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第一章 奏でられる運命の終わりと始まり
始まり(1)
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「……まだリリスの相手は見つからんのかね? まったく、サーシャ家の恥さらしもいいとこじゃないか」
「伯父様、そんな言い方はいけませんわ。あんな姉でも一応サーシャ家次期当主ですから、口を慎んでおかなくては……ねえ」
「ふん、かまいやせんよ。本当の事を言って何が悪い。あんな出来損ないの次期当主に何ができる。 父親にさえ見捨てられている娘だろう」
「父様は誰にでも厳しいわ。もっとも、出来の悪い者には特別厳しい方なのですけれどもねぇ……」
のどかな昼下がり。いつもどおりの修行を早めに終え、自分の部屋へと向かおうとしたときのことだった。盗み聞きするつもりはなかったが、リリスは通りがかった部屋から偶然声がするのに気づいた。思ったより声が大きく、自然と会話が耳に飛び込む。もう何十回と聞いているにもかかわらず、何度も何度もリリスの心の傷を深く抉っていくもの。時にはリリス自身に直接向けられたもの──侮蔑、嘲笑の声音。
「……っ!」
隠されることのないむき出しの悪意に身がすくむ。早く立ち去りたいのに、足が震えてなかなか歩けない。為す術のなくなったリリスはとっさいに耳をふさいで心を落ち着けた。少しばかり気分がましになったところで竦んでしまった足を無理やり動かし、なんとかその場を立ち去る。いつまでも耳に残る声音を振り払うかのように屋敷の廊下を走り抜け、自分の部屋へと飛び込んだ。その勢いのままでベッドに身を投げ出すと、リリスは大きなため息をついた。
「私だって、見つけられるのならさっさと見つけたいよ……」
ここ、セルビアは「魔法使い」と呼ばれる者たちが多く在国する、大陸一の繁栄を誇る魔法国家だ。国中に存在する血統の中で、サーシャ家はひときわ多くの魔法使いを世に送り出してきた。さらに、王宮に認められて王家へと仕えることを許された特別な魔法使い 「王家付き魔法使い」を多く輩出してきた名家である。リリスは名門サーシャ家当主の娘であり、次期当主を継ぐ者と決められていた。
「あと二ヶ月で次期当主拝命式があるのに……」
二ヶ月後の十六歳の誕生日。 それは次期当主として正式に認められる、次期当主拝命式が行われる日でもある。本当なら喜ぶべきものだが、一人前の「魔法使い」になるために必要な相手がいないリリスにとっては、 ひたすら重荷だとしか感じられなかった。
一度も「魔法使い」の契約を結べていないリリスに、どうやって次期当主になれというのだろうか。逃げられるものなら逃げたかった。誰かに押し付けてしまえるならさっさと押し付けてしまいたかった。だが胸元に刻まれた痣、次期当主を示す赤い六つの花片がリリスを運命の枷にしっかりと縛り付けていた。
次期当主は赤い六花の証がある者にしかなれない。今のサーシャ家の者で印があるのは現当主であるリリスの父と、リリスのみ。ところが、 妹や弟たちが自らの相手を見つけてさっさと「魔法使い」となっていく中、リリスだけはいくつになっても相手を見つけられないままだった。おかげで、今や親戚や家族中の笑いものとなっている。形ばかりの次期当主──そういわれることも少なくなかった。
「どうして私、『魔力を使う者』に生まれなかったんだろう……」
憂い顔でリリスはそう呟く。サーシャ家の者は『魔力を使う者』が圧倒的に多く、代々『魔力を使う者』が当主をつとめている。父も祖父も曾祖母もみな『魔力を使う者』である。だがリリスは『魔力を与える者』として生まれた。『魔力を与える者』はあくまでも力を供給する者であって前線で戦う側ではない──そういわれ、『魔力を与える者』はサーシャ家の中で軽んじられる傾向にある。そんなリリスに相手が見つからないとなれば、ますます侮蔑と嘲笑の的になった。
相手を見つけられない理由は自分でもよくわかっている。一つ目はリリスの家柄とその立場だ。サーシャ家当主の相手となれば、それ相応の教育を受け、地位を持つものでなくてはならない。
二つ目に、リリスの持つ魔力の大きさである。国内で一、二を争うほどに大きいとされる彼女の魔力は、初めのうちこそ賞賛され、当主にふさわしいと称された。だが並大抵の『魔力を使う者』が扱える大きさではなく、何人とも契約を結ぼうとしては失敗した。魔力が大きすぎて、拒否反応が起きるのだ。そのため、リリスは今まで一度も契約に成功したことはなかった。
(このまま、誰とも契約できなかったらどうしよう……)
どんどん思考が悪いほう、悪いほうへと向いていく。悪循環に陥った考えを振り払うようにゆっくりと起き上がる。ベッドに近い窓を開けると、心地よい風が吹き込んできた。今日は春先にしては暖かい。風が薄い亜麻色の髪をすり抜けていく感触を楽しみながら、リリスはゆったりと思考をめぐらせる。
( 悪い考えもこの風と一緒のどこかへ流れてしまえばいいのに……)
そんなことを思いながら、しばらく外を眺めていた。ふと目に入ったのは庭を駆け回る小さな子供たちだ。おそらくリリスより年上のいとこたちの子供だろう。声を上げて笑う子供たちをうらやましい思った。リリスにはあんなふうに庭を駆け回って遊んだ記憶は全くない。小さいころから次期当主としての期待がかかっていて、屋敷にいて座学をするか、修行を積むかの二つしか選択肢が与えられていなかった。
ひたすら外に憧れた。親や使用人の目を盗んで抜け出したことも一度や二度ではない。あの頃はどれほど「外」が輝いて見えたことだろう。だが最近は特に必要最低限にしか外へ出ることをせず、ひたすら修行に打ち込む生活を送っている。もう自分の行動を自分で決められないほどにリリスは幼いわけではない。出ようと思えば「外」にだっていつでも出られるのだ。
それでも外に出ないのには理由がある。今や「外」はリリスにとって恐怖を抱かせるところへと変わってしまった。知っている人に会えば笑われる。 後ろ指を差される。 聞きたくないことを聞いてしまう。だから「外」には出ないし、誰ともしゃべらない。することといえば本を読むか修行に没頭するか考え事をするか、それくらいしかない。
内へ閉じこもる自分の行動が余計に「魔法使い」になれる可能性を狭めていることは分かっている。新しい人に出会わなければ、魔法使いになれる機会は訪れない。だが今ではもう外に出るのが怖くなっていくばかりだった。
そんなリリスが今日いつもとは違う時間──親戚や妹弟たちが談話にいそしむ時間に戻ってきてしまったのには理由がある。母方の伯父が久しぶりに本家の屋敷に帰還するということを聞いたのだ。一族の中で唯一、彼と彼の妻の伯母はリリスをかわいがり、普通に接してくれる人だった。
(早く会いたい。この屋敷にいる人間で、嘲笑以外の感情を向けてくれる人に)
ただその一心で重い腰を上げ、ベッドから降りる。伯父は当主である父に挨拶をしてから家に帰るだろう。また部屋の外に出るのはあまり気が進まないが、伯父がこの屋敷を出る前に会いにいかなければいけない。早く行かないと伯父は帰ってしまうかもしれない。そんな思いに少し焦らされながら、リリスは部屋を出ようと扉に手をかけた。
「伯父様、そんな言い方はいけませんわ。あんな姉でも一応サーシャ家次期当主ですから、口を慎んでおかなくては……ねえ」
「ふん、かまいやせんよ。本当の事を言って何が悪い。あんな出来損ないの次期当主に何ができる。 父親にさえ見捨てられている娘だろう」
「父様は誰にでも厳しいわ。もっとも、出来の悪い者には特別厳しい方なのですけれどもねぇ……」
のどかな昼下がり。いつもどおりの修行を早めに終え、自分の部屋へと向かおうとしたときのことだった。盗み聞きするつもりはなかったが、リリスは通りがかった部屋から偶然声がするのに気づいた。思ったより声が大きく、自然と会話が耳に飛び込む。もう何十回と聞いているにもかかわらず、何度も何度もリリスの心の傷を深く抉っていくもの。時にはリリス自身に直接向けられたもの──侮蔑、嘲笑の声音。
「……っ!」
隠されることのないむき出しの悪意に身がすくむ。早く立ち去りたいのに、足が震えてなかなか歩けない。為す術のなくなったリリスはとっさいに耳をふさいで心を落ち着けた。少しばかり気分がましになったところで竦んでしまった足を無理やり動かし、なんとかその場を立ち去る。いつまでも耳に残る声音を振り払うかのように屋敷の廊下を走り抜け、自分の部屋へと飛び込んだ。その勢いのままでベッドに身を投げ出すと、リリスは大きなため息をついた。
「私だって、見つけられるのならさっさと見つけたいよ……」
ここ、セルビアは「魔法使い」と呼ばれる者たちが多く在国する、大陸一の繁栄を誇る魔法国家だ。国中に存在する血統の中で、サーシャ家はひときわ多くの魔法使いを世に送り出してきた。さらに、王宮に認められて王家へと仕えることを許された特別な魔法使い 「王家付き魔法使い」を多く輩出してきた名家である。リリスは名門サーシャ家当主の娘であり、次期当主を継ぐ者と決められていた。
「あと二ヶ月で次期当主拝命式があるのに……」
二ヶ月後の十六歳の誕生日。 それは次期当主として正式に認められる、次期当主拝命式が行われる日でもある。本当なら喜ぶべきものだが、一人前の「魔法使い」になるために必要な相手がいないリリスにとっては、 ひたすら重荷だとしか感じられなかった。
一度も「魔法使い」の契約を結べていないリリスに、どうやって次期当主になれというのだろうか。逃げられるものなら逃げたかった。誰かに押し付けてしまえるならさっさと押し付けてしまいたかった。だが胸元に刻まれた痣、次期当主を示す赤い六つの花片がリリスを運命の枷にしっかりと縛り付けていた。
次期当主は赤い六花の証がある者にしかなれない。今のサーシャ家の者で印があるのは現当主であるリリスの父と、リリスのみ。ところが、 妹や弟たちが自らの相手を見つけてさっさと「魔法使い」となっていく中、リリスだけはいくつになっても相手を見つけられないままだった。おかげで、今や親戚や家族中の笑いものとなっている。形ばかりの次期当主──そういわれることも少なくなかった。
「どうして私、『魔力を使う者』に生まれなかったんだろう……」
憂い顔でリリスはそう呟く。サーシャ家の者は『魔力を使う者』が圧倒的に多く、代々『魔力を使う者』が当主をつとめている。父も祖父も曾祖母もみな『魔力を使う者』である。だがリリスは『魔力を与える者』として生まれた。『魔力を与える者』はあくまでも力を供給する者であって前線で戦う側ではない──そういわれ、『魔力を与える者』はサーシャ家の中で軽んじられる傾向にある。そんなリリスに相手が見つからないとなれば、ますます侮蔑と嘲笑の的になった。
相手を見つけられない理由は自分でもよくわかっている。一つ目はリリスの家柄とその立場だ。サーシャ家当主の相手となれば、それ相応の教育を受け、地位を持つものでなくてはならない。
二つ目に、リリスの持つ魔力の大きさである。国内で一、二を争うほどに大きいとされる彼女の魔力は、初めのうちこそ賞賛され、当主にふさわしいと称された。だが並大抵の『魔力を使う者』が扱える大きさではなく、何人とも契約を結ぼうとしては失敗した。魔力が大きすぎて、拒否反応が起きるのだ。そのため、リリスは今まで一度も契約に成功したことはなかった。
(このまま、誰とも契約できなかったらどうしよう……)
どんどん思考が悪いほう、悪いほうへと向いていく。悪循環に陥った考えを振り払うようにゆっくりと起き上がる。ベッドに近い窓を開けると、心地よい風が吹き込んできた。今日は春先にしては暖かい。風が薄い亜麻色の髪をすり抜けていく感触を楽しみながら、リリスはゆったりと思考をめぐらせる。
( 悪い考えもこの風と一緒のどこかへ流れてしまえばいいのに……)
そんなことを思いながら、しばらく外を眺めていた。ふと目に入ったのは庭を駆け回る小さな子供たちだ。おそらくリリスより年上のいとこたちの子供だろう。声を上げて笑う子供たちをうらやましい思った。リリスにはあんなふうに庭を駆け回って遊んだ記憶は全くない。小さいころから次期当主としての期待がかかっていて、屋敷にいて座学をするか、修行を積むかの二つしか選択肢が与えられていなかった。
ひたすら外に憧れた。親や使用人の目を盗んで抜け出したことも一度や二度ではない。あの頃はどれほど「外」が輝いて見えたことだろう。だが最近は特に必要最低限にしか外へ出ることをせず、ひたすら修行に打ち込む生活を送っている。もう自分の行動を自分で決められないほどにリリスは幼いわけではない。出ようと思えば「外」にだっていつでも出られるのだ。
それでも外に出ないのには理由がある。今や「外」はリリスにとって恐怖を抱かせるところへと変わってしまった。知っている人に会えば笑われる。 後ろ指を差される。 聞きたくないことを聞いてしまう。だから「外」には出ないし、誰ともしゃべらない。することといえば本を読むか修行に没頭するか考え事をするか、それくらいしかない。
内へ閉じこもる自分の行動が余計に「魔法使い」になれる可能性を狭めていることは分かっている。新しい人に出会わなければ、魔法使いになれる機会は訪れない。だが今ではもう外に出るのが怖くなっていくばかりだった。
そんなリリスが今日いつもとは違う時間──親戚や妹弟たちが談話にいそしむ時間に戻ってきてしまったのには理由がある。母方の伯父が久しぶりに本家の屋敷に帰還するということを聞いたのだ。一族の中で唯一、彼と彼の妻の伯母はリリスをかわいがり、普通に接してくれる人だった。
(早く会いたい。この屋敷にいる人間で、嘲笑以外の感情を向けてくれる人に)
ただその一心で重い腰を上げ、ベッドから降りる。伯父は当主である父に挨拶をしてから家に帰るだろう。また部屋の外に出るのはあまり気が進まないが、伯父がこの屋敷を出る前に会いにいかなければいけない。早く行かないと伯父は帰ってしまうかもしれない。そんな思いに少し焦らされながら、リリスは部屋を出ようと扉に手をかけた。
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