猫とお姉さんと幽霊

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猫と銭湯

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そんなこんなで銭湯に着いた。
ところで自己紹介しようと思う。
私はお姉さん。本名はまだ無い。
夏目漱石と猫が大好きな20歳の女性である。

私は自分の肩に乗せている猫を降ろし、近くにあったベンチに載せる。猫は丸くなって寝始めた。
番頭に声を掛ける。

「久しぶりね、右京。」

「ええ。姉さんもお元気で。いや、てか昨日会いましたやん!」


この子は『強面の右京』、地元の元不良である。
名前を聞いても自分の異名しか言わないから、私もこれしか知らない。
この銭湯の跡取りだが、顔が怖いからこの銭湯の売り上げが落ちている。しかし、本人は気づいていない。

「ええ、そうね。でも気づかないフリして、久しぶり料金でお安くしてくれたら、嬉しかったなぁ。」

「そんな意味不明な料金制度ありませんって。社会はそんなに甘くないですよ。」

「そうね。教えたのは私だけど。」
私の右腕が真っ赤に燃える。

「ちょ、待っ、姉さん。お願いだから右手で拳を作らないで。てかそれ脅しですよね!?」

「そんなことないわ。」

苔脅しだけどね。

「てか、姉さん、泥だらけじゃないですか。料金後払いでいいんで、早く風呂に入ってください。」

「わかったわ。猫も大丈夫?」

「猫の毛を湯船に残さないのと、猫は30~35度位のお湯じゃないと、熱くてお湯に浸かれないこと以外は言うことはないですね。」

「そう。猫に詳しいのね。」

「その猫いつ飼いだしたんですか?」

「今日よ。」

「今日!?」

「雨の中ダンボールの中で縮こまってたの。」

「またベタな。」

「でも、この子との生活が楽しみでしょうがないの。」

「へぇー。」

「じゃあ、お風呂に行くね。ほら、猫起きて。お風呂入るよ。」

猫を起こし、女湯ののれんをくぐる。
猫がしっかり付いて来るのが、可愛いかった。
後ろの番頭の方からは「しっかり懐かれてるんすねぇ~」と声が聞こえた。







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