優しい庭師の見る夢は

エウラ

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7 指名依頼 2(sideシュルツ)

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※先日のうっかりポチッとのせいで昨日の更新の通知が投稿時間(16時)に表示されてないみたいでした。昨日の更新(6話)、無かったのかな?と思った方、確認してこの話の前に昨日の更新を読んで下さいませ。




城をあとにしたシュルツは、城下街の外門を出て少し歩いた後、竜に変化した。

翼を出すだけでも良かったが、完全な竜の姿の方が断然速いからだ。

何故か本能が『早く行け』と言っている気がする。

「・・・こんな感じ、初めてだ」

何故か胸騒ぎがする。
精霊の森を意識しだしたら、どうも落ち着かない。
ザワつく胸の内を何とか宥めながら空高く舞い上がり、広大な精霊の森の中心となる【管理者】の山小屋へと向かった。

竜帝国からもその森の姿は垣間見えるとはいえ、途中に街を二つ挟むほどの距離はある。
乗り合い馬車で竜帝国と次の街の間を半日、その街からその次の街までやはり一日かかる。

二つ目の街からなら歩いて半日程度で精霊の森には辿り着ける。
そう、徒歩、あるいは馬ぐらいしか移動手段が無い。
街道ほど整備はされていない道故に馬車は通れないからだ。

もっとも聖域で結界があるので、よほどのことがないと善人でも森の浅いところまでしか入れないのだが。

そんな距離だが、竜となって翔んで行くシュルツには関係ない。
空には街道もないし、障害物もない。
直線距離で高速で進めるため、一日もかからなかった。
いや、恐るべき事にアレから数時間足らずで山小屋まで辿り着いていたのだった。

今の時間は午後4時過ぎ。

太陽が西にやや傾いてきた頃だった。

森の中央に開けた地面が見える。
ぽつんと建つ小振りな山小屋が見えた。

「・・・・・・庭に洗濯物が干されている。ということは、やはり誰かが住んでいるのは確定だな」

空中でホバリングをして様子を窺っていると、ちょうど帰宅したのか、緑色のローブを纏った小柄な少年らしき誰かが山小屋へと向かって歩いてきた。

「・・・・・・あの子が【管理者】か? 何だ? 妙に気にかかる・・・」

早くこちらを見てくれと、何故かそう思った。
それを感じたわけでは無いのだろうが・・・。

そのローブを下ろして自分にかかる大きな影に気付いて、その人は空を見上げた。

───目が合った、と思った。
少なくとも俺は、そう思った。

金色に近い薄茶色の髪に新緑色の透き通った大きな瞳。
そして髪から見える尖った長い耳・・・エルフだ。

可愛い顔の、子供のエルフだった。

その子はシュルツを───正確にはシュルツの竜の姿を見て驚いたように目を見張った後、暫く上空を見上げていた。

そのせいでくらりとしたのか、仰向けに倒れた。

「───危ない!」

気付いて思わず下へ降りていくが、それに気付いたその子は驚愕した後、気を失った。
俺は訳が分からず、ツッコんでいってから気付いた。

「───マズい。俺、今、竜だった!」

このままだと庭に降りられない。
慌てて途中で人型に戻り、側に降り立つ。
そしてやらかした事に気付いた。

「・・・・・・だから気絶しちゃったのか?!」

真っ黒い大きな竜が自分目がけて空から降ってきたら、普通は驚くよな、そりゃ・・・・・・。

愕然としていると、精霊達が寄ってきて何やら囁いている。

『竜の人、イツキ脅かしちゃ駄目だよ!』
『イツキ、はじめて。おどろく』
『かわいいイツキをこわがらせるな!』
『イツキをベッドに運んでくれる?』
「───す、すまない! 運ぶからロッジに入れてくれるか?」

慌てて、イツキと呼ばれているその子をそっと抱き上げてロッジの寝室に横たえると、椅子を持ってきて側に座った。

「───ゴメンな、早く目を覚まして」

そのまま少し見つめていると、睫毛が震えて瞳を覗かせた。

思わず顔を寄せて見つめていると、目が合った。

「───っ?!」
「えっ?!」

直後、声も上げずに目を見張った後、顔を赤らめながら再び気を失った。

───やっぱり俺のせい?!
何で? 人型だったよね?!

パニックになっていると、先ほどの精霊達が寄ってきて言った。

『あー、イツキ、コミュ障だから』
『ずっと、何年もボクたち以外の人と会ってないから、慣れてないんだよ』
『いっつもイヤーな視線ばっかり向けられてたからそういうのには敏感で、私たち以外はちょっと拒絶反応起こすんだよね』
『でも竜の人、カッコいいから、たぶんビックリしちゃっただけかも?』
『竜の人、大きいしねー。きょぜつ?はしてないと思うなー』

・・・・・・これは慰められた、のか?

それにしても、ちょっと気になる発言もあるのだが・・・。

人慣れしていないようだし、訳ありなのか?
とにかく、今は少し離れたところから見守ろう。


それから直ぐに目を覚ました彼は、今度はシュルツを見るなり謝りだして、それにシュルツも謝るという不毛な事になってしまい、結局精霊達が間に入って落ち着いたのだった。




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