真正なる道のり

etoshiyamakan

文字の大きさ
7 / 23

ある捜査に突然

しおりを挟む
日も暮れて、勤務時間が、もうすぐで終わりそうな6時を過ぎた頃に、一本の電話が捜査一課にかかってきた。電話は事務員の前島氏が、取り驚いた様子で、丁度その近辺を通り
かかった磯崎刑事課長へ取り次いだ。
 5分ほどして、その電話は、終った。江草刑事や、作部刑事たちは、少し前島氏の様子が気にかかったが、いつもの上からの連絡だろうと変わりなく事務作業をこなしていた。
 ところが、磯崎刑事課長が、突然、
「作部君、ちょっと」
と呼び、談話室へと2人は、入って行った。15分ほどして作部刑事が、1人談話室より出て席へ戻ってきた。江草刑事は、気にかかっていたが、いつもより深刻そうな作部刑事の表情に気づきすぐにパソコン作業に戻った。少し肩が、こったらしく江草刑事は、両手でとんとんと叩いた。
しばらくして、作部刑事が、
「あっ、江草さん、ちょっとよろしいです。」
と声をかけてこられた。
「少し、休憩室で、いつものように一息でも」
と言われ、すぐに、
「あっ、いいですね。そうしましょう。」
と答えた。
2人で、捜査一課を出て、休憩室のソファに腰をかけた。
 
 すると、すぐに作部刑事は、コーヒーを2人分買い、
「どうぞ、おごりですよ。」
と渡してこられ、
江草刑事は、
「あっ、ありがとうございます。」
2人は、先日捜査終了した連日続いていた高校荒らし事件の大変だった日々の話をしていた。しばらくすると、
作部刑事は、
「先ほど、磯崎刑事課長より1年半前のの警察庁の担当だった産連環銀行の役員の横領事件をもう一度洗い直してほしいと依頼がありましてね。警視庁の上からの指示らしくて極秘で進めてほしく協力要員をリストアップするよう言われましてね。江草さん、いかがです。」
といってきた。
あまりの唐突に、江草刑事は、少し顔をこわばらせたが、
すぐに笑顔になり、
「えっ、もちろん私は、喜んでご一緒しますよ。」
と答えた。
先ほどまで、磯崎課長から依頼のあった件について、休憩室で2人は、少しふれ、
 江草刑事は、心の中で、
「今までにない、大変なことかも知れないが。」
とつぶやいていた。
 そして、2人は、捜査一課に戻った。作部刑事は、今後の極秘に進めるべきメンバーの色付け作業に取り組んでいた。一方、江草刑事は、作部刑事が今先ほど磯崎刑事課長から受け取った産連環銀行の役員の横領事件のファイルに、目を通していた。
 この事件は、去年の4月に産連環銀行の資金の移動の不可解なデーターが、突然本部資金証券部の審査中に、現れてきて内部の士気が一気に下がる恐れがあり、即座に警察庁に連絡があり半年かけて捜査をし、当時の操元専務(みさもと)を逮捕した。
 ところが、去年の10月に、逮捕にたどりついたのだが、彼は、頑なに今も否認し続けているという。実際、コンピューター役員権限の操作履歴反応ありで確信していたが、どうも警察庁の担当の部署も動揺を隠さない何か他のただならぬ匂いがするということで、警視庁へ依頼がということだった。
 このファイルを目にし、江草刑事は、
「これは、一度警察庁の担当の出島刑事部長補佐に詳しく後日
伺う必要があるな。」
と感じていた。
 あっという間に、もう時計は、9時を指していたので、まだ作部刑事は、残るということで、
「まあ、始まったばかりですし、私は、お先に失礼、また。」
と一言伝え、帰宅した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...