この異世界に不幸があるわけない!

及川ことり

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この異世界に不幸があるわけない!

能力

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「ここが理事長室」
アイリスに連れて行かれやってきた理事長室。
…よくわからないが、ヤバそうな雰囲気なら感じ取れる。
正直、入りたくない。
そんなのをよそにアイリスは、コンコンとノックを始めた。
「おい!心の準備があるだろうが!!」
「え~、だって…」
すると、ガチャとドアが勝手に開いた。
もちろんそばに人なんていない。
…これも魔法ってやつ?

「入りたまえ…」

「は、はい!!」
おじさんの声に俺は部屋の中へ入ると室内は日本の学校とそう変わらなかった。
黒い革製の椅子に腰掛けるのは四十代くらいのおじさん。
「この学校に入学したいと?」
「え、あ…はい」
な、なんでそんなの知ってるの。こええよ。つか、なんでアイリスは入ってこないんだよ。

「よかろう、入学を許可する」

は?

「は…はい?ありがとうございます?」
あれ?ここって名門校じゃないのかよ…。実技試験とか筆記試験とかあるんじゃないのかよ。
半ば呆れながら簡単な手続きをした後理事長から手のひらサイズのカードを渡された。
なんだこれ??
「部屋の外にいる少女に詳しいことは聞いてくれ」
「は、はい?」
理事長を出るとアイリスがビックリしたような表情で俺を見ていた。
コイツ…よくわからない奴と二人きりにしやがって…と、文句言ってやるつもりだったが飲み込んだ。
「どうだった?」
「え?」
「もらったでしょ?カード」
理事長に言われた通り渡されたカードをアイリスに見せると「は!?」と素っ頓狂な声を上げた。
最初見たときレベルらしき表記とスキルと俺が使える魔法?みたいなのが印刷されていたがよくわからない。
アイリスの反応を見る限りでは相当凄いのだろう。
俺は一体どんな能力を使えるのだろうか。ワクワクしてきたな。
「ねぇ…魔法を知らないって言ってたけど元はどこにいたの?」
それ今関係あるのか?
日本という国で死んでここに送り込まれた。なんて、言ったら頭のおかしい子になるだろう。
「大丈夫!笑ったりしないから」
「…日本ってところだけど」
アイリスは何か知ってるように「やっぱり」と呟いた。
そういえば、俺の名前を聞いたときも知ってる風だったもんな。ってことは、アイリスは何かを知ってることになる。
「知ってるのか?」
「あ~うん、でも…この話は明日でいい?」

「いいけど…」
アイリスとともに瞬間移動で寮に戻ると外は赤みがかっていた。


夕方ってところか。アイリスに呼ばれいつの間にか料理が並べてあった。
尽くしてもらってばっかでアイリスには悪いなとは思いながらも空腹には耐えられずいただくことにした。この様子を見ると食事には困らなそうだ。
入浴を済ませると早く眠りについた。


「今日からこのクラスに転入することとなった相澤孝太です。よろしくお願いします」
パラパラ聞こえる拍手と近くの人たちで話すヒソヒソ声に俺は頭を下げた。
…人前で話すとかほんと嫌だわ。しかも、アイリスと同じクラスとか聞いてないし。
教室自体も日本とはわからない机と椅子と黒板。唯一違うといえば、俺がまた高校一年からやり直してることくらいだ。
一応、日本の学生の頃は三年の九月に病気が見つかり一か月後死んだのだ。
ただ、一言めんどくさいに尽きる。
「席は…ガーネットさんの隣に座ってくださいね」
「はい…」
アイリスの隣とかマジかよ。まぁ、知り合いがいるだけマシか…。椅子に腰掛けると前の席の男子が振り返ってきた。
しかも、かなりの美少年。

「オレ、ウィリアム・テルっていうだ。よろしくな」

「よろしく…」
ウィリアムはthe爽やか系。クラスに1人はいる女子に人気が高い系。
チャイムが鳴り、席を立とうとする俺を阻むのはクラスメイト達。
「ねえねえ、コータくんってどんな魔法が使えるの??」
「それ気になったー!!ここの試験をクリアするんだもん。気になるよね~」
「教えろよ~」
新参者の加入は、注目を集める。仕方ないがこれも使命だ。
アイリスの方をチラッと見たが頭を小さく横に振った。
まだか…。
「ごめん?まだ秘密にしたいんだ。三限目に教えてあげるよ」
クラスメイトからは落胆の声が聞こえ俺はとりあえず笑っといた。

そして…

俺らが集まったのはあのドーム状の建物。生徒からは、闘技場よ呼ばれてるらしい。
まぁ、昨日の雰囲気でそれくらいしか使い道がなさそうだけど。
事前にアイリスと担任に聞かされたが、流石超名門。授業の内容が凄いとしか言いようがない。
「あなたの相手誰かな…」
「さぁな、ランダムなんだろ?」
「そうだけど、場合によっては最悪の相性だってあるの」
観客席に座りクラスメイトはモニターに釘付けになった。
そこにはクラスメイト全員の名前が表示されルーレットのように名前が高速で入れ替わっていく。
「それでは、一回戦目のペアは…」
教科担当の教師がボタンを押すと名前と顔がモニターに映し出された。

エル

vs.

キャサリン

…俺でもアイリスでもないか。
エルとキャサリンは観客席からフィールドに降り立つと笑顔で握手を始めた。
たたかいはそんなに時間がかからなかった。圧倒的にエルの方が実力が上だからだ。
アイリス曰く、実力主義のこの学校は二ヶ月に一回、トーナメント戦というものを行うらしい。
まず、クラス内の上位三名をトーナメントで決め、次に闘技場でたたかう。とても、シンプルだが、一年の中で敗戦が十五を上回る場合、退学になってしまう。
恐ろしい学校だとつくづく感じる。
授業でも、クラス内のトーナメント戦は週一で行う形式になっていて勝敗も記録される。
「ありがとう、コータ。君には、感謝してる」
「いいよ、お前には一応宿を貸してくれた恩があるし」
何故、俺がこの学校に入学することに納得したかはアイリスとのある約束があるからだった。
クラス内トーナメント戦は続き、最後になるまで残ったのは俺と、あの爽やか系美少年だけとなった。
「アイリス…ここから飛び降りるんだよな…?」
「そうよ?早く行きなさいよ」
ええ…怖いから階段使おう。
「あっ、コータ…加減しなさいよ」
アイリスが耳打ちをすると俺は頷いた。
遠回りして階段を使うとあの爽やか系はフィールドにいた。
「君の能力は未知だけど、手加減する気はないよ」
「あ~はいはい」
ウィリアムは俺に向けて手の平を見せた。
何か仕掛けてくる?
俺は身構え防御ができるように身構えた。
この世界は漫画やアニメと違って初めて得る能力に四苦八苦はしないようだ。
アイリスにカードの説明を聞いた際、そこの部分は詳しく教えてもらった。

「ブリザード!!」

ウィリアムが唱えると目の前が突如して真っ白な世界に変わった。
コイツ…雪を使うのか…!!
顔に雪が当たり弾き飛ばされそうだ。とりあえず、防御を…!!

防御…、守る…、自分を…

「プ、プロテクト!!」

その瞬間、俺の周りにバリヤみたいなものができた。雪はそれを避けた。
おおお!!!すっげえええ。
だけど…視界が悪いな。これじゃ、相手がどこから来るかわかんねぇじゃん。
慎重に伺いながら気をはりつめる。

「…いっ!!!」

だが、油断していた。
まわりを見ていたせいで防御が緩くなっていた。
そこを突かれ俺の肩はウィリアムの持つ鋭い氷の武器に貫かれていた。
くっそ…ありかよ。
「油断は禁物だよ?コータ。まだ、君の能力見せてくれないけど…その前に君を倒す!」
「…それは、無理だね」
ウィリアムの攻撃からかわし距離をとる。肩の傷口がズキズキ痛む。
チラリと観客席を見るとアイリスは身を乗り出し眉間にしわを寄せていた。
他は、ウィリアムの優勢に女子は軽く嬉しそうにしている。
さて、どうしようか。
「…デーモンズタイ!」
俺の呪文にウィリアムは思った反応を見せた。
よし、これであいつは攻撃ができない!
デーモンズタイは、悪魔の拘束。どんな相手でも身動きが取れなくなる魔法だ。
ウィリアムは、しまったと顔しながらも必死に呪文を唱えた。
…だが、何も起きない。
「やっぱすげえや…」
デーモンズタイは、身動きどころか魔法さえ使えなくする拘束魔法。
今のうちに…
ウィリアムに近づくと手元に刀が現れた。
「解除…!」
ウィリアムの拘束が解けるが、相手は何も出来ずこれからくる俺への攻撃にからだが固まった。
刀を振り下ろしウィリアムに斬撃を入れた。
「デーモンズスラッシュ!!!」




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