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この異世界に不幸があるわけない!
異世界 2
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「そういえば名前聞いてなかったよね?なんていうの」
美少女と俺は人目のつかない裏道を通りながら寮を目指した。
ず、随分。積極的に話しかけてきてくれるんだな。でも、ちょっと安心したかも。
「相澤孝太だけど」
「アイザワコータ?最近そんな感じの名前よく聞くな」
ってことは、俺の他にもここに送り込まれた死者がいるってことか?
…となると、ここの世界は全員がどこかで亡くなった元死者ということになるが…
「ちなみに私は、アイリス・ガーネット。気軽にアイリスって呼んで?」
「わかった」
仮にアイリスが異国の地で亡くなったとして世界中から「死後の世界」とやらに望んだ人が送り込まれたら人口爆発が起きても不思議じゃない。
いや、考えても無駄か。もっと時間があるときに考えよう。
まずは、この生活に慣れてからでも遅くないはず。
「着いたわ、ここから入るの扉低いから気をつけて」
木製の古びたドアを開けると高級感漂う赤い絨毯と大きなシャンデリア。
上機嫌なアイリスと階段を上りながら一番突き当たりの部屋に通されると驚いた。
なんだここ…!
全て一流品の家具(みたいな感じ)
八畳にも及ぶ広い部屋に加え部屋にトイレや風呂付き。
寮というより、ホテルだよな。
「お金はとんないよ、自由に使って」
え、マジかよ…。
「まさか…俺をどこかへ売り飛ばす気?」
闇市とかで臓器売買とか。ここで一晩寝てたら臓器が一つないとか。
「いや、そんなことしないよ。ゆっくりしてって」
美しい笑顔を浮かべるアイリスに言葉が出ない。
まさかとは思ってたけど、なんでこんなに優しいんだ?
さっき会ったばっかりの赤の他人にもかかわらずこの親切な感じ…
女神とかなんかかな?
ほら、前世の恋人とか。
……はい、夢見ました。こんな美少女が恋人とか夢見てました。
アイリスの親切心によりなんとか宿はゲットできたがこれからが問題だった。
まず、食料、それと衣服。
それらを調達にはお金がいるのだが、この世界の通貨はおろかお金になるものすらない。
最悪、この制服を売るしかないが…
「コータ!!!!」
「うわっ…な、なんだ?」
アイリスが息を切らして部屋に飛び込んできた。
汗かいているのに不細工にならない。
世の中理不尽だなと思いながらアイリスから漏れるただならぬ雰囲気に半ば強引にクローゼットに押し込まれた。
「少しの間じっとしてて」
埃っぽいクローゼットの中は光に閉ざされ外の様子は伺えなかったが誰かが近づいてくる気配だけは感じ取ることはできた。
「久しぶりね、アイリス?」
女の声だ。
「昨日もきたくせに久しぶりじゃないんじゃない?」
え、なに、もしかしてこれから言い合いでも始まるパターン?
アイリスの声のトーンも若干低いし…
「今日は話があってきたの、まぁ、わかるだろうけど早くここから出てって欲しいんだけど」
「お断りします」
アイリスの考える暇もない結論に女は急に笑い出した。
…なんだ?
「いくらガーネット家でも学校のルールは守らないと…でしょ?」
ガーネット家?それって、アイリスのファミリーネームだよな。
え、まさかこの子、金持ちかなんかなんじゃ…。
「だから、あんたの仲間も出て行ったんじゃないの?」
アイリスは、何故か黙り込んだ。
二人の間に何かあったのはわかるがここの中、だんだん苦しくなってきた。
埃すげえし咳出そう。
「確かにあれは私の責任よ、今更誰かを責めたいとは思わない」
「………でさ、さっきからそのクローゼットの中に何隠してるの?」
クローゼットの中って……俺?
え、声とか微動だにしなかったのになんでわかるんだよ!!
やべえ、見つかったら殺されそうな雰囲気なんだけど、アイリスうう、なんかいえよおお!!!!
「ねずみでしょ?ここ、私しかいないんだから他の人間がいるわけないじゃない」
「そうね」
アイリスのフォローで女に追求されずに済んだが、ここの屋敷にアイリス一人?
「早く出てってくれるかしら、私これから用があるんだけど」
「随分と調子に乗るのね」
肉のぶつかる鈍い音とアイリスのうめき声が聞こえ俺は震えるしかなかった。
こええええ…大丈夫かよ、アイリス。
「ゲホゲホ…はぁ…相変わらず、乱暴ね」
「ただ、邪魔なゴミを蹴っただけよ?」
……。
「じゃ、ゴミはゴミらしくここに居座ってやろうかしら」
アイリスの挑発に女は乗らず馬鹿にしたように笑った。
「あははははは!!!やれるもんならやってみなさいよ。そんなことして、後でどうなるかなんてあんたが一番分かってるじゃない」
「…そうね」
「まぁ、いいわ。私も退屈してたの。楽しみが増えて嬉しいわ」
じゃあね、アイリス。と色っぽい声の後、完全に外は静寂に包まれた。
…帰ったのか。
それにしてもなんなんだ、あの女。顔は見てないけど、アイリスとの間に何かあったのか?
「アイリス?」
ゆっくりクローゼットの扉を開けるとアイリスがベッドに倒れ、からだの折り曲げてその表情は苦しそうだ。
おいおい、大丈夫かよ…!!
「大丈夫か…?」
「だいじょーぶい☆」
何が、だいじょーぶい☆だ。
顔真っ青じゃねえか。大丈夫とか嘘だろ。
「あいつはなんなんだ?」
「……うーん、ちょっと過激派の人たちかな」
なんだよ。この世界、こんなヤバそうな奴らばっかなのかよ。
ゆっくり起き上がるも痛そうな声を漏らしながら痛む部位に手を当てた。
「ヒール…」
アイリスの手から淡い光が痛む部分を包む。内出血を起こしていた後は消え、腫れも消えた。
アイリス自身の顔色も良くなっていった。
突然の出来事に頭がついていけず口をあんぐり開けた。
今のって…?
「あのさ、今の何?」
「今のって…まさか知らないの?」
アイリスがいつもの口調に戻ると、もう、痛がる素振りは見せなかった。
え、なんかマズいかんじ…?
だんだん真っ青になっていくアイリスに不安が消えなかった。
えっと…不安になるからやめてもらえます?
「言葉より、直接…見せたほうがいいかも」
アイリスは立ち上がると「トランスフォーム」と唱えた。
あの淡い光は今度は全身を包みあっという間にアイリスは姿を変えた。
青いストレートの短めの髪に青い瞳。衣服も布の面積が増え学校の制服がようなのに変わった。
…あれだな。元がいいとどんな格好しても美少女は美少女だな。
このアイリスはどちらかというと大人しめな印象だな。
「コータ、あんま見ないでよ。この格好、恥ずかしいんだら!」
「…じゃあ、さっきの姿でいいじゃねえか」
「あの姿は何かと面倒なの!!」
はいはい、そうですか。
アイリスは、むすっとしたように俺に人差し指を突き出してあの呪文を唱えた。
暖かい光に包まれ気づけばアイリスの着ている制服に似た男子の制服を着ていた。
あれなんだな。男子の制服って以外と日本とそう変わらないんだな。
女子もあんまり変わらないがこれはこれで趣があるけど…
「これから、学校に行くからコータは私から離れないようにね」
「あ、ああ」
学校か…。懐かしい響きだな。
アイリスが俺の手を握り呪文を唱えた。
「テレポーテーション!!」
美少女と俺は人目のつかない裏道を通りながら寮を目指した。
ず、随分。積極的に話しかけてきてくれるんだな。でも、ちょっと安心したかも。
「相澤孝太だけど」
「アイザワコータ?最近そんな感じの名前よく聞くな」
ってことは、俺の他にもここに送り込まれた死者がいるってことか?
…となると、ここの世界は全員がどこかで亡くなった元死者ということになるが…
「ちなみに私は、アイリス・ガーネット。気軽にアイリスって呼んで?」
「わかった」
仮にアイリスが異国の地で亡くなったとして世界中から「死後の世界」とやらに望んだ人が送り込まれたら人口爆発が起きても不思議じゃない。
いや、考えても無駄か。もっと時間があるときに考えよう。
まずは、この生活に慣れてからでも遅くないはず。
「着いたわ、ここから入るの扉低いから気をつけて」
木製の古びたドアを開けると高級感漂う赤い絨毯と大きなシャンデリア。
上機嫌なアイリスと階段を上りながら一番突き当たりの部屋に通されると驚いた。
なんだここ…!
全て一流品の家具(みたいな感じ)
八畳にも及ぶ広い部屋に加え部屋にトイレや風呂付き。
寮というより、ホテルだよな。
「お金はとんないよ、自由に使って」
え、マジかよ…。
「まさか…俺をどこかへ売り飛ばす気?」
闇市とかで臓器売買とか。ここで一晩寝てたら臓器が一つないとか。
「いや、そんなことしないよ。ゆっくりしてって」
美しい笑顔を浮かべるアイリスに言葉が出ない。
まさかとは思ってたけど、なんでこんなに優しいんだ?
さっき会ったばっかりの赤の他人にもかかわらずこの親切な感じ…
女神とかなんかかな?
ほら、前世の恋人とか。
……はい、夢見ました。こんな美少女が恋人とか夢見てました。
アイリスの親切心によりなんとか宿はゲットできたがこれからが問題だった。
まず、食料、それと衣服。
それらを調達にはお金がいるのだが、この世界の通貨はおろかお金になるものすらない。
最悪、この制服を売るしかないが…
「コータ!!!!」
「うわっ…な、なんだ?」
アイリスが息を切らして部屋に飛び込んできた。
汗かいているのに不細工にならない。
世の中理不尽だなと思いながらアイリスから漏れるただならぬ雰囲気に半ば強引にクローゼットに押し込まれた。
「少しの間じっとしてて」
埃っぽいクローゼットの中は光に閉ざされ外の様子は伺えなかったが誰かが近づいてくる気配だけは感じ取ることはできた。
「久しぶりね、アイリス?」
女の声だ。
「昨日もきたくせに久しぶりじゃないんじゃない?」
え、なに、もしかしてこれから言い合いでも始まるパターン?
アイリスの声のトーンも若干低いし…
「今日は話があってきたの、まぁ、わかるだろうけど早くここから出てって欲しいんだけど」
「お断りします」
アイリスの考える暇もない結論に女は急に笑い出した。
…なんだ?
「いくらガーネット家でも学校のルールは守らないと…でしょ?」
ガーネット家?それって、アイリスのファミリーネームだよな。
え、まさかこの子、金持ちかなんかなんじゃ…。
「だから、あんたの仲間も出て行ったんじゃないの?」
アイリスは、何故か黙り込んだ。
二人の間に何かあったのはわかるがここの中、だんだん苦しくなってきた。
埃すげえし咳出そう。
「確かにあれは私の責任よ、今更誰かを責めたいとは思わない」
「………でさ、さっきからそのクローゼットの中に何隠してるの?」
クローゼットの中って……俺?
え、声とか微動だにしなかったのになんでわかるんだよ!!
やべえ、見つかったら殺されそうな雰囲気なんだけど、アイリスうう、なんかいえよおお!!!!
「ねずみでしょ?ここ、私しかいないんだから他の人間がいるわけないじゃない」
「そうね」
アイリスのフォローで女に追求されずに済んだが、ここの屋敷にアイリス一人?
「早く出てってくれるかしら、私これから用があるんだけど」
「随分と調子に乗るのね」
肉のぶつかる鈍い音とアイリスのうめき声が聞こえ俺は震えるしかなかった。
こええええ…大丈夫かよ、アイリス。
「ゲホゲホ…はぁ…相変わらず、乱暴ね」
「ただ、邪魔なゴミを蹴っただけよ?」
……。
「じゃ、ゴミはゴミらしくここに居座ってやろうかしら」
アイリスの挑発に女は乗らず馬鹿にしたように笑った。
「あははははは!!!やれるもんならやってみなさいよ。そんなことして、後でどうなるかなんてあんたが一番分かってるじゃない」
「…そうね」
「まぁ、いいわ。私も退屈してたの。楽しみが増えて嬉しいわ」
じゃあね、アイリス。と色っぽい声の後、完全に外は静寂に包まれた。
…帰ったのか。
それにしてもなんなんだ、あの女。顔は見てないけど、アイリスとの間に何かあったのか?
「アイリス?」
ゆっくりクローゼットの扉を開けるとアイリスがベッドに倒れ、からだの折り曲げてその表情は苦しそうだ。
おいおい、大丈夫かよ…!!
「大丈夫か…?」
「だいじょーぶい☆」
何が、だいじょーぶい☆だ。
顔真っ青じゃねえか。大丈夫とか嘘だろ。
「あいつはなんなんだ?」
「……うーん、ちょっと過激派の人たちかな」
なんだよ。この世界、こんなヤバそうな奴らばっかなのかよ。
ゆっくり起き上がるも痛そうな声を漏らしながら痛む部位に手を当てた。
「ヒール…」
アイリスの手から淡い光が痛む部分を包む。内出血を起こしていた後は消え、腫れも消えた。
アイリス自身の顔色も良くなっていった。
突然の出来事に頭がついていけず口をあんぐり開けた。
今のって…?
「あのさ、今の何?」
「今のって…まさか知らないの?」
アイリスがいつもの口調に戻ると、もう、痛がる素振りは見せなかった。
え、なんかマズいかんじ…?
だんだん真っ青になっていくアイリスに不安が消えなかった。
えっと…不安になるからやめてもらえます?
「言葉より、直接…見せたほうがいいかも」
アイリスは立ち上がると「トランスフォーム」と唱えた。
あの淡い光は今度は全身を包みあっという間にアイリスは姿を変えた。
青いストレートの短めの髪に青い瞳。衣服も布の面積が増え学校の制服がようなのに変わった。
…あれだな。元がいいとどんな格好しても美少女は美少女だな。
このアイリスはどちらかというと大人しめな印象だな。
「コータ、あんま見ないでよ。この格好、恥ずかしいんだら!」
「…じゃあ、さっきの姿でいいじゃねえか」
「あの姿は何かと面倒なの!!」
はいはい、そうですか。
アイリスは、むすっとしたように俺に人差し指を突き出してあの呪文を唱えた。
暖かい光に包まれ気づけばアイリスの着ている制服に似た男子の制服を着ていた。
あれなんだな。男子の制服って以外と日本とそう変わらないんだな。
女子もあんまり変わらないがこれはこれで趣があるけど…
「これから、学校に行くからコータは私から離れないようにね」
「あ、ああ」
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