箱庭

エウラ

文字の大きさ
10 / 33

蜜月な箱庭

しおりを挟む
アレから俺達は蜜月───いわゆる正式な番いとなるためにサイファの部屋に篭もった。今のところ期間は未定。
どうやらサイファが満足するまで続くらしい。

なんだそりゃ?
俺が満足してもサイファが満足しないと終わらないらしいよ?
まあいいけどね。俺は養って貰う立場だし?

ていうか、その満足度って何? 何の満足度?

「それは、もちろん───」

耳元で囁くサイファの吐息にゾクゾクッと背筋をナニかが走った。

「ええええと、ソレってつまり・・・・・・デスよね?」

この前話してたえっちのことデスよね!? え? ちょっと待って、俺の考えてた蜜月とちょっと違う!?

「もちろんラトナを満足させるために頑張るつもりだが、俺も当然こういうことは初めてでな。───始まったら暴走するかも」

真面目な顔で童貞宣言するサイファに驚く。

「そそそそうなの? あ、番い以外には性欲が薄いとかってヤツ?」
「まあ、なくはないが、大抵はたまに自己処理で出すくらいだな。今の俺が欲情するのは番いラトナだけだ」

そう言って壮絶な色気を纏いだしたサイファの瞳がギラギラと捕食者の瞳になっていて、恐怖とは違うさっきのようなぞわっとする感情が走る。

───え、俺、もしかして期待してる?
サイファとのえっちを喜んでる。番いだからなのか、好きだからなのか───とにかくサイファと番えることを喜んでいる。

「・・・・・・う、俺も、サイファだから、サイファだけがいい。優しくしてくれる?」

顔を真っ赤にして俺がそう言うと、サイファは一瞬、ゴクッと喉を鳴らした。

「っもちろん。だからイヤなことはイヤと言ってくれ。もちろんその反対もだ。気持ちいいところはちゃんと口で教えてくれ」
「え、そっ・・・・・・うう・・・・・・が、頑張る」

そんなのめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!
でも言わないとお互いすれ違ったり誤解するかもだから、なるべく言うようにしよう!

そうして寝室のベッドに横になると、お互い生まれたままの姿でゆっくりと愛し始めた。

二人とも初めて同士だから、一度目は手探りでお互いのいいところ、イヤなところを言い合いながら丁寧に前戯し、俺の無垢な身体を拓いていくサイファ。

ソレが比較対象がないから何とも言えないけど、長くてしつこくて、イヤって言っても『ココもイイところだろう?』って攻めてきて、善すぎて辛くて俺はもう息も絶え絶えでぐったり。

あまりにも疲れちゃって、一度カーバンクル姿に戻っちゃった。

「さすがにこれで挿入は出来ないな」

サイファにそう苦笑された。分かってるよ!
でも保たないんだもん、仕方ないでしょ。

数分息を整えて獣人の姿になると、えっちの間はせめて獣人の姿のままになるように魔法を考えて自分にかけてみた。

うん、俺が魔力枯渇にでもならない限りは何とかなりそう。

そもそも枯渇するほど消費しないんだけど、気が抜けるというか集中が切れるというか、つまり前後不覚になっちゃうと幻獣本来の姿に戻っちゃうんだよね。

要するにサイファが上手すぎて粘着質で俺がおかしくなっちゃうってことだよ!

サイファも童貞って言ってたのに、恐ろしい子!

そんなこんなでようやく挿入されたときにはやっとだというのとようやく正式に番いになれるという安堵と喜びで思わず涙が零れた。

「・・・・・・サイファ、これでやっと・・・・・・」
「ああ、あとはラトナの胎の中に精を注いでうなじを咬めば正式に番いとなる」
「・・・・・・うん・・・・・・うん?」

───待って?
俺も男だから出すためには擦らないとっていうのは分かる。
でも擦ってアレを出すってことは、今俺の中に挿入されてるサイファのアレをこの状態から抜き差ししないといけないわけで。

・・・・・・今、入ってるだけでギチギチで苦しくて、でも気持ちいいんだけど。

これで中を擦られたら俺、どうなっちゃうの!?

「───ラトナ。俺と一緒に、いっぱい気持ちよくなろうね」
「・・・・・・・・・・・・ぁい・・・・・・」

───俺、死ぬかもしれない。

蕩けて嬉しそうなサイファを見たらイヤとは言えなくて。俺も気持ちいいし。

「───まあいっかぁ」

たぶん死なないだろう。
一応神様公認なんだし、その辺りもコミコミでの番いなんだろう・・・・・・きっと。そう信じたい。

「一緒に気持ちよくなろうね、エルサイファルド」

そう言って無意識に自分の薄い腹を撫でた。
中のサイファが一段と質量を増した気がしてビクッとなった。

「───っ本当に君は・・・・・・ああ、もう、イヤと言っても止まれないぞラトナラジュ」

ギラついた瞳で獰猛に笑うサイファはそう言って俺の腰をガシッと掴んだ。

「・・・・・・え?」
「逃げないでな、ラトナラジュ」
「・・・・・・ひぇ」

───前言撤回。
俺、たぶん間違えた。
いくら神様でもそこまでサービスしてくれないかも。

でも腹上死だけは勘弁してー!


───詳しいことは割愛するが、あのあと中出しで二人でイッたときにうなじを咬まれて、そこからは快楽地獄と言っていいくらいに善がりまくって何度も気絶して。

気付くと口移しで何か飲まされて、体力が戻ると再び繫がって───。

サイファは時間とか分かってたんだろうけど、僕はもう昼夜も日にちも分からないまま、いつの間にかひと月過ぎていたらしい。

ある日、パタッと意識がハッキリして目が覚めたら、隣には俺を愛おしそうに見つめるサイファの顔があって。

「・・・・・・おはよう?」
「ああ、おはよう」

爽やかさに甘さもあるイケボで囁かれて顔が熱くなる。
俺は誤魔化すように確認をした。

「えと、アレ、俺達って今まだ蜜月中?」
「そうだね。でもひとまずは落ち着いたから、今日は着替えてテーブルで食事をしようか。そのあと久し振りに部屋の外に出よう」
「え、あ、うん」

ああ、なんかこうやって移動して食べるの久し振りかも。そもそも服も着てなかったような?

「・・・・・・ぅわぁ・・・・・・」

一気に全身が熱を持った。
そうだよ。なんとなく覚えてる。
素っ裸でサイファにお世話されながら爛れた性活を送っていた。

そんなことも気にならないほど蕩けた頭だったんだ。

「蜜月こわい」
「ふふ、甘えてとろとろのラトナは可愛かったぞ」
「───ぅうわー! なんてこと言ってんのこの男はー!!」
「はははっ!」

そんなやりとりをしながらも俺を着替えさせて抱っこで隣の部屋に移動するサイファ。

隣ではナージュが食事の用意をして控えていた。

「あ、ナージュ! 久し振り?」
「はい、御無沙汰しております。体調の方はよろしいのですか?」
「え、あ、うん? 特にいつもと変わらないよ?」

どこも痛くないし、ピンピンしてる。

「それはようございました。蜜月中はだいぶ曖昧なご様子でしたので、少々心配しておりました」
「・・・・・・? 曖昧?」

確かにあんまり記憶に残ってはいなかったかも?

俺が首を傾げているとサイファがバツが悪そうに言った。

「・・・・・・俺の性欲が強すぎて、その、だいぶ無理をさせたようだ。・・・・・・すまない」
「・・・・・・ああ。まあ、なんとなくそうかなとは思ってた。でもいいよ。俺もたぶん無意識に煽ったりノリノリだったんじゃないかなと思うし」

初めて同士、気持ちいいこと覚えちゃったら、そりゃあ盛り上がるよね。
しかもすでに夫夫なんだもん。遠慮もなくなるよ。

「・・・・・・やっぱりラトナだな」
「ラトナ様らしいですね」

ホッとしながら膝に乗せた俺に給餌をするサイファと、そつなく食事を差し出してくれるナージュに首を傾げながらも、久し振りのご飯に舌鼓を打つのだった。











※誤字脱字修正しました。たくさんあった。すみません。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】

リトルグラス
BL
 人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。  転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。  しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。  ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す── ***  第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20) **

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

嘘つきの婚約破棄計画

はなげ
BL
好きな人がいるのに受との婚約を命じられた攻(騎士)×攻めにずっと片思いしている受(悪息) 攻が好きな人と結婚できるように婚約破棄しようと奮闘する受の話です。

完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました

BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。 その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。 そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。 その目的は―――――― 異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話 ※小説家になろうにも掲載中

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...