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この異世界に不幸があるわけない!
学校
しおりを挟むアイリスと共に移動したのはどこかの廊下。
「よかった。ちょうど人がいなくて…」
今のって瞬間移動ってやつなのかな?テレポーテーションとか言ってたし…。
いま、かなりすごいこと経験してないか?
なんだろう、すげえ楽しい!!!
「校舎…綺麗だな」
「でしょ?一応、名門校だからね」
「名門なのかここ」
アイリスは、ドヤ顔で頷いた。
俺が通っていた高校は私立だけあってかなり設備がいいと思っていたがここはそれ以上だ。
廊下なんてカーペットだし、ドアもなんか高そう。
監視カメラまで設置されていてさすが名門校なんだなと納得がいく。
じゃなきゃ、あんな寮学校なんかに建てねえよな。
「一応、説明しておくと。ここ【聖グリニッジ魔法専門学校】は名門魔法学校なの」
じゃあ、アイリスが唱えていた呪文も魔法だったのか。
すげえ、空想の世界だけなのかと思ってたけどあるんだな!!
「学べるのは魔法だけなのか?」
「…nono!他にも体術や薬学、魔法の他にも様々なことが学べるのは、ここだけなの!」
だったら、他の学校では何を学べるんだ。
そんなところの生徒で凄いでしょ?私!みたいに機嫌がいいアイリス。
すれ違う生徒に頭のおかしい子みたいな視線を送られてることに気がつかないものか。
「そしたら、希望者が年々上昇し今じゃあ超難関校として広まり……って聞いてる?」
「聞いてる、聞いてる」
興奮しているアイリスを適当に流す。
「…まぁ、そのせいでかなりの実力主義の学校なんだよね」
「だろうな」
超難関校なら、実力主義でも不思議ではない。
つか、体術やら薬学やら学べるとか言ってたけどここ魔法の専門学校じゃないのかよ。
アイリスを見てるととてもじゃないが優秀には見えない。
まだ、会って日が浅いのも関係しているがもっとおしとやかな印象だったのに。
「ついた!コータ、ここ!!」
アイリスが指差すのはドーム状の建物。中へ入ると真ん中の大きいフィールドに観客席が三階分ありライブ会場かよと突っ込みたくなる。
観客席には、ちらほら人が見えフィールドにいる人を見ているようだ。
よく見ると、1人は金髪の美少女。
もう1人は、背を向けていて分からないが体型的に男だろう。
ドーム状の建物に緊張が走り静まり返る。
やがて、金髪美少女が何やら動き始めると何もなかった空間に大鎌が表れた。
「なんだあれ!?」
「あれはね」
待ってましたかのにアイリスが腕を組み始めた。
その間も金髪美少女はからだの倍以上もある大鎌を器用に振り回して自由自在に操っている。
「魔法には色々使い道があってその人が自由に決めていいの。あの子みたいに道具を武器にする子やあの男みたいに…」
指差すと金髪美少女の相手の男は床に殴りを入れた。
ズズズと地鳴りの後に金髪美少女の足元に大きいブロックが表れた。
「あ!」
金髪美少女は弾き飛ばされ………ない?
見事な身軽さで空中で宙返りをし綺麗に着地した。
す、すげえ。
「あの男のように己自身を使って戦う…まぁ、男に多いかな?」
感心していると金髪美少女が反撃に出る姿勢をとった。くるくる鎌を高速で回転させながら右脚を踏み込んだ。
大きく振り下ろした斬撃が空気を伝い男を斬りつけた!!爆音が鳴り響き土煙が舞い上がった。
どうなったんだ…!?
土煙がやみフィールドが目視できてくると相手の男はピンピンしていた。
「大丈夫なのか?あれ…」
「大丈夫よ、シャルは強いから…」
自信満々なアイリスの表情。
あの、金髪美少女の知り合いのような台詞だ。言う通りに見守ると金髪美少女の姿が消えていた。相手の男もキョロキョロ探しながらも臨戦対戦だ。
それは、一瞬だった。
男の背後に黒いものがあらわれ大鎌があらわれた。
男は斬りつけられその場に倒れた。
「勝負アリだね…」
アイリスが呟くと、金髪美少女は倒れた男のそばにいつの間にか立っていた。
「シャル~~!!」
「お、おい!!」
金髪美少女は上を見上げると「アイリス~~!!」と大きく手を振った。
そして、軽くジャンプするとあの金髪美少女は、軽々と観客席に着地した。
…すげえ。なんなんだ。
つか、間近で見るとこの子めっちゃ、エロい体つきしてんじゃん。
出るところは出て締まるところは締まってるし。
見惚れているとアイリスが小突いてきた。
「アイリス、この人は?」
「今度、転入してくるアイザワコータって言って今、校内を案内してあげてるの」
「ふ~ん…私は、シャーロット・リアス。シャーロットって呼んでね」
「お、おう…」
シャーロットは、大鎌を担いだままアイリスの隣に並ぶとアレだな…
アイリスは、胸元が残念だな。シャーロットと並ぶと余計。
「もうちょっと、アイリスと居たかったけど集計に行かないと行けないから行くね」
「うん、じゃあまた明日ね」
シャーロットは、指を鳴らし大鎌が消えるととぼとぼどこかへと消えた。
俺たちはドーム状の建物を後にするとアイリスに詰め寄った。
「おい、なんだよ。今度転入するって聞いてねえよ」
「あはは、理事長に言えば入学させてもらえそうかなって…」
アイリスは、狼狽えた。
まともに魔法すら使えないのにこんな名門校に入学できるわけないだろ。
現実そこまで甘くないだろう。
あ、でも…ここ死後の世界だから現在ではないのか??
「行ってみよ?ね?大丈夫だからさ」
「いや、無理だろ…」
アイリスに手を引かれ俺は言われるがまま廊下を歩いた。
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