天然美人魔性植物と強面冒険者のアレコレ(仮)

エウラ

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29 御対面


「・・・ブランシュ、そろそろ戻ってこい」

レイヴンに頬をぺちぺちされてハッとしたブランシュは、視線をあげて周りを見回した。

するといつの間にか玄関に集まっていた壮年の男女と年嵩の男女が・・・。
さっきのカンアの話しぶりだと、おそらく両親と祖父母であろう。

つい今しがたまで思考の底に沈んでいたブランシュには急に現れたようなモノで、思わずビクッと跳ねてしまった。

『あっ、ごご、ごめんなさい! あのあの、初めましてブランシュです!』
「大丈夫だから落ち着け。ウチの両親と祖父母だから」
「そうそう。怖くないよー優しいよー大丈夫だよー」

慌てて挨拶をして謝るブランシュに声をかけるレイヴンとカンア。
そこに父親らしき方が静かに声を発した。

「・・・・・・その言い方が既に怪しいから止めなさい、カンア」
「えー? ・・・・・・はい、スミマセン父上」

巫山戯ていたカンアが窘められてシャンとする。
やはり父親だったようだ。

レイヴンとカンアと同じ黒髪黒瞳、年嵩の祖父母らしき方は白髪混じりだった。
しかし4人とも体格が良い。

「よろしい。では、初めまして。私は鴉一族の現頭領のコルニクス。こちらは番いのヴァローナ。そしてこちらは・・・」
「よろしくねブランシュちゃん。可愛い子が息子になってくれて嬉しいわあ!!」

がっちりした掌のお義父さんと、うふふっと妖艶な笑みで握手を交わすお義母さん。

「儂はカンアとレイヴンの祖父のモルテでコッチの婆さんが祖母のクレイエだよ」
「婆さんは余計よ、モルテ。ふふっ、気軽にばぁばと呼んでね、ブランシュちゃん」

そう言って同じように握手をするお祖父ちゃんお祖母ちゃん。

『・・・お若いですね。えと、ばぁば?』

ブランシュがそう呟くと、胸を押さえて崩れ落ちたクレイエ。

「---っくっ! なんて破壊力なの! 可愛いが過ぎるわ!!」
「儂は、儂のことはじぃじと!」

負けじとじぃじ呼びをお願いするモルテにもブランシュは快く応じる。

『じぃじ?』
「---ぐはっ・・・! 可愛いのう---!」

やはり崩れ落ちた。

己の祖父母ながら何時もとは真逆な反応に『誰だコイツら』的な気持ちになったレイヴンとカンア。
おそらく両親も同じ事を思っているだろう。
めちゃくちゃ渋い顔をしていた。

「素直すぎて心配だな」
「稀に見る純粋さねぇ」
「もう、里中大騒ぎだったろう?」
「そりゃあもう!!」
「---ッチ」

カンア達の会話に舌打ちを隠しもしないレイヴンと、ジジババに構われて戸惑いつつも嬉しそうなブランシュ。

何時になく穏やかな空気が流れていた。

しかし良い加減、衆目を集めてしまうので。

「---父上達、こんなところで騒いでるのもアレなんで、続きは中でお願いしますよ」
「おー、そうだった! ブランシュちゃんは何が好きなんだい?」
「そうそう、甘いものも塩っぱいものもあるからね。好きなモノを食べてね」
『え、あ、甘いのが・・・好きです。食べたこと、ほとんど無くて・・・』
「え、そうなの?! レイヴンったら甲斐性無しねぇ!」
『あ、ぇ、ぅ・・・・・・ちょっと、違くて・・・あの』

ブランシュの発言に祖母のクレイエがレイヴンを睨みつける。
それを見てブランシュはおろおろとした。

「---そこら辺は後で。とにかく中に入ろう。・・・・・・はあ・・・疲れた」

諸々の精神的な疲労だったのだが、ブランシュは素直に体力的な疲労だと思ってしまい、焦った。

『あっ、レイヴンずっと僕を抱えて翔んでたし、今も抱っこしてるぅ・・・・・・!! ごめんなさい、疲れたよね? 下ろしてくれて良いんだけど・・・!!』
「そう言う意味じゃ無い。ブランシュは軽いから問題ない」
「そうそう、ブランシュちゃんのせいじゃないわよ。ほら早く!!」
「・・・はいはい」

祖母に急かされ、サッサと屋敷に入っていくレイヴンの後を両親や祖父母が続く。

玄関を閉じれば、さっきの喧騒が嘘のように静まり返る。

屋敷の中の音も聞こえない。
話し声さえもしないのだった---。






※遅くなりました。


感想 89

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