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目を覚ましたエリックは、オリバーがいないことに気付いた。
「オリバー?」
呼びかけるが返事はない。エリックは嫌な予感を覚え、急いで寝室を出た。
オリバーを探すために玄関ホールを抜け、門の前に来ると、二人の人影があった。車椅子に座った男性と、牧師服の男性。トーマス・モーガン医師とブレイクだった。意識不明だったはずのモーガン医師は、はっきりとした声でエリックに言った。
「エリック君、こんな朝早くにすまない!だが、事は急を要するんだ!
私たちは君に知らせに来たんだ。
アベルの魂が、君の命を狙って蘇ってきている。 奴は、私に乗り移ろうとして失敗したが、どうやら新しい器を見つけたようだ」
エリックの表情が引き締まる。モーガン医師の悲痛な訴えに、彼は重い鉄の門扉を開けようとした。
その時だった。
「見ーつけた」
背後から強烈な蹴りを食らい、エリックは吹き飛んで塀の壁に叩きつけられた。
「ぐっ……!」
痛みはあったが、エリックは咄嗟に魔術で防御壁を作り、ダメージを最小限に抑えた。体勢を立て直し、立ち上がった彼は、目の前の男を見て確信した。
「ベンジャミン……いや、アベルか」
ベンジャミンの姿のアベルは楽しそうに笑う。そして、エリックにゆっくりと近づいていく。エリックは攻撃を仕掛けようと、水の魔力を自身に集め始めた。
「やべえ!エリック!今助けんぞ!」
まだかんぬきを外していないため、門の外からブレイクが応戦する。彼は十字架を掲げ、悪霊払いの呪文を力強く唱え始めた。
「In nomine Patris et Spiritus Sancti et Filii, praecipio, discede, spiritus maligne ………」
ブレイクの呪文が響き渡ると、ベンジャミンの体の動きが止まった。彼は全身を痙攣させ、苦痛に顔を歪ませる。
「う、ぐあ……!て、てめぇ……!邪魔すんな、クソ牧師が!!」
ベンジャミンの中のアベルが悪態をつき、顔は怒りに歪んでいた。ベンジャミンの体を死なせてしまわないよう、エリックも水の魔術で四肢を拘束する。
このままうまくベンジャミンの中からアベルを追い出せそうだと思った時、アベルが、何故か余裕のある表情に戻った。
「よお、エリック。お前こんなところで悠長にしてていいのか?早く行かねぇと、お前の可愛い可愛いオリバーが、溺れ死んじまうぞ~」
湖に落としてやったと、アベルは高笑いした。エリックは次の瞬間術を解いた。
「悪い!ブレイク!あとは頼む!」
「おう、早く行け!あいつ、マジで泳げねえから、やばいぞ」
ここは任せろ、とブレイクは自信たっぷりに言った。エリックは後ろは見ずに、全速力で駆け出した。
***
湖畔に到着したエリックの目に飛び込んできたのは、水面に浮き沈みしているオリバーの姿だった。
「オリバー!」
エリックは服のまま湖に飛び込み、ぐったりとしたオリバーの体を抱きかかえて、岸に引き上げた。オリバーの肌は冷たく、意識はなかった。
エリックはすぅ、と深く息を吸い込むと、オリバーの唇に唇を重ね、自分の魔力を注ぎ込む。
「ゴホッ!ゲホッ!」
オリバーの口から水が吐き出され、彼は激しく咳き込みながら、意識を取り戻した。
「オリバー!良かった……!」
エリックは震えるオリバーを抱きしめた。オリバーはしばらくぼんやりとしていたが、我に帰るとエリックに訴えた。
「無事だったのか、エリック!?そうだ、エリック、君を殺しに親父が戻って来たんだ!」
「オリバー、君、記憶が戻った⋯⋯?―――知ってるよ。奴は、僕を襲ってきて、今はブレイクに祓われているところだ」
「ブレイクが!?何で、親父のことを⋯⋯」
その時、玄関の方から叫び声が聞こえた。エリックとオリバーは顔を見合わせると、急いで玄関に向かう。
門の前で、モーガン医師とブレイクが倒れていた。ブレイクは、二人の姿を見ると起き上がり、頭をさすりながら言った。
「すまねえ、もう少しで体から引き剥がせそうだったんだが、逃げられちまった!」
「そんな、あいつはどこに⋯⋯」
エリックはここにいる。屋敷以外で、他に奴の行きそうな場所は思いつかなかった。
だが、エリックは何かを閃いたようだ。
「もしかしたら、あそこに――――」
四人はすぐさま、その場所に向かった。
「オリバー?」
呼びかけるが返事はない。エリックは嫌な予感を覚え、急いで寝室を出た。
オリバーを探すために玄関ホールを抜け、門の前に来ると、二人の人影があった。車椅子に座った男性と、牧師服の男性。トーマス・モーガン医師とブレイクだった。意識不明だったはずのモーガン医師は、はっきりとした声でエリックに言った。
「エリック君、こんな朝早くにすまない!だが、事は急を要するんだ!
私たちは君に知らせに来たんだ。
アベルの魂が、君の命を狙って蘇ってきている。 奴は、私に乗り移ろうとして失敗したが、どうやら新しい器を見つけたようだ」
エリックの表情が引き締まる。モーガン医師の悲痛な訴えに、彼は重い鉄の門扉を開けようとした。
その時だった。
「見ーつけた」
背後から強烈な蹴りを食らい、エリックは吹き飛んで塀の壁に叩きつけられた。
「ぐっ……!」
痛みはあったが、エリックは咄嗟に魔術で防御壁を作り、ダメージを最小限に抑えた。体勢を立て直し、立ち上がった彼は、目の前の男を見て確信した。
「ベンジャミン……いや、アベルか」
ベンジャミンの姿のアベルは楽しそうに笑う。そして、エリックにゆっくりと近づいていく。エリックは攻撃を仕掛けようと、水の魔力を自身に集め始めた。
「やべえ!エリック!今助けんぞ!」
まだかんぬきを外していないため、門の外からブレイクが応戦する。彼は十字架を掲げ、悪霊払いの呪文を力強く唱え始めた。
「In nomine Patris et Spiritus Sancti et Filii, praecipio, discede, spiritus maligne ………」
ブレイクの呪文が響き渡ると、ベンジャミンの体の動きが止まった。彼は全身を痙攣させ、苦痛に顔を歪ませる。
「う、ぐあ……!て、てめぇ……!邪魔すんな、クソ牧師が!!」
ベンジャミンの中のアベルが悪態をつき、顔は怒りに歪んでいた。ベンジャミンの体を死なせてしまわないよう、エリックも水の魔術で四肢を拘束する。
このままうまくベンジャミンの中からアベルを追い出せそうだと思った時、アベルが、何故か余裕のある表情に戻った。
「よお、エリック。お前こんなところで悠長にしてていいのか?早く行かねぇと、お前の可愛い可愛いオリバーが、溺れ死んじまうぞ~」
湖に落としてやったと、アベルは高笑いした。エリックは次の瞬間術を解いた。
「悪い!ブレイク!あとは頼む!」
「おう、早く行け!あいつ、マジで泳げねえから、やばいぞ」
ここは任せろ、とブレイクは自信たっぷりに言った。エリックは後ろは見ずに、全速力で駆け出した。
***
湖畔に到着したエリックの目に飛び込んできたのは、水面に浮き沈みしているオリバーの姿だった。
「オリバー!」
エリックは服のまま湖に飛び込み、ぐったりとしたオリバーの体を抱きかかえて、岸に引き上げた。オリバーの肌は冷たく、意識はなかった。
エリックはすぅ、と深く息を吸い込むと、オリバーの唇に唇を重ね、自分の魔力を注ぎ込む。
「ゴホッ!ゲホッ!」
オリバーの口から水が吐き出され、彼は激しく咳き込みながら、意識を取り戻した。
「オリバー!良かった……!」
エリックは震えるオリバーを抱きしめた。オリバーはしばらくぼんやりとしていたが、我に帰るとエリックに訴えた。
「無事だったのか、エリック!?そうだ、エリック、君を殺しに親父が戻って来たんだ!」
「オリバー、君、記憶が戻った⋯⋯?―――知ってるよ。奴は、僕を襲ってきて、今はブレイクに祓われているところだ」
「ブレイクが!?何で、親父のことを⋯⋯」
その時、玄関の方から叫び声が聞こえた。エリックとオリバーは顔を見合わせると、急いで玄関に向かう。
門の前で、モーガン医師とブレイクが倒れていた。ブレイクは、二人の姿を見ると起き上がり、頭をさすりながら言った。
「すまねえ、もう少しで体から引き剥がせそうだったんだが、逃げられちまった!」
「そんな、あいつはどこに⋯⋯」
エリックはここにいる。屋敷以外で、他に奴の行きそうな場所は思いつかなかった。
だが、エリックは何かを閃いたようだ。
「もしかしたら、あそこに――――」
四人はすぐさま、その場所に向かった。
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