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この異世界に不幸があるわけない!
約束
しおりを挟む「いや~、コータの能力がまさかの【悪魔】だったなんてね~」
寮に戻り元の姿に戻ったアイリスはジョッキに入ったジュースを片手に乾杯をした。
「あの後、大変だったんだからな」
ため息をついた俺にアイリスはゲラゲラ笑っている。
ウィリアムに勝利した俺は、クラスメイトから質問攻め。
その場はうまくかわせても今日一日中は誰かに話しかけられてばかりだった。
しかも決まって…
「「何の能力なの?」ってしつこいんだよ!!察しろよ!」
机に並んだ料理を口を含みながらドンと机を叩いた。
「だって、クラストップクラスのウィリアムに勝ったんだよ?」
仕方ないよ~。と他人事のようにご飯を食うアイリスにカチンときた。
大事に取っておいたお肉を俺が奪ってやると見たことないくらい絶叫が寮に響いた。
不機嫌なアイリスから逃げ、部屋へ逃げ込むとベッドにダイブしポケットの中のカードを見た。
「悪魔かぁ…」
カードには、Demonと表記されている。アイリス曰くとても珍しい能力で今まで見たことがないらしい。
ちなみにアイリスは【星】の魔法を使うようだ。
なんでも、個々の能力は生まれてから潜在的に眠っているらしい。
「まぁ、これ言っちゃあれだけど…運だよね」
アイリスが気の毒そうに教えてくれた。
確かに、生まれ持った能力が最強に越したことはないが、最弱魔法だったならと考えるとどこも不平等なのかと痛感させられる。
生まれ持った能力以外は使えないらしい。
両親の能力どちらとも受け継ぐ場合、濃い方の能力が開花するらしい。
ごく稀に、均等に受け継ぎ二個の能力を器用に使いこなすものもいるようだが、使いこなすまでが大変らしい。
魔法は、潜在的に眠ってるためそれを引き出す。アイリスが言うには、強く想像するそうだ。
「強く想像する?そんなんで使いこなせたらここの学校の生徒みんな最強じゃねぇか」
「それがね…そう上手くいかないようになってるんだよね」
簡単な魔法。
例えば、治癒魔法や防御魔法なら誰でも簡単に使いこなせる。
それは、『想像しやすいからじゃないか』という説が一般的らしい。
試しに、俺はアイリスのテレポーテーションで周りに何もない草原へ行くとウィリアムに使った拘束魔法をアイリスに実験台になってもらい試した。
「な、なにこれ!!動けないし、まっ魔法も使えないじゃない」
実験台には、アイリス自身が志望した。最初、そういう性癖の持ち主なのかとドン引きしたが相手がいないと意味がないらしい。
そこでわかった事がある。
まず、アイリスやウィリアムに使った拘束魔法を使っている間は魔法が使えなくなってしまう事と最大の弱点ともいえる難点…。
すぐ、疲れてしまうことだ。
「やっぱり、魔法を使うからには魔力があってそれも生まれた時に量は決まってるのよ。多ければ、多いほどたくさんの魔法が使えるし、少ないとそれだけ不利になるの」
…どこまでも理不尽な世界なんだな。
魔力が尽きると気絶…。からだが動かなくなるらしい。
車のエンジンみたいなものと俺は理解したが、それは、睡眠や食事によって回復する事が可能らしい。
魔力も能力と一緒にカードに記載されているがアイリスが言うには俺の魔力量は多いほうらしい。
それでも、すぐ疲れてしまうのは俺の能力が凄まじいほどの魔力を消耗するほかない。
アイリスのテレポーテーションで寮に戻ると疲労感がどっと出ていた。
なんとなく、アイリスの言いたい事が理解出た気がした。
強い魔法には伴って魔力の消費量も多い。大技を使えば相手に当たったとしても自分が倒れてしまうし、使う前に魔力がなくなってしまう場合がある。
そこに、初めて修行する事で上手に使いこなせるようになるらしい。
ウィリアムに使った、拘束魔法と斬撃魔法の消費量はかなり多い。歩けるのがやっとのレベルなのだ。
アイリスが俺へに向けて言った「手加減」とは倒れないように気をつけろという意味だ。
つまり、自分の魔力量を考えて魔力を使用しなればならない。
アイリスも最初は、苦戦したらしい。使用できる魔法も少なかったが、慣れてくると使える魔法も増え発展的な魔法も使えるようになったらしい。
試しに…。寮に戻る前に、草原でアイリスの魔法【星】を間近で見る事になった。
「シャルのように私も物を使うんだけど…」
可愛い顔して大鎌振り回していたシャーロット。
さて、アイリスはどんなものか…
「コータ行くよ!スターダストミーティア!!」
アイリスの手から馬鹿でかいバズーカがあらわれ真上に向かって撃ち込んだ。
…え。なにすんの??
上を向いてしばらくしているとキラキラしたものが見えたと思ったら唇が引きつった。
「おいおい!これ、おれ死なねえよな」
キラキラ光るもの。それは、空に光り輝く星たちだった。
とっさに防御をはり直撃は免れたがちょっと気を抜いたら防御を突き破ってくるレベルに攻撃力が高い。
…これは、広範囲に及ぶし攻撃力も高い。
見かけによらずアイリスはスゲェな。
「どう?まだ、まだあるけど」
バズーカを軽々豪快に肩にかける。苦笑いしかでねぇよ。
防御に疲れて尻餅をついた俺をアイリスがドヤ顔で手を差し伸べてくる。
「そういう道具は誰でも使えるのか?」
「…えっと、使えないことはないよ」
カード見せて?というアイリスにカードを見せると【悪魔】とかかれた隣に【剣】とかかれていた。
…な、なんだこれ。
「ふぅーん、コータは剣なんだね」
「ほかにもいるのか?」
「能力と違って道具は自由なの」
「え?」
「理事長に何か聞かれたかった?」
ああ…思い出しながら理事長との会話を思い出す。
適当に「なんでもいいです」と言ったような。
マジか…よく聞いてりゃよかったな。俺も、シャーロットのみたいに大鎌かっこよく振り回したかったなぁ。
でも、剣ならかっこいいしいっか。
「まぁ、使わなくてもいいだけどね」
「…そうなのか?」
「うん」
使用方法を聞いてみると単純作業だった。渡されたカードに魔法を当てると出てくるらしい。
試しにやってみると俺の手に黒い剣が現れた。古びた剣で所々黒焦げになってる気がする。
軽いし安物?と首を傾げるもアイリスに持たせると重すぎて持てないらしい。
その人個人しか使えない代物で変わりがない。特別な武器といったところか。
せっかく武器が手に入ったので何か覚えようと残り少ない魔力量で考えた。アイリスに協力してもらい普通に斬りつけるとアイリスはぶっ倒れた。
「…ねぇ、コータ。流石に痛いんだけど」
「わ、悪い…」
アイリスは、何事もなかったかのようにピンピンしているが苦しそうに噎せ返っていた。
俺も立っているだけで精一杯だ。魔力量ギリギリまで使用してこれ以上魔法を使うと倒れそうな勢いだ。
そのことをアイリスに伝えると仕方ないなと言ったような顔をして寮に戻った。
「コータ、一つ…約束しない?」
ベッドに倒れた俺にアイリスからの提案だった。
「何の?」
「この学校には、主に個人を強化するための学校なんだけど、チームになってたたかうチーム戦ってものもあるの」
「それで?」
「原則、三人以上からチームを組めるんだけど。わたしのチームに入ってくれない?」
………。
首だけを動かすと眉を下げてるアイリスと目があった。
「それって、入んなきゃいけないのか?」
「そんな事はない…よ」
「入る」
「え?」
「え?」
なんだよ。そっちから聞いてきた癖にその間抜けヅラな顔は…
まぁ、アイリスには返しきれない恩がある。その恩返しと考えればいいだろう。
「だったら、もう一人集めないといけないな」
「それは、もう検討ついてるの!」
アイリスが拳を上に突き上げた。その目は自信に満ち溢れていた。
…なにも起こらないといいが。
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