるけど、俺とは違う意味だと思う。獣人国の人達ってフェンリルに盲信的な感じだよね? 尊敬を通り越して崇めちゃってる感じ?

「───それは、フェンリル様を敬うのは我等の勝手であって、例え騙されようともフェンリル様は我等の理から外れた存在ですので怒りはありません」
『そうそう。我は一言も崇め称えろとは言っておらんぞ』

オウランの言葉に、ティンバーの膝で拗ねていたヴァンがボソッと言った。

「ええ、そうです。史実にもその様なことは一言も書いてありません。我等が勝手にそうしているだけなのです」
「私達は先祖代々受け継がれる昔話を聞いて感謝し、敬っているだけなのです」

オウランに続き、パンテラもそう言った。ティンバーも頷いている。

「・・・・・・なんでそこまで? ていうかヴァン、獣人国で昔、何かやらかしてたの?」

俺は意味が分からず、ヴァンにそう尋ねていた。アークも俺と同じようだった。

「俺も知らないな。父達なら何か知っているのかもしれないが・・・・・・」
「では、僭越ながら私からお話させて頂きます」

そう言って話し出したオウランに、俺とアークはフェンリルの力を改めて知るのだった。







※やっとヴァンと獣人国の関係が!?




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