9 / 26
9 サナ 冒険者ギルドへ行く
しおりを挟む
ご飯を食べ終わって、口の周りをヒョウガさんが拭ってくれた。
ん?
零れてた?
すみません。
ヒョウガさんは、ご馳走様をした僕を縦に抱えてから部屋の鍵を女将さんに渡す。
「ちょっとギルドに行ってくる」
「はいよ。気を付けてね」
「いっちぇきまふ」
・・・おうふ、噛んだ。
ぷふっと鼻で笑ったのが聞こえたぞ、ヒョウガさん!
何なら肩が震えてる。
笑うなら堂々と笑え---!
心の中でフンフン拗ねておく。
目が覚めて初めて見る街の景色に、さっき拗ねていた事なんてさっさと忘れた。
朝と言ってもけっこう遅い時間だったのか、お店も開いてるし人通りが多い。
遠くに市場らしいものが見えたが、そっちはまだまだ買い物客で溢れていた。
凄い!
これぞ異世界って感じの街並みに、首がもげるぞと言われるまでキョロキョロと見回していた。
そして宿から歩いて10分くらい?
ちょっと街外れのところに来た。どちらかというと外壁に近い。
そのまま歩いて、何やら剣と盾のような絵の看板がぶら下がっている建物に着いた。
泊まっている宿の3倍はありそうな大きい建物だ。
『ほええ---』
思わずポカンと口を開けたまま空を仰ぐ。
4階建て?
屋上があるのか、見張りっぽい冒険者風な人が数人立っているのだ見えた。
あれかな、見張り台・・・櫓の役割かな。
確かに遠くまで見えそうだ。
立ってた一人が僕の視線に気付いたのか、手を振ってくれたので僕も振りかえした。
ヒョウガさんも手を挙げて、それに応えてるから知り合いなのかも。
そんなやりとりをしてからギルドの扉を開けて入ると、中は思ったよりも綺麗だった。
あれだ。お役所の受付みたいな。
登録・変更受付と依頼書の受付、素材の受付に解体場・・・。
きっちり分かれているから混み合ってないし対応もしっかりとしてる。
凄いなあ。
そんな風に観察しているうちに二階の階段を上がり始めた。
『ヒョウガさん、どこに向かってるの?』
『ギルドマスターの執務室だ』
『・・・何故に?』
『サナを保護することを伝えていたから、挨拶をしておかないとな』
『ふうん。どんな人? 怖い?』
『顔は怖いかもな』
えええ?
大丈夫かなあ・・・。
二階に着くと、重厚な造りの扉があった。
たぶんここがギルドマスターの部屋なんだろうな。
緊張してゴクッと唾を飲み込んだ。
「ギルマス、ヒョウガです」
「ああ、来たか。入ってくれ」
「失礼します」
そういって扉を開けると、どっしりとした机に向かって座る角?が二本ある強面のおじさんと、その後ろには女の人かと見まごう綺麗なお兄さんが立っていた。
「やっと来たか。その子が例の・・・?」
「小さいですね!」
「ああイヤ、これでも夕べ一晩でこの大きさになったんだ。最初は手のひらサイズくらいだった」
「ええ?! どういう事ですか」
「・・・あにょ、ひょおがたん、こにょひちょちゃちは、だれ、でしゅか?」
滑舌が悪いが仕方ない。
紹介してもされてもないので、ヒョウガさんに聞いてみた。
たぶんギルマスとサブギルマスだと思うんだけど。
「ああすまない。俺はギルマスのアインと言
いう。鬼人族だ」
「すみません。私はサブギルマスでアルティスといいます。種族はエルフですよ」
「しゃ・・・ちゃ・・・あうう、さ・なといいましゅ」
「頑張って言えたな。偉いぞ」
『か、可愛い---!』
サナ以外が皆思っていた。
ん?
零れてた?
すみません。
ヒョウガさんは、ご馳走様をした僕を縦に抱えてから部屋の鍵を女将さんに渡す。
「ちょっとギルドに行ってくる」
「はいよ。気を付けてね」
「いっちぇきまふ」
・・・おうふ、噛んだ。
ぷふっと鼻で笑ったのが聞こえたぞ、ヒョウガさん!
何なら肩が震えてる。
笑うなら堂々と笑え---!
心の中でフンフン拗ねておく。
目が覚めて初めて見る街の景色に、さっき拗ねていた事なんてさっさと忘れた。
朝と言ってもけっこう遅い時間だったのか、お店も開いてるし人通りが多い。
遠くに市場らしいものが見えたが、そっちはまだまだ買い物客で溢れていた。
凄い!
これぞ異世界って感じの街並みに、首がもげるぞと言われるまでキョロキョロと見回していた。
そして宿から歩いて10分くらい?
ちょっと街外れのところに来た。どちらかというと外壁に近い。
そのまま歩いて、何やら剣と盾のような絵の看板がぶら下がっている建物に着いた。
泊まっている宿の3倍はありそうな大きい建物だ。
『ほええ---』
思わずポカンと口を開けたまま空を仰ぐ。
4階建て?
屋上があるのか、見張りっぽい冒険者風な人が数人立っているのだ見えた。
あれかな、見張り台・・・櫓の役割かな。
確かに遠くまで見えそうだ。
立ってた一人が僕の視線に気付いたのか、手を振ってくれたので僕も振りかえした。
ヒョウガさんも手を挙げて、それに応えてるから知り合いなのかも。
そんなやりとりをしてからギルドの扉を開けて入ると、中は思ったよりも綺麗だった。
あれだ。お役所の受付みたいな。
登録・変更受付と依頼書の受付、素材の受付に解体場・・・。
きっちり分かれているから混み合ってないし対応もしっかりとしてる。
凄いなあ。
そんな風に観察しているうちに二階の階段を上がり始めた。
『ヒョウガさん、どこに向かってるの?』
『ギルドマスターの執務室だ』
『・・・何故に?』
『サナを保護することを伝えていたから、挨拶をしておかないとな』
『ふうん。どんな人? 怖い?』
『顔は怖いかもな』
えええ?
大丈夫かなあ・・・。
二階に着くと、重厚な造りの扉があった。
たぶんここがギルドマスターの部屋なんだろうな。
緊張してゴクッと唾を飲み込んだ。
「ギルマス、ヒョウガです」
「ああ、来たか。入ってくれ」
「失礼します」
そういって扉を開けると、どっしりとした机に向かって座る角?が二本ある強面のおじさんと、その後ろには女の人かと見まごう綺麗なお兄さんが立っていた。
「やっと来たか。その子が例の・・・?」
「小さいですね!」
「ああイヤ、これでも夕べ一晩でこの大きさになったんだ。最初は手のひらサイズくらいだった」
「ええ?! どういう事ですか」
「・・・あにょ、ひょおがたん、こにょひちょちゃちは、だれ、でしゅか?」
滑舌が悪いが仕方ない。
紹介してもされてもないので、ヒョウガさんに聞いてみた。
たぶんギルマスとサブギルマスだと思うんだけど。
「ああすまない。俺はギルマスのアインと言
いう。鬼人族だ」
「すみません。私はサブギルマスでアルティスといいます。種族はエルフですよ」
「しゃ・・・ちゃ・・・あうう、さ・なといいましゅ」
「頑張って言えたな。偉いぞ」
『か、可愛い---!』
サナ以外が皆思っていた。
208
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜
なの
BL
社畜として働き詰め、過労死した結城智也。次に目覚めたのは、獣人だらけの辺境村だった。
藁葺き屋根、素朴な食事、狼獣人のイケメンに介抱されて、気づけば賢者としてのチート能力まで付与済み!?
「静かに暮らしたいだけなんですけど!?」
……そんな願いも虚しく、井戸掘り、畑改良、魔法インフラ整備に巻き込まれていく。
スローライフ(のはず)なのに、なぜか労働が止まらない。
それでも、優しい獣人たちとの日々に、心が少しずつほどけていく……。
チート×獣耳×ほの甘BL。
転生先、意外と住み心地いいかもしれない。
婚約破棄を傍観していた令息は、部外者なのにキーパーソンでした
Cleyera
BL
貴族学院の交流の場である大広間で、一人の女子生徒を囲む四人の男子生徒たち
その中に第一王子が含まれていることが周囲を不安にさせ、王子の婚約者である令嬢は「その娼婦を側に置くことをおやめ下さい!」と訴える……ところを見ていた傍観者の話
:注意:
作者は素人です
傍観者視点の話
人(?)×人
安心安全の全年齢!だよ(´∀`*)
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
【完結】竜討伐の褒賞は、鹿角の王子様。(志願)
N2O
BL
執着王子 × 異世界転生魔法使い
魔法使いが逃げられなくなる話。
『上』『中』『下』の全三話、三連休中に完結します。
二万字以下なので、ショートショート𖤣𖥧𖥣
Special thanks
illustration by okiagsa様(X:@okigasa_tate)
MBM様(X:@MBMpaper)
※独自設定、ご都合主義。あしからず。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる