32 / 43
31 そこのところkwsk!! 1(sideブランシュ)
しおりを挟むひとまず席についてお茶を頂く。
さすがにレイヴンの膝の上は遠慮したブランシュは、目の前にサーブされたティーカップを凝視していた。
「・・・ブランシュ?」
「あの、この里では一般的なお茶なのよ。グリーンティって言って、見た目は珍しいけど、とても美味しいの。良かったら・・・」
『---たい・・・』
「え?」
『この色、この香り・・・頂きます---っ!!』
ブランシュはポツリと呟くと、香りを嗅いで一口・・・からの驚愕の顔になった。
『---!! 緑茶!! やっぱり当たってた!! 凄い凄い、まさかココで飲めるなんて!』
「・・・落ち着け、ブランシュ、どうどう」
「イヤ馬じゃ無いんだから」
「ホントよねえ・・・」
「レイヴン、笑える」
めちゃくちゃ興奮状態のブランシュを宥めていると、周りから呆れた声が・・・。
そうこうしているうちに正気を取り戻したブランシュが、若干興奮気味に話し出した。
『あのコレ、このお茶!! 僕が昔住んでた国の一般的なお茶なんです! 緑茶っていって、庶民から偉い人まで飲んでて、ピンキリですけど色々味が違って・・・! とにかく、懐かしい味で・・・』
そう言いながら最後にほろりと涙が溢れたブランシュ。
前世で慣れ親しんだ味なのだろう。
それで何か思い出したのかもしれない。
「---そうか、良かったな。好きなだけ飲めるぞ」
『うん、うん、ありがとう。・・・ごめんなさい、なんか泣けちゃって・・・』
「良いのよ。気にしないで。さあさあ、お茶に合うお菓子もたくさんあるのよ」
「そうそう。羊羹もあるよ!」
『えっ、羊羹?! マジ天国・・・夢じゃ無いよね?!』
「---ふっ、夢じゃねえよ。好きなだけ食え」
『わーい!!』
カンアや両親の痛い視線に後でと口パクすれば一応納得したらしい。
---俺だって詳しくは知らないんだよ。
はああ、と溜息を吐いていると、ブランシュが羊羹を頬張りながらレイヴンを見た。
『そう言えばレイヴンのお家の人達って、何のお仕事してるの?』
「---ああ、そう言えば言ってなかったな」
「え、ブランシュちゃんに知らせないでココに連れて来たのか?!」
「後でって言ってそれきり・・・忘れてた」
「・・・大丈夫だった?」
「レイヴン、言葉たらずなところあるから・・・」
『? 別に困ったことは何も? ただ、ココに着いたとき、忍びの里みたいだなって思いましたけど・・・』
「「「シノビ?」」」
初めて聞く言葉にキョトンとする三人。
ブランシュはそのまま続けた。
『はい。闇に紛れて隠密行動する、秘密の暗殺者みたいな?』
「「「---・・・レイヴン?」」」
どういう事だと、両親とカンアが思わずレイヴンに鋭い視線を送る。
「・・・ソレも後で。良いか、ブランシュ。鴉一族の仕事は概ねソレであってる。代々、どこかの主に仕えたり情報収集したり、暗殺業を生業としている一族だ。もちろんむやみやたらに殺したりとかしないけどな」
『・・・・・・はえぇ・・・』
「おいレイヴン、ストレート過ぎる。さすがにブランシュちゃんには刺激が強すぎるって!」
カンアが焦ってツッコむ。
しかしレイヴンは至って冷静だった。
「イヤ、コイツはこれくらいはっきり言わないと分からないから」
「そうだろうけど、ちょっと・・・」
『---カッコいい!!』
「は?」
聞こえた声に驚いて振り向くと、ブランシュがキラキラした瞳でカンア達を見つめていたのだった。
139
あなたにおすすめの小説
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる