真正なる道のり

etoshiyamakan

文字の大きさ
8 / 23

新たな捜査に

しおりを挟む
そして、翌日になり、昼過ぎに、同僚の作部刑事から、今回の極秘捜査のメンバーから、江草刑事は、はずされたと通知を受けた。どうも、作部刑事曰く、捜査四課の主力メンバーで今後動くらしく、何で私に回ってきたのかと疑問にも思い、本人も気色悪く辞退したく考え直し気味だった。
 そうこうしているうちに、勤務時間も夕方になり江草刑事は、ある窃盗事件の犯人とある知人の面会立会いを終え、警視庁へ戻って捜査一課に入ると、作部刑事が、ある女性と面談していた。それを横目に江草刑事は、席についてため息をついた。そして、さあ、次だとつぶやいた。 
 実は先日、昼過ぎに警視庁捜査一課の江草刑事に、一本の電話がきた。以前、江草刑事が、大学時代から親しくしていた大手出版会社勤務の春央 貢より高校の同級生だった堀上 恒武と連絡とれなくなって1カ月が経ってとのことだった。
 早速、江草刑事は、磯崎課長に、その旨を伝え、翌日に喫茶店で会うことになった。
 朝早くから出勤前に会いたいということで、モーニングサービスをしている十和汐駅前喫茶店で、春央氏と江草刑事は、久しぶりに会った。春央氏曰く、行方不明の堀上氏とは、大学卒業後も、毎月1度は週末に東京駅周辺で、飲みに行っていた仲だったらしく、ここ1カ月ほど連絡が、取れなくなって都内
のマンションに1人住まいだが、管理人にも問い合わせると、ここ1カ月近く姿を見ないということだった。そこで、不審に思い、大学の同級生で、警視庁の江草刑事に相談したくとのことだった。2人は、30分ほど喫茶店で話していたが、もう勤務の時間が近いということで、春央氏は、会社に向かい、江草
刑事は、また連絡すると伝えた。
 警視庁に着くやいなや、堀上 恒武についての、基本身元情報を確信すべく警視庁より出張の役所職員に連絡し、メールを送信した。2時間ほどして、連絡があり高校は、東京都内の廼花高校であり、大学は、都内の明坂大学であったらしく、勤務先は、準大手音楽環境検査会社だったとのことだった。
 連絡があり、江草刑事は、さっそく情報整理に取り掛かった。
勤務先と思われる音楽環境検査会社のラベンターは、アメリカの外資系かなと当初思ったが、どうやらの南米の出資会社であることが、分かった。一瞬、机上でパソコン処理中に、異業界の要注意の通達を思い出し、ひょっとすると(要注意潮目企業?)と勘が冴え、企業の名前と洗い出しを捜査三課へ依頼した。
そして、捜査三課からの返答に、江草刑事は、やはりそうかとひと安心した。何に安心したかというと、当時企業の資金繰りが芳しくなかったら外資系の資金に依存しつつ何かと協賛していると噂を聞いていたからである。そして、明日からこの人物の足跡を追いかけてみようと、出身地の都内水戸区役所へ伺おうと考え、他に出身高校と出身大学へも立ち寄ろうと決心し、今日のうちに未決済の書類整理に取り掛かった。
 翌日、都内水戸区役所へ彼の出生と住家について調査の協力に願い出た。すると、1時間ほどして、総務課の杉民課長が、何枚か基本情報を閲覧させていただいた。
 受け取った写しによると、彼は、中国に幼い頃、年離れた姉夫婦と住み、中国の日本人小学校に通学して、高校から帰国子女で、日本に帰っていた。両親は、仕事の都合で、外国に移住していて、姉と共に長年全く音信もとっていないらしい。この情報に、江草刑事は、これは、考えられない構成だなと驚いていた。
 これからの彼の調査は、困難だなとも感じていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...