天然美人魔性植物と強面冒険者のアレコレ(仮)

エウラ

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20 二度目まして冒険者ギルド 2

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サクサク歩いてあっと言う間に冒険者ギルド。

昨日から丸一日経った。
いや、まだ一日か。

ブランシュを抱えたまま足を踏み入れると、案の定、皆の視線が集まった。
夕方の時間帯は依頼を終えた冒険者達が列をなす。
今日も大勢の冒険者達で溢れかえっていた。

ソレをぎろりと睨めつけて牽制するレイヴン。
ブランシュは未だに顔を埋めて無言でジッとしている。

「・・・ギルマス達に面会したいんだが」

さすがに依頼達成手続きでもないのに列には並べん。
近くに行ってギルド職員に声をかけると、奥にいた一人が連絡を取ってくれたので執務室に向かう。

「ひゅーひゅー!! お熱いねえ---!!」

背後でドッと囃し立てる声にビクッとしたブランシュが更に腕に力を込めて抱き付いた。
レイヴンはくるっと振り向いて一言。

「嫁を怖がらせるな」
「---・・・・・・スマン」

ドスの効いた低い声で皆を黙らせると、何もなかったかのように歩いて消えた。

後にはしん・・・とした空気が流れ・・・。

こそこそと話し出す。

「レイヴンって、あんなヤツだったっけ?」
「めっちゃコワいんだけど。ちびるかと思った・・・」
「俺、昨日たまたま見たんだけどさ、レイヴンさん、お嫁さんをお姫様抱っこしてたよ?」
「「「何っ?!」」」
「お嫁さん、めちゃくちゃ美人だった。儚げでさあ・・・。アレじゃ、過保護になるのも頷けるね」
「俺らが見たときは気配が無かったんだけど。え? 抱っこしてた?」
「全然気付かなかった!」
「そうなの?! 俺、ラッキーだったんだ!」

そんなことをワイワイガヤガヤと話していたのだった。

「はいはい、他所のコトは置いておきましょう! サッサと手続き進めますよ!! 今がめちゃくちゃ忙しい時間帯ですからね! はい、次の方---!!」

ギルド職員に叫ぶようにせっつかれた冒険者達がハッとしていそいそと列を正す。

このギルドはギルマス達のおかげか、こういうルールにちゃんと従ってくれるので助かる。

まあ、他所から来たばかりの冒険者は時々やらかしてギルマス達にシメられるパターンだが。

「・・・レイヴンさんのコトでひと悶着ありそうだね」

良くも悪くも目立つ人だから。

「だから今日も面倒事に巻き込まれてたみたいだし。まあ、違法奴隷商人なんて自業自得ですけどね」

たぶんその件で自分から来たんだろうし。
お嫁さんの為かと思うと、ちょっと羨ましい。


その頃、ギルマスの執務室にいたレイヴンとブランシュ。
たった一日だというのに、二人の様子が変わっていた。

「・・・もっと数日は来ないと思ったんだが・・・」
「早々に目を付けられてご愁傷様でした」

ギルマス達に苦笑してそう言われて、レイヴンはムスッとする。

「全くですよ。もっと籠もりたかったんですけど・・・」
「---何か問題が?」
「そういや、ブランシュ、雰囲気が変わったか? ああいや、もちろん良い方にだが」
「・・・まあ、その件もあって、早めに来たんですけど・・・」

そう言ってブランシュのフードを下ろすと、チョーカーに気付いたサブギルマスが声をかけた。

「---ああ、従魔の・・・ん? アレ? ブランシュの耳にピアスが・・・え? レイヴンの耳にもお揃い?!」
「---指環と腕輪もしてるぞ」
「えっ?! ・・・・・・うわあ・・・すっごい独占欲」
「めちゃくちゃ執着してんな。・・・ブランシュは良いのか?」

若干引きながら二人がブランシュを見ると、顔を真っ赤にして瞳をうろうろさせている。

「---ブランシュ?」
「大丈夫です?」
『は、あの・・・だだだ大丈夫です。その、ぅ、嬉しい・・・から』
「「は?!」」
『ああああの、えっと・・・すみません? 僕、あの・・・えっと・・・レイヴン・・・・・・どうすれば・・・』

昨日とは明らかに違うブランシュの様子に、ギルマス達はバッとレイヴンを見た。

「どういう事だ?!」
「包み隠さず正直に全て話しなさい!!」

二人の勢いにタジタジになりレイヴンにしがみ付くブランシュを宥めながら、何処から話したモンかなと、しばし遠い目をしたレイヴンだった。














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