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模擬戦
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僕の願いを叶えるために急きょ決まった模擬戦。
危険のないように、結界魔法という防御壁みたいな物を張り巡らせて行うそうだ。
この世界の魔法は、何でも出来るというわけではないらしい。
例えば、最初に僕が転移したとき。
崖から落ちて、あちこち怪我をしたんだけど、その治療のために治癒魔法を使ってくれたんだって。
でもこの治癒魔法は、治療を受ける人の自然治癒力を高める──えっと、分かりやすく言うと、無理矢理、早送りで怪我を治すようなものなんだそう。
だから、その副作用で酷く疲労するんだそう。そのせいで、体力の落ちている人に強い治癒魔法を使うと、逆に命を落とすこともあって、見極めが難しいらしい。
治癒魔法を使う医療班の人達は責任重大だ。
あのときは転移した直後で魔狼という魔物に襲われたせいで疲れたのかと思ってたけど、あとからその説明を聞いて納得したよ。
そういう感じで、攻撃魔法も、戦闘のときにちょっと補助的に使うもので、魔法戦みたいなことはしないらしい。
それでも僕にとっては、未知の世界だから。
ちょっとでも見られるなら、それだけで大興奮だよ。
ヒューズの指示で、魔法が得意らしい騎士達が何人か呼ばれて、向かい合わせになって待機している。
「今回は、ルカに見せるものだから訓練ではない。攻撃性の低い魔法を使用すること、怪我のないように気を付けること」
「はい!」
「では、開始!」
ヒューズのかけ声で、騎士達が即座に動く。僕は離れたところにあるベンチに座って、息を飲んだ。
「『水弾』!」
「『風刃』!」
互いが得意とする属性魔法なのだろう。水魔法と風魔法を繰り出して応戦している。
魔法は名前の通り、水でできたこぶし大の塊と風でできた刃物。二人の間でぶつかり合い、消えた。
「……すご……」
「威力は小さめにしてもらっているから、万が一に被弾しても大した怪我にはならないぞ。他にも身体能力を上げる魔法も補助的なもので、よく使われる」
「へえ、身体強化みたいなもの?」
「そうだ。身体の防御力や攻撃力、素早さを上げることが多い」
隣でヒューズが説明してくれるから、分かりやすい。
「あとは、そうだな……どちらかと言えば、相手の能力を下げる魔法が使い勝手がいいな。相手を弱らせるデバフ系だ。足の速いヤツなら、動きを鈍らせれば攻撃しやすいし、防御力の高いヤツなら弱体化させて攻撃を通りやすくするとかな」
「なるほど。凄い攻撃魔法で一発で仕留める、みたいなことはないんだね。だから、倒すのに有利になる魔法の出番ってことかぁ」
「そういうことだ」
魔法で無双なんてことは、この世界ではないんだね。
ちょっと憧れてたけど、そもそも僕自身が頑張って生活魔法くらいしか使えないんだし、使えるだけいい方なんだよね。歴代の稀人はろくに使えない人ばかりって言ってたし。
そうして、一通り魔法を見せてもらって満足した僕は、ダグラスの言っていた『夜にでもヒューズに教えてもらうといい』という言葉の意味を、その日の夜に知ることになる。
危険のないように、結界魔法という防御壁みたいな物を張り巡らせて行うそうだ。
この世界の魔法は、何でも出来るというわけではないらしい。
例えば、最初に僕が転移したとき。
崖から落ちて、あちこち怪我をしたんだけど、その治療のために治癒魔法を使ってくれたんだって。
でもこの治癒魔法は、治療を受ける人の自然治癒力を高める──えっと、分かりやすく言うと、無理矢理、早送りで怪我を治すようなものなんだそう。
だから、その副作用で酷く疲労するんだそう。そのせいで、体力の落ちている人に強い治癒魔法を使うと、逆に命を落とすこともあって、見極めが難しいらしい。
治癒魔法を使う医療班の人達は責任重大だ。
あのときは転移した直後で魔狼という魔物に襲われたせいで疲れたのかと思ってたけど、あとからその説明を聞いて納得したよ。
そういう感じで、攻撃魔法も、戦闘のときにちょっと補助的に使うもので、魔法戦みたいなことはしないらしい。
それでも僕にとっては、未知の世界だから。
ちょっとでも見られるなら、それだけで大興奮だよ。
ヒューズの指示で、魔法が得意らしい騎士達が何人か呼ばれて、向かい合わせになって待機している。
「今回は、ルカに見せるものだから訓練ではない。攻撃性の低い魔法を使用すること、怪我のないように気を付けること」
「はい!」
「では、開始!」
ヒューズのかけ声で、騎士達が即座に動く。僕は離れたところにあるベンチに座って、息を飲んだ。
「『水弾』!」
「『風刃』!」
互いが得意とする属性魔法なのだろう。水魔法と風魔法を繰り出して応戦している。
魔法は名前の通り、水でできたこぶし大の塊と風でできた刃物。二人の間でぶつかり合い、消えた。
「……すご……」
「威力は小さめにしてもらっているから、万が一に被弾しても大した怪我にはならないぞ。他にも身体能力を上げる魔法も補助的なもので、よく使われる」
「へえ、身体強化みたいなもの?」
「そうだ。身体の防御力や攻撃力、素早さを上げることが多い」
隣でヒューズが説明してくれるから、分かりやすい。
「あとは、そうだな……どちらかと言えば、相手の能力を下げる魔法が使い勝手がいいな。相手を弱らせるデバフ系だ。足の速いヤツなら、動きを鈍らせれば攻撃しやすいし、防御力の高いヤツなら弱体化させて攻撃を通りやすくするとかな」
「なるほど。凄い攻撃魔法で一発で仕留める、みたいなことはないんだね。だから、倒すのに有利になる魔法の出番ってことかぁ」
「そういうことだ」
魔法で無双なんてことは、この世界ではないんだね。
ちょっと憧れてたけど、そもそも僕自身が頑張って生活魔法くらいしか使えないんだし、使えるだけいい方なんだよね。歴代の稀人はろくに使えない人ばかりって言ってたし。
そうして、一通り魔法を見せてもらって満足した僕は、ダグラスの言っていた『夜にでもヒューズに教えてもらうといい』という言葉の意味を、その日の夜に知ることになる。
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