【完結】雨を待つ隠れ家

エウラ

文字の大きさ
1 / 14

それははじまりの・・・

獣人国ルスの東、隣国との国境付近の辺境伯領にある、通称『深淵の森』。

かつて『精霊の森』と呼ばれていたそこは、とある人族の国があった場所だが、急速に精霊の加護を失い、200年程前に国が滅んでからは魔素が濃くなり、強い魔物が蔓延る暗い森となった。

その後、隣接した獣人国の領土となり辺境伯領として、代々の辺境伯が私設の騎士団や冒険者ギルドと協力し合い、魔物を間引いているおかげで大規模なスタンピードは起きていなかった、はずだった・・・。



この時までは。


内部告発による、辺境伯領での横領。それは騎士団の強化などの名目で国から出る多額の予算をほぼ丸々懐に入れているというもの。

極秘に調査した結果、驚くべき事実が判明した。

辺境伯領となった当初から、違法に所持している戦闘奴隷がスタンピードが起きるたびに狩って間引いていた、と。

正規の奴隷ではない。かつてその人族の国が行った禁忌魔法で召喚された異世界人。
当時の詳しい話を知るものはすでに亡く、伝説となっている彼の者。

『オッドアイの死神』『双剣の悪魔』等という二つ名を持つ。姿を見た者も皆無。

その彼が・・・。



今、目の前に居る。


 
大規模なスタンピードを止める為に。

フードから除く双眸は右目が琥珀色で左目が紫水晶色。
こぼれた髪は毛先が漆黒の白銀色で。
身長は120㎝程の子供だった。

そう、子供だったのだ。

見た目5才位の小さな体が、躊躇なく魔物を蹴り倒し、殴り、何処から出したのか双剣で切り刻み。
自らの手首を切り、血を媒体とした大規模な殲滅魔法で森全体の魔物を屠り。
此方を一瞥した瞳は虚無で。
転移魔法なのか、一瞬で消え去った。

自分達の出番なんて、一欠片もなかったのだ。
    

彼が消え去った跡を2人、見つめる者がいた。

1人はこの国ルスの第3王子ラインハイト、金の髪と瞳の金狼の獣人。
もう1人は冒険者で龍人のエアヴァルト。黒髪に金の瞳を持つ。

ラインハイトは苦い顔で。
エアヴァルトは呆然と、しかしその瞳には歓喜の色が宿っていた。 

 
 
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】雪解けて春を待つ隠れ家(雨を待つ隠れ家より番外編)

エウラ
BL
雨を待つ隠れ家の番外編が収拾つかなくなりそうなので、分けました。 不定期更新です。 大まかなあらすじを初めに入れますが、前作を読んでない方にはわかりにくいかもです。 異世界召喚で不遇の時を過ごしたリッカを救い出し、番として溺愛するアッシュ。 2人の日常や過去の話などを書いていけたらと思います。 前作みたいな重い話はあまりないと思います。 読んでもらえたら嬉しいです。 ひとまず番外編を完結にします。 読んで下さってありがとうございます。

異世界召喚に巻き込まれた料理人の話

ミミナガ
BL
 神子として異世界に召喚された高校生⋯に巻き込まれてしまった29歳料理人の俺。  魔力が全てのこの世界で魔力0の俺は蔑みの対象だったが、皆の胃袋を掴んだ途端に態度が激変。  そして魔王討伐の旅に調理担当として同行することになってしまった。

呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない

波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。 異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。 強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。 彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。 しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。 「俺に触れられるのは、お前だけだ」 呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。 となります。

彼の至宝

まめ
BL
十五歳の誕生日を迎えた主人公が、突如として思い出した前世の記憶を、本当にこれって前世なの、どうなのとあれこれ悩みながら、自分の中で色々と折り合いをつけ、それぞれの幸せを見つける話。

神獣様の森にて。

しゅ
BL
どこ、ここ.......? 俺は橋本 俊。 残業終わり、会社のエレベーターに乗ったはずだった。 そう。そのはずである。 いつもの日常から、急に非日常になり、日常に変わる、そんなお話。 7話完結。完結後、別のペアの話を更新致します。

偽りの聖者と泥の国

篠雨
BL
「感謝すら忘れた者たちに、明日を語る資格はない」 自らの都合で聖王セシルを追放し、異世界から新たな「勇者」を召喚したアドレアン聖王国。 しかし、その身勝手な選択が、国を、大地を、そして人々の心を根底から腐らせていく。 壊れゆく少年勇者と、彼を歪に愛した騎士。 二人の執着が交わったとき、聖王国は二度と再生不能な終焉へと突き進む。 裏切り者たちには、因果応報という名の、容赦なき報いが下る。 これは、傲慢な国が崩壊するまでの、無慈悲な記録。 ----------------------------------------- 『嘘つき王と影の騎士』から引き続き読んでくださる皆様へ この物語は、セシルを虐げた者たちが、ただただ因果応報の末路を辿るだけの物語です。 本編に救いはありません。 セシルたちのその後が気になるという方は、本編は飛ばして、最終話の後に掲載する「閑話」のみをお読みいただくことをお勧めいたします。 本作は『嘘つき王と影の騎士』の続編となりますが、前作をお読みでない方でも一つの物語としてお楽しみいただけます。

【8話完結】俺は推しじゃない!ただの冒険者だ!

キノア9g
BL
ごく普通の中堅冒険者・イーサン。 今日もほどほどのクエストを探しにギルドを訪れたところ、見慣れない美形の冒険者・アシュレイと出くわす。 最初は「珍しい奴がいるな」程度だった。 だが次の瞬間── 「あなたは僕の推しです!」 そう叫びながら抱きついてきたかと思えば、つきまとう、語りかける、迫ってくる。 挙句、自宅の前で待ち伏せまで!?  「金なんかねぇぞ!」 「大丈夫です! 僕が、稼ぎますから!」 平穏な日常をこよなく愛するイーサンと、 “推しの幸せ”のためなら迷惑も距離感も超えていく超ポジティブ転生者・アシュレイ。 愛とは、追うものか、追われるものか。 差し出される支援、注がれる好意、止まらぬ猛アプローチ。 ふたりの距離が縮まる日はくるのか!? 強くて貢ぎ癖のあるイケメン転生者 × 弱めで普通な中堅冒険者。 異世界で始まる、ドタバタ&ちょっぴり胸キュンなBLコメディ、ここに開幕! 全8話

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。