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21 二度目まして冒険者ギルド 3
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「---で?」
ギルマス達の圧にぷるぷるしているブランシュを膝に乗せてソファに座り抱き締めるレイヴン。
それを見てニヤニヤしつつも追及の手を緩めないギルマスと圧をかけつつもブランシュを心配するサブギルマス。
『・・・レイヴン、僕は、大丈夫だから・・・』
「・・・・・・ああ、いや・・・」
レイヴンが言い淀んでいると、何やら察したサブギルマスが圧を消して聞いた。
「・・・レイヴン、まさか昨日の襲撃で何かあったのですか?」
「---あー、いや、ソレは未遂だったんですけど・・・・・・その後・・・・・・ちょっと」
「ちょっと何だよ? もう良い加減吐けよ」
待ちきれなくなったギルマスもせっつくので、まあ良いかと、レイヴンは簡潔に話した。
---曰く、抱き潰して精液をたくさん貰ったおかげか、ブランシュの思考が人並みになったらしい、と。
「・・・アホの子が人並みに・・・」
「アホの子が天然くらいに成長したのか」
サブギルマスとギルマスがそれぞれの感想を述べた。
それに苦笑するレイヴン。
「・・・・・・言い方が・・・。まあ俺もそう思いましたけど」
「---で? ソレだけじゃ無いんだろう?」
「・・・分かります?」
「だって明らかに人のような仕草と反応だろう。気付くわ」
「本当に。急に普通の人のよう」
「・・・・・・ギルマス達は前世の記憶を持つ者にあったことがありますか?」
レイヴンが真剣な顔で聞いたのでギルマス達も真面目になった。
「俺は無いが・・・」
「私は過去に一人・・・。その人はこことは違う世界で生きていた記憶があると言っていましたが・・・・・・まさか」
「・・・そのまさかです。ブランシュは眠っている間に前世を思い出したらしくて」
「それじゃあ、今のブランシュは・・・」
「ぽやんとしたブランシュと前世の意識が混じり合って、人並みになった感じです。一人称も『僕』になって、羞恥心とか感情が出て来ました。俺は、どんなブランシュでも受け入れるつもりで装飾品を贈りました。それをギルマス達に伝えようと思って・・・」
そう言ってレイヴンはブランシュを抱き締めた。
「そう。良かったね、ブランシュ。きっと、その事をレイヴンに告げるのは勇気がいったでしょうに・・・」
『あの、でも、レイヴンなら受け入れてくれると思って・・・』
「・・・・・・なんか、普通になったせいか、コッチも照れるな。昨日は『えへへ?』って全く気にもしない感じだったのに」
「かえって可愛さが増えたね。レイヴン、変な虫がたくさん寄ってきそうですね。頑張って下さいね?」
「・・・・・・分かってます。昨日だけでアレだから」
不機嫌さを隠しもせずにそう言うレイヴンにハッと気付いたサブギルマスが慌てて重そうな皮袋を取り出した。
「そうそう、昨日の奴隷商人の捕縛の報奨金です。中を改めて受け取りにサインして下さい」
「---ああ、もう? それもあって来たんですけど、ちょうど良かった」
そう言って確認してサインを終えると、胸に重みがかかった。
見るとブランシュは寝息を立てていた。
「---寝ちゃいましたね」
「どうせ昼頃まで抱き潰してたんだろ? 幾ら精霊でも疲れるんじゃ無いか?」
冗談で言うギルマスに苦笑するレイヴン。
確かに精霊だが、精神的には人間の青年だろうブランシュだから、人間の生活習慣になっているのだろう。
「まあ、でも、前世の事は秘密にした方が良いです。私の知るその人は、要らぬ知識を披露してしまい、目を付けられて酷い思いをしてましたから。ブランシュは特にその容姿で既に目立っていますし」
「護ってやれよ。俺らも協力は惜しまないから」
「・・・ありがとうございます」
「それだけか? んじゃ、気を付けて帰れよ」
「お邪魔しました」
「ブランシュにもよろしくね」
レイヴンはフードを被せてそっとブランシュを抱き上げると、ブランシュに結界魔法をかけてギルドをあとにした。
「いやあ、まさか前世持ちとはねえ・・・」
「稀にいるのですが、会うことはほとんど無いですよ」
「トラブルに巻き込まれなきゃ良いがな」
「ソレってフラグって言うんですってよ」
「あん?」
「過去の前世持ちの人がよく言ってたんです。こうならなければ良いなと言うと、ソレが実際起ったりする。で、その口にした言葉をフラグ、そして起きた事柄をフラグ回収って言うんですって」
「じゃあ、トラブルが起きた場合はフラグが回収されたって事になるのか。面白えな」
「異世界って不思議なところですよね」
ギルマス達はほのほのと笑っていた。
実際に回収されるのはもう暫く後の話。
ギルマス達の圧にぷるぷるしているブランシュを膝に乗せてソファに座り抱き締めるレイヴン。
それを見てニヤニヤしつつも追及の手を緩めないギルマスと圧をかけつつもブランシュを心配するサブギルマス。
『・・・レイヴン、僕は、大丈夫だから・・・』
「・・・・・・ああ、いや・・・」
レイヴンが言い淀んでいると、何やら察したサブギルマスが圧を消して聞いた。
「・・・レイヴン、まさか昨日の襲撃で何かあったのですか?」
「---あー、いや、ソレは未遂だったんですけど・・・・・・その後・・・・・・ちょっと」
「ちょっと何だよ? もう良い加減吐けよ」
待ちきれなくなったギルマスもせっつくので、まあ良いかと、レイヴンは簡潔に話した。
---曰く、抱き潰して精液をたくさん貰ったおかげか、ブランシュの思考が人並みになったらしい、と。
「・・・アホの子が人並みに・・・」
「アホの子が天然くらいに成長したのか」
サブギルマスとギルマスがそれぞれの感想を述べた。
それに苦笑するレイヴン。
「・・・・・・言い方が・・・。まあ俺もそう思いましたけど」
「---で? ソレだけじゃ無いんだろう?」
「・・・分かります?」
「だって明らかに人のような仕草と反応だろう。気付くわ」
「本当に。急に普通の人のよう」
「・・・・・・ギルマス達は前世の記憶を持つ者にあったことがありますか?」
レイヴンが真剣な顔で聞いたのでギルマス達も真面目になった。
「俺は無いが・・・」
「私は過去に一人・・・。その人はこことは違う世界で生きていた記憶があると言っていましたが・・・・・・まさか」
「・・・そのまさかです。ブランシュは眠っている間に前世を思い出したらしくて」
「それじゃあ、今のブランシュは・・・」
「ぽやんとしたブランシュと前世の意識が混じり合って、人並みになった感じです。一人称も『僕』になって、羞恥心とか感情が出て来ました。俺は、どんなブランシュでも受け入れるつもりで装飾品を贈りました。それをギルマス達に伝えようと思って・・・」
そう言ってレイヴンはブランシュを抱き締めた。
「そう。良かったね、ブランシュ。きっと、その事をレイヴンに告げるのは勇気がいったでしょうに・・・」
『あの、でも、レイヴンなら受け入れてくれると思って・・・』
「・・・・・・なんか、普通になったせいか、コッチも照れるな。昨日は『えへへ?』って全く気にもしない感じだったのに」
「かえって可愛さが増えたね。レイヴン、変な虫がたくさん寄ってきそうですね。頑張って下さいね?」
「・・・・・・分かってます。昨日だけでアレだから」
不機嫌さを隠しもせずにそう言うレイヴンにハッと気付いたサブギルマスが慌てて重そうな皮袋を取り出した。
「そうそう、昨日の奴隷商人の捕縛の報奨金です。中を改めて受け取りにサインして下さい」
「---ああ、もう? それもあって来たんですけど、ちょうど良かった」
そう言って確認してサインを終えると、胸に重みがかかった。
見るとブランシュは寝息を立てていた。
「---寝ちゃいましたね」
「どうせ昼頃まで抱き潰してたんだろ? 幾ら精霊でも疲れるんじゃ無いか?」
冗談で言うギルマスに苦笑するレイヴン。
確かに精霊だが、精神的には人間の青年だろうブランシュだから、人間の生活習慣になっているのだろう。
「まあ、でも、前世の事は秘密にした方が良いです。私の知るその人は、要らぬ知識を披露してしまい、目を付けられて酷い思いをしてましたから。ブランシュは特にその容姿で既に目立っていますし」
「護ってやれよ。俺らも協力は惜しまないから」
「・・・ありがとうございます」
「それだけか? んじゃ、気を付けて帰れよ」
「お邪魔しました」
「ブランシュにもよろしくね」
レイヴンはフードを被せてそっとブランシュを抱き上げると、ブランシュに結界魔法をかけてギルドをあとにした。
「いやあ、まさか前世持ちとはねえ・・・」
「稀にいるのですが、会うことはほとんど無いですよ」
「トラブルに巻き込まれなきゃ良いがな」
「ソレってフラグって言うんですってよ」
「あん?」
「過去の前世持ちの人がよく言ってたんです。こうならなければ良いなと言うと、ソレが実際起ったりする。で、その口にした言葉をフラグ、そして起きた事柄をフラグ回収って言うんですって」
「じゃあ、トラブルが起きた場合はフラグが回収されたって事になるのか。面白えな」
「異世界って不思議なところですよね」
ギルマス達はほのほのと笑っていた。
実際に回収されるのはもう暫く後の話。
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