癒しが欲しい魔導師さん

36 騎士は魔導師に愛を囁く １

※最後にちょっとだけエロい感じになります。
本番は次話の予定。





その夜、何時もより早めに入浴しソファで横になっていた時、ふとロザリンドの部屋のテラスが目に入った。

急に湧いて出たわけでは無いはずなのだが、今の今までテラスの存在に気付いていなかったのだ。

「･･･どんだけ行動範囲狭かったんだ、僕」

実際、公爵家に滞在して半月は経っている気がするが、その大半の行動範囲は寝室を占めていた。

ソファから体を起こしてゆっくりとテラスへ向かう。

随分と明るいと思ったら、満月だったようだ。

「･･･月が綺麗だな」
「－－－え」

ドキッとした。
それは前世では超有名な愛の告白の台詞だったから。

驚いて振り向くと、ロザリンドが微笑み、後ろから抱き締めてきた。

「･･････死んでもいい」

セイリュウは思わずそう返していた。
これは前世の話でロザリンドが知る由もない事なのだけど、何となく言いたくなったのだ。

－－－ロザリンドに愛されるなら、死んでもいい。
心からの想いだったから。

なのに･･････。

「･･････セイ、セイリュウ･･･俺と同じ気持ちなんだね。嬉しい。オッケーしてくれて」
「･･････んん？」

アレ？
通じてる？
いや通じてるけど微妙に通じてないことが･･･。

「･･･オッケーって、何が？」
「求婚」
「･･････」

何ですと－－－？！

「きゅきゅっ、きゅーこん･･････」
「鳴き声も可愛いな」

ロザリンドがへらりと笑う。

「ななな鳴き声じゃないって！　は？　え？　告白じゃなくて？！」
「良かった。通じてた。いやだって愛の告白はもうしてるじゃないか。だから求婚」

通じてた、じゃないよ！
何で？！
え、何で？！

「えええ？！　何で知って？！　はああ？！」
「それで、返事はオッケーなんだよね？」

俺の疑問は無視かい、おい！

「－－－はあ、もう･･･。『貴方とずっと月を見ていたい』」
「－－－！！　嬉しいよ。ずっと、死ぬまで一緒にいような！」
「･･････はあ。何で分かるのかとか、もうどうでもいいや･･･僕は寝る」

そう言うと、喜び大爆発で興奮するロザリンドをほっといて寝室に向かう。

「あっ、待って待って！　俺も一緒に寝る！」

あるはずのないイヌ耳がピーンと立って尻尾をぶんぶん振りまくるロザリンドに呆れ顔で上掛けを持ち上げて待っていると、いそいそとベッドに乗り上がって来た。

気恥ずかしくてツンな態度で背中を向けると、背中から優しく包み込まれた。

「セイリュウ、幸せになろうな」
「･･････ん」
「セイ、コッチ向いて？」
「･･････なあに、ん」

仕方なく顔だけ向けると、唇にキスされた。
優しく触れるだけの口付け。

「･･････セイ、愛してる。ずっとずっと、コレから一生･･･俺のセイリュウ」
「－－－僕だけの･･･ロズ」

そのまま今度は深い口付けになっていた。

くちゅくちゅとお互いの舌が絡み合い、唾液が溢れてセイリュウが飲み込む。

体にロザリンドの魔力が染みていって、まだ慣れない刺激に体がビクンとした。

まだまだ魔力が足りていないセイリュウの体は、今ロザリンドの魔力を取り込んだことで、反射的に魔力譲渡の為の受け入れ態勢に移行した。

･･･つまり、欲情した。

「･･････ロズ、もっと･･･」

トロンとした潤んだ濃い青紫色の瞳に見上げられて。
今日は求婚プロポーズだけで我慢しようと思っていた理性が焼き切れそうなのを感じたロザリンドだが、セイリュウからのお誘いに否やはないと、あっさり放置した。

連日抱き潰すほど挿入している後孔は柔らかく、しっとり濡れている。

この世界、魔法で男性でも子供は作れる。
女性の様な疑似子宮を一時的に魔法で作り、そこに魔力を注ぐと魔力が母胎の血肉と魔力を少しずつ取り込んで子供の形になっていくのだ。

女性の妊娠期間と同じで、ゆっくり。

だから母胎となる男性もたくさん食べて栄養を摂り、夫となる男の精液魔力もたくさん取り込まないといけないので一般的に子作りをする夫夫は少ないが。

そして抱かれ続けると、男の胎は女性の膣のように濡れるようになる。

今のセイリュウがそれである。

そうなると疑似子宮も作りやすい。
もっとも今のセイリュウの体ではかなり無理があるので、そういうのは考えていないが。

閑話休題。

ともかく、気持ちはまだまだ初心だが、体はロザリンドに色々と調教されてしまっているのでスイッチが入るとセイリュウはエロい。

少し前までは小柄な子供のようだったのでいけない扉を開きそうだったが、成長したセイリュウは色っぽくてエロくて、でも初心で･･･。

－－－俺にどうしろと？！

誰に言うでもなく心の中で雄叫びをあげるロザリンドだった。