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初めての魔法 3
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わいわいと賑やかになってしまったが、とりあえず魔法の確認をしなくちゃ、とヒューに教わりながら『ライト』を使ってみる。
「生活魔法は特に長い詠唱もいらなくて、ただ『ライト』と唱えるか頭で思うだけでいい」
「ああ、だから今朝のアレは僕が無意識に灯りが欲しいと思ったせいで光っちゃったんだ?」
決まり文句みたいな言葉を言ったり思ったりしたわけじゃなかったのに光ったことが不思議だったんだよね。
「そうだろうな。あとは生活魔法は本人が『消えろ』と言うか思えば消えるし、他にも持続時間は魔力量で変えられるぞ」
「へえ」
───でも、僕はその魔力っていうのがよく分からないから、量の加減なんて出来るはずもなく。
一応、魔法を使うぞという意味も込めて『ライト』と言ってからやっているんだけど。
「───っま、眩しい!」
最初は朝方のときと同じくペカーッと。
「・・・・・・夜の灯りを想像して使ってみろ」
ヒューの助言で想像するもほとんど変わらず。
「・・・・・・うわー! あんまり変わんない!」
「ロウソクの灯りくらいは?」
ヒューのそばにいつの間にか来ていたダグラスさんがそう言ったので次こそはと想像するも───。
「───にゃー!? ここ今度は火がっ! 陽じゃなくて火がー!?」
何故か『ライト』じゃなくて『イグニッション』になった。
目の前に光の球じゃなくて小さい人魂みたいな炎がゆらゆら現れた。
何で!? 僕、ちゃんと『ライト』って唱えたよね!?
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・たぶん口で言ったことと想像が違ったんだろう。・・・・・・イメージが大事なんだな」
「俺がロウソクって言ったから炎を想像しちゃったんだね」
あたふたしながら消えろーって念じて消えてくれたけど、じゃあどうすればいいの?
そのあとも『ネロ』は普通にシャワー並みの量で出るし、『クリーン』は広範囲を一気に綺麗にしちゃうし。
え? どのくらいの範囲って?
訓練場で鍛錬してた団員達全員と訓練場全体がピッカピカ。
武器や防具もピッカピカ。
さすがに痛んだ部分は直らないけど新品並みの輝きになっていた。
『ドライ』はねぇ、何故かつむじ風並みの威力で、自分に使ったら身体が巻き上がって浮いちゃって、慌てたヒューに回収された。
・・・・・・いや、ホント、ダメダメじゃん。
「・・・・・・魔力が多いのと使い慣れていないせいだろうな」
「ルカ君はまずは魔力を感じて量の調節に慣れないと危ないね。それまでは生活魔法も禁止で!」
「・・・・・・はぁい」
うう、せっかく魔法を使えるようになったのに僕、役に立ってない。
「・・・・・・何を考えているのかは大体分かるが、気にするな。一から始めたのにもう使うことは出来るんだから」
「そうそう。また夜にでもヒューズに教えて貰うといいよ」
「・・・・・・夜に? ヒューに?」
・・・・・・どういうことかな?
時間を取って貰って詳しく聞けってことかな?
自己完結した僕は、ダグラスさんにそう言われてほんのり赤くなったヒューには気付かなかった。
「さて、じゃあルカ君の確認はここまでにして。休憩を挟んで魔法を使った模擬戦しようか。ルカ君が楽しみにしてたヤツね!」
「あっうん、ありがとう。楽しみ!」
今出来ないことをぐだぐだやっても上手くいかないもんね。夜にヒューに教わればいいや。
僕は問題を先送りして、一旦休憩に入るのだった。
「生活魔法は特に長い詠唱もいらなくて、ただ『ライト』と唱えるか頭で思うだけでいい」
「ああ、だから今朝のアレは僕が無意識に灯りが欲しいと思ったせいで光っちゃったんだ?」
決まり文句みたいな言葉を言ったり思ったりしたわけじゃなかったのに光ったことが不思議だったんだよね。
「そうだろうな。あとは生活魔法は本人が『消えろ』と言うか思えば消えるし、他にも持続時間は魔力量で変えられるぞ」
「へえ」
───でも、僕はその魔力っていうのがよく分からないから、量の加減なんて出来るはずもなく。
一応、魔法を使うぞという意味も込めて『ライト』と言ってからやっているんだけど。
「───っま、眩しい!」
最初は朝方のときと同じくペカーッと。
「・・・・・・夜の灯りを想像して使ってみろ」
ヒューの助言で想像するもほとんど変わらず。
「・・・・・・うわー! あんまり変わんない!」
「ロウソクの灯りくらいは?」
ヒューのそばにいつの間にか来ていたダグラスさんがそう言ったので次こそはと想像するも───。
「───にゃー!? ここ今度は火がっ! 陽じゃなくて火がー!?」
何故か『ライト』じゃなくて『イグニッション』になった。
目の前に光の球じゃなくて小さい人魂みたいな炎がゆらゆら現れた。
何で!? 僕、ちゃんと『ライト』って唱えたよね!?
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・たぶん口で言ったことと想像が違ったんだろう。・・・・・・イメージが大事なんだな」
「俺がロウソクって言ったから炎を想像しちゃったんだね」
あたふたしながら消えろーって念じて消えてくれたけど、じゃあどうすればいいの?
そのあとも『ネロ』は普通にシャワー並みの量で出るし、『クリーン』は広範囲を一気に綺麗にしちゃうし。
え? どのくらいの範囲って?
訓練場で鍛錬してた団員達全員と訓練場全体がピッカピカ。
武器や防具もピッカピカ。
さすがに痛んだ部分は直らないけど新品並みの輝きになっていた。
『ドライ』はねぇ、何故かつむじ風並みの威力で、自分に使ったら身体が巻き上がって浮いちゃって、慌てたヒューに回収された。
・・・・・・いや、ホント、ダメダメじゃん。
「・・・・・・魔力が多いのと使い慣れていないせいだろうな」
「ルカ君はまずは魔力を感じて量の調節に慣れないと危ないね。それまでは生活魔法も禁止で!」
「・・・・・・はぁい」
うう、せっかく魔法を使えるようになったのに僕、役に立ってない。
「・・・・・・何を考えているのかは大体分かるが、気にするな。一から始めたのにもう使うことは出来るんだから」
「そうそう。また夜にでもヒューズに教えて貰うといいよ」
「・・・・・・夜に? ヒューに?」
・・・・・・どういうことかな?
時間を取って貰って詳しく聞けってことかな?
自己完結した僕は、ダグラスさんにそう言われてほんのり赤くなったヒューには気付かなかった。
「さて、じゃあルカ君の確認はここまでにして。休憩を挟んで魔法を使った模擬戦しようか。ルカ君が楽しみにしてたヤツね!」
「あっうん、ありがとう。楽しみ!」
今出来ないことをぐだぐだやっても上手くいかないもんね。夜にヒューに教わればいいや。
僕は問題を先送りして、一旦休憩に入るのだった。
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