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7.諦めたらそこで研究終了ですよ
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執務室に行くと、珍しく正装しているダニエルに迎えられた。首飾りも腕輪も、魔法陣の刺繍が入りまくった妙なローブもない。ダニエルにとってはなんの防御も武器もない、素の状態と言っていいだろう。
ダニエルは爽やかと言えなくもない笑顔で、クララに手を差し出す。
「今日はダンスだ」
「もうちょい難易度下げなよ」
「なにおうっ。床一面に描かれた魔法陣が見えぬか」
クララが床を見ると、何やらドス黒い色の魔法陣が見える。イヤな予感がして恐る恐る聞く。
「ねえ、もしかしてこの魔法陣って、血で描いてないよね?」
「ほう、よく分かったな。屠殺場で牛と豚の血液を買ってきたのだ」
「あ、なんだ。あなたの血かと思ってビックリしたじゃない」
「ほう、よく分かったな。私の血も少し混じっている。その方が効果が高いからな」
「バカー!」
「何を怒っている? たいした量ではない。本来なら全て自分の血で描きたいところだが、さすがにそれは体に悪いからな」
「バカバカ変態!」
「まあ、私はバカではないが、変態ではあるな。さあ、お手をどうぞ、お嬢さん」
クララがダニエルに体を預けると、ダニエルの全身が震える。ダニエルは、パッと体を離すと部屋を出ていった。
しばらくすると、ダニエルが髪をずぶ濡れにして戻ってきた。
「ど、どうしたの?」
「もう少しで君を抱きしめそうになったから、頭を濡らしてきた。危ないところだった」
「バカ……」
「今日はバカと呼ばれる日なのか? どうした?」
「バーカ、風邪ひいたらどうすんのよ。早く、タオル貸しなさいよ。拭いたげるから、そこ座って。タオル越しなら大丈夫でしょ」
クララはダニエルの頭をゴシゴシ拭いた。クララは自分がどうして怒ってるのか分からなかった。
***
「お前、お前いったい何者なんだよ。もはや魔王に匹敵する破壊力ではないか」
「おい変態、お前には失望した。これぐらいで弱音をはくなんて」
「クッ、まだまだー」
クララとダニエルはスライムと戦っている。
冒険者ギルドに依頼して大量にスライムを確保してもらった。その間にダニエルは様々な魔法陣を描いた魔紙を用意した。
スライムを一匹ずつクララから遠く離れたところに落とす。スライムがクララに引き寄せられる前に、魔紙でスライムを誘導する実験だ。
残念ながらどの魔法陣も効果がない。スライムが飛んでくる度に、クララは手袋をした拳で叩き潰している。今日は執務室ではなく、殺風景な実験室で研究中だ。正しい判断だった。部屋はスライムの残骸でデロデロだ。
全ての魔紙が役に立たないことが分かり、ダニエルは床に座りこむ。
「魔法陣で制御できない魅了の持ち主で嬉しいんじゃなかったの?」
クララがツンツンした口調で言う。
「ダメだって分かることが大事。また改善すればいいだけだって言ってたじゃないの」
ダニエルはクララのお腹あたりに視線をむけて、弱々しく笑った。
「その通りだ、ありがとう。失敗しても成功するまで続ければいいだけ、そうだったな」
クララは少しためらったあと、手袋をはめた手をダニエルの肩にのせる。ダニエルはクララの手を凝視すると、そっとその上に手を重ねた。手袋越しに手を握る。
「ありがとう、クララ」
「こっちこそよ、ダニエル」
ダニエルは爽やかと言えなくもない笑顔で、クララに手を差し出す。
「今日はダンスだ」
「もうちょい難易度下げなよ」
「なにおうっ。床一面に描かれた魔法陣が見えぬか」
クララが床を見ると、何やらドス黒い色の魔法陣が見える。イヤな予感がして恐る恐る聞く。
「ねえ、もしかしてこの魔法陣って、血で描いてないよね?」
「ほう、よく分かったな。屠殺場で牛と豚の血液を買ってきたのだ」
「あ、なんだ。あなたの血かと思ってビックリしたじゃない」
「ほう、よく分かったな。私の血も少し混じっている。その方が効果が高いからな」
「バカー!」
「何を怒っている? たいした量ではない。本来なら全て自分の血で描きたいところだが、さすがにそれは体に悪いからな」
「バカバカ変態!」
「まあ、私はバカではないが、変態ではあるな。さあ、お手をどうぞ、お嬢さん」
クララがダニエルに体を預けると、ダニエルの全身が震える。ダニエルは、パッと体を離すと部屋を出ていった。
しばらくすると、ダニエルが髪をずぶ濡れにして戻ってきた。
「ど、どうしたの?」
「もう少しで君を抱きしめそうになったから、頭を濡らしてきた。危ないところだった」
「バカ……」
「今日はバカと呼ばれる日なのか? どうした?」
「バーカ、風邪ひいたらどうすんのよ。早く、タオル貸しなさいよ。拭いたげるから、そこ座って。タオル越しなら大丈夫でしょ」
クララはダニエルの頭をゴシゴシ拭いた。クララは自分がどうして怒ってるのか分からなかった。
***
「お前、お前いったい何者なんだよ。もはや魔王に匹敵する破壊力ではないか」
「おい変態、お前には失望した。これぐらいで弱音をはくなんて」
「クッ、まだまだー」
クララとダニエルはスライムと戦っている。
冒険者ギルドに依頼して大量にスライムを確保してもらった。その間にダニエルは様々な魔法陣を描いた魔紙を用意した。
スライムを一匹ずつクララから遠く離れたところに落とす。スライムがクララに引き寄せられる前に、魔紙でスライムを誘導する実験だ。
残念ながらどの魔法陣も効果がない。スライムが飛んでくる度に、クララは手袋をした拳で叩き潰している。今日は執務室ではなく、殺風景な実験室で研究中だ。正しい判断だった。部屋はスライムの残骸でデロデロだ。
全ての魔紙が役に立たないことが分かり、ダニエルは床に座りこむ。
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「その通りだ、ありがとう。失敗しても成功するまで続ければいいだけ、そうだったな」
クララは少しためらったあと、手袋をはめた手をダニエルの肩にのせる。ダニエルはクララの手を凝視すると、そっとその上に手を重ねた。手袋越しに手を握る。
「ありがとう、クララ」
「こっちこそよ、ダニエル」
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