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番外編
そうだ、海に行こう! (中)
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「酷い妄想だと言ったんだよ、ナタリー」
女将の言葉に周りはポカンとした。
僕達も例外ではない。
「そ、そんな・・・酷いのは女将さんでしょ?! 何でそん・・・」
「だってその方『ユーリさん』じゃないもの」
「・・・・・・へ? だって、あの人がユーリって呼んで・・・え?」
「その方は以前からこちらの宿を利用して下さっている冒険者の方です。間違ってもあなたの言う『旅の商人』の『ユーリさん』では有りません。そもそも『ユーリさん』は人族でしょう?」
「そうですけど」
それを聞いて俺をチラッと見た2人・・・とその他大勢。
はぁっと溜息を吐いて髪をかきあげる。
「俺はハイエルフだ。人違いどころか種族違いだな。・・・・・・気は済んだか?」
エルフの特徴で有る長い耳を曝して告げる。
今度こそ女は黙った。
よし、誤解は解けた。
今のうちだな、と踵を返すと女将さんから声がかかった。
「大変ご迷惑をおかけしました。宿代は結構ですので、是非とも当宿でおもてなしをさせて頂けませんか?」
「断る。女将さんが悪いわけじゃないが、連れがとてもじゃないが拒絶しててね。今回は別の宿を取るよ」
「・・・・・・大変申し訳ございませんでした。次回はご利用頂けるように精進致しますので、どうかご容赦下さいませ」
「・・・・・・二度はないよ」
「ありがとうございます」
そう言って俺達が離れるまで頭を下げ続けた女将さんは出来た人だった。
でもあの女は駄目だ。
俺達は耳もいい。
聞こえてないと思っているんだろうが、しっかり聞こえてた。
『どうしてアタシが悪者みたいになってるのよ! ちょっと間違えただけじゃない! ただの冒険者なんでしょ?! 何様よ!』
自分は一つも謝らずに、自分の事だけ。
どっちが何様だ。
あの女がいる限りあそこには二度と近づかないと誓った。
ギルマスにも言っておこう。
結局、さっきの宿からかなり離れた高台の所にある、閑静な宿に泊まった。
値段はかなりしたが、稼いでいるので問題ない。
敷地内に10棟の離れが立っていて、一軒家のようだ。
食事は宿の中の食堂か、離れに運んで貰うかを選べる。俺達は今日は離れで取ることにした。
色々と疲れたのだ。
「・・・・・・はあ、なんだな、精神的に疲れたな」
「本当にね、せっかくの初日がアレって」
ランはめちゃくちゃ怒っていた。
周りに出る被害を考えてもの凄ーく我慢していたけども。
「先に湯を浴びてサッパリしよう。気分転換にもなるぞ」
ランにそう言うと、さんせーっ!と諸手を挙げてはしゃいだ。
そういうとこ、子供だな。言わないけど。
早速素っ裸になって湯船に飛び込むラン。
慎みとか羞恥心とかないんかい。
まあ、俺達には今更な話だけどな?
思わずいちゃいちゃしてしまったが。
夕ご飯の時間があるのでほどほどにして出た。
お風呂上がりに涼んでいると食事の用意をしに宿の従業員が来た。
「お食事のご用意をさせて頂きます」
そう言って手際よく皿を並べていく。
海の街なだけあって海鮮料理だ。
新鮮だからか、刺し身もあった。
ランが目を輝かせている。
早く食べたくてウズウズしているのが可愛い。
「後で伺いますので、食器はワゴンに乗せて廊下に出して置いて下さい」
「ありがとうございます」
「ではごゆっくりどうぞ」
そう言って去っていった従業員を見送り、料理に釘付けのランを見て苦笑した。
お預けされた竜って・・・・・・。
思わず『ヨシ!』って言いそうになっちゃったよ。
「ラン、料理は逃げないよ。ほら、頂きます」
「頂きます!」
早速、刺し身を一口。
「うんまあ---っ!」
「うん、美味い・・・ぅあ、ツンときた!」
わさびだっけ。
美味しいけど付けすぎた!
魚の煮付けも美味い。
ご飯にも合う。
「はー、食った。もう、無理」
「美味しかったねえ! 幸せだ」
ランの機嫌も直ったし、よかった。
じゃあ寝るか、となったときにランがギラリとした目をしていて、やばいと思った。
食欲が満たされて、今度は性欲かあ!
まあ、俺に拒否する気はないし、ランの好きにしてくれって感じで、はい。
朝までコースでした。
もちろん防音結界の魔法付きで。
その日は昼過ぎまで起きれなかったが。
ユーリが宿の受付の女に変な言いがかりをつけれた。
結婚の約束?
冗談じゃない!
ユーリは僕の番いなの!
イライラして殺気が漏れる。
でもここで大騒ぎにしたくない。我慢我慢!!
宿の女将が来て事態を収拾してくれた。
はあ?
人違いどころか種族違いって馬鹿なの?
どうせ顔しか見てないんだろう!
ユーリは確かに格好いいけどね!
それにしても結局謝るどころか悪態をつくばかりで駄目だね、あの女。
二度と見たくない。
結局、高台の閑静な離れのような造りの宿に泊まる事になった。
部屋に食事を運んでくれるって言うから頼んで、先にお風呂---!
テンションマックスで迎えたご飯は、SASIMIが!!
いや刺し身が!!
テンションおかしくて脳内もバグった。
ヒャッホイ!!
うまうま、サイコー!
ユーリも美味しそう・・・・・・。
ご馳走様の後にユーリも美味しく頂きました。
こっちもご馳走様!
朝までゴメンね?
女将の言葉に周りはポカンとした。
僕達も例外ではない。
「そ、そんな・・・酷いのは女将さんでしょ?! 何でそん・・・」
「だってその方『ユーリさん』じゃないもの」
「・・・・・・へ? だって、あの人がユーリって呼んで・・・え?」
「その方は以前からこちらの宿を利用して下さっている冒険者の方です。間違ってもあなたの言う『旅の商人』の『ユーリさん』では有りません。そもそも『ユーリさん』は人族でしょう?」
「そうですけど」
それを聞いて俺をチラッと見た2人・・・とその他大勢。
はぁっと溜息を吐いて髪をかきあげる。
「俺はハイエルフだ。人違いどころか種族違いだな。・・・・・・気は済んだか?」
エルフの特徴で有る長い耳を曝して告げる。
今度こそ女は黙った。
よし、誤解は解けた。
今のうちだな、と踵を返すと女将さんから声がかかった。
「大変ご迷惑をおかけしました。宿代は結構ですので、是非とも当宿でおもてなしをさせて頂けませんか?」
「断る。女将さんが悪いわけじゃないが、連れがとてもじゃないが拒絶しててね。今回は別の宿を取るよ」
「・・・・・・大変申し訳ございませんでした。次回はご利用頂けるように精進致しますので、どうかご容赦下さいませ」
「・・・・・・二度はないよ」
「ありがとうございます」
そう言って俺達が離れるまで頭を下げ続けた女将さんは出来た人だった。
でもあの女は駄目だ。
俺達は耳もいい。
聞こえてないと思っているんだろうが、しっかり聞こえてた。
『どうしてアタシが悪者みたいになってるのよ! ちょっと間違えただけじゃない! ただの冒険者なんでしょ?! 何様よ!』
自分は一つも謝らずに、自分の事だけ。
どっちが何様だ。
あの女がいる限りあそこには二度と近づかないと誓った。
ギルマスにも言っておこう。
結局、さっきの宿からかなり離れた高台の所にある、閑静な宿に泊まった。
値段はかなりしたが、稼いでいるので問題ない。
敷地内に10棟の離れが立っていて、一軒家のようだ。
食事は宿の中の食堂か、離れに運んで貰うかを選べる。俺達は今日は離れで取ることにした。
色々と疲れたのだ。
「・・・・・・はあ、なんだな、精神的に疲れたな」
「本当にね、せっかくの初日がアレって」
ランはめちゃくちゃ怒っていた。
周りに出る被害を考えてもの凄ーく我慢していたけども。
「先に湯を浴びてサッパリしよう。気分転換にもなるぞ」
ランにそう言うと、さんせーっ!と諸手を挙げてはしゃいだ。
そういうとこ、子供だな。言わないけど。
早速素っ裸になって湯船に飛び込むラン。
慎みとか羞恥心とかないんかい。
まあ、俺達には今更な話だけどな?
思わずいちゃいちゃしてしまったが。
夕ご飯の時間があるのでほどほどにして出た。
お風呂上がりに涼んでいると食事の用意をしに宿の従業員が来た。
「お食事のご用意をさせて頂きます」
そう言って手際よく皿を並べていく。
海の街なだけあって海鮮料理だ。
新鮮だからか、刺し身もあった。
ランが目を輝かせている。
早く食べたくてウズウズしているのが可愛い。
「後で伺いますので、食器はワゴンに乗せて廊下に出して置いて下さい」
「ありがとうございます」
「ではごゆっくりどうぞ」
そう言って去っていった従業員を見送り、料理に釘付けのランを見て苦笑した。
お預けされた竜って・・・・・・。
思わず『ヨシ!』って言いそうになっちゃったよ。
「ラン、料理は逃げないよ。ほら、頂きます」
「頂きます!」
早速、刺し身を一口。
「うんまあ---っ!」
「うん、美味い・・・ぅあ、ツンときた!」
わさびだっけ。
美味しいけど付けすぎた!
魚の煮付けも美味い。
ご飯にも合う。
「はー、食った。もう、無理」
「美味しかったねえ! 幸せだ」
ランの機嫌も直ったし、よかった。
じゃあ寝るか、となったときにランがギラリとした目をしていて、やばいと思った。
食欲が満たされて、今度は性欲かあ!
まあ、俺に拒否する気はないし、ランの好きにしてくれって感じで、はい。
朝までコースでした。
もちろん防音結界の魔法付きで。
その日は昼過ぎまで起きれなかったが。
ユーリが宿の受付の女に変な言いがかりをつけれた。
結婚の約束?
冗談じゃない!
ユーリは僕の番いなの!
イライラして殺気が漏れる。
でもここで大騒ぎにしたくない。我慢我慢!!
宿の女将が来て事態を収拾してくれた。
はあ?
人違いどころか種族違いって馬鹿なの?
どうせ顔しか見てないんだろう!
ユーリは確かに格好いいけどね!
それにしても結局謝るどころか悪態をつくばかりで駄目だね、あの女。
二度と見たくない。
結局、高台の閑静な離れのような造りの宿に泊まる事になった。
部屋に食事を運んでくれるって言うから頼んで、先にお風呂---!
テンションマックスで迎えたご飯は、SASIMIが!!
いや刺し身が!!
テンションおかしくて脳内もバグった。
ヒャッホイ!!
うまうま、サイコー!
ユーリも美味しそう・・・・・・。
ご馳走様の後にユーリも美味しく頂きました。
こっちもご馳走様!
朝までゴメンね?
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