極度の男性恐怖症悪役令嬢は配役変更を希望します!

SAKURA

文字の大きさ
8 / 22
第一章 極度の男性恐怖症な少女は悪役令嬢に転生する

第六話 転生先は悪役令嬢

しおりを挟む
『乙女の祝福と覚醒の魔王』
これは言うならば、乙女ゲーム風のRPGだった。
ヒロインのデフォルト名はアーシャ。
珍しいストロベリーブロンドと金の瞳を持つ、伝説の聖女。
彼女はある日、聖女の力に目覚め、特待生として王都にある学園に通うことになる。
そこで冒険を通して魔法のレベルや、攻略対象者別名お供の好感度を上げていくというストーリーだった。
そしてレベルを上げた聖女は一定のレベルに達すると『愛の祝福』という固有魔法を習得する。
これまたベタな展開だが、一緒に戦ってきた仲間の仲で一番好感度の高い者が聖女の愛という恩恵により、聖剣を得て、終焉の魔王を倒すというのが物語の結末だ。
仮にRPGの悪役が魔王だとするならば、攻略イベントでの悪役がユリアス・エリストラーヴァだ。
彼女はエリストラーヴァ公爵家で生まれ育ち、周りの溺愛によりかなり我が儘に育った。
しかし、妹であり、聖女の友人となるエリアスの存在により、その生活は一変。
自分とは対照的な周りに愛されるのが得意な妹。
その存在は彼女に劣等感を与えるには充分だった。
彼女は愛されたいがゆえに、その我が儘に拍車がかかるようになった。
そして、日頃の鬱憤を聖女にぶつけるようになった。
つまりいじめ。
しかし、それは逆効果で、最終的に彼女は実の妹と聖女を殺そうとし、それを断罪され、孤独な死を迎える。
そして、そのユリアスに転生したのが…………。

「私……なんですね」

いやはや……どうしましょうか。
転生したというのに、死ぬ運命にあるとかあんまりすぎませんかね?
全く、女神様の嘘つき!
別に期待していたわけではないですけども、さすがにこれは酷い扱い過ぎませんかね!?
幸せになれというか死んでくれって言ってるようにしか聞こえませんよ!?
それともこれも、私の不運体質故なのか……あ、なんか自分でいってて悲しくなってきました。

「まぁ、もともとないような命ですし構わないっちゃ構わないですけども…………悪役令嬢って何をしたらいいんでしょう」

まだまだ分からないことばかりですし、とりあえず書き出してみますか。
もしかしたら、何か思い出せるかもしれませんし。

「えーと………確かヒロインが特待生としてやってくるのは二年前の秋頃。学園編は乙女ゲームメインですから、戦闘はあんまりないんですよね。その時点でユリアスは第一王子の婚約者で、攻略対象者達に気にかけられるヒロインに嫉妬、嫌がらせというなのいじめが始まる………って感じでしたよね」

ゲームに登場する攻略対象者は四人。
次期国王万能タイプのアルバート・エリュシオン。
彼の未来の側近候補頭脳タイプのラルディ・グリース。
同じく側近候補武術特化タイプのアレキサン・ソルディオン。
そしてユリアス達の義弟、魔術特化タイプ、リュシアン・エリストラーヴァ。

上記四名+隠しキャラ計五名がゲームに用意されている攻略対象者であり、パーティーメンバー。
彼らの好感度をあげ、育成することがゲーム攻略の鍵。
ヒロインは彼らと共に、イベントをこなすことで強くなり、ストーリーを進めることができるのです。
そして、そのイベント発生のためのお邪魔キャラとして現れるのがユリアス・エリストラーヴァ。
彼女はことあるごとにヒロインに嫌がらせ(ミニゲームやミッションなど)をする。
それに打ち勝つ(クリア)することで、悪役令嬢の撃退、ヒーローの登場につながり、イベントが起きるのです。 
他にもイベントに現れ、攻略対象者に返り討ちにされることもあったりなかったり………。

「でも、ここは現実です。実際にミニゲームを仕掛けられるわけでもありませんし………やっぱり嫌がらせをするしかないのでしょうか………」

嫌がらせ………嫌がらせですか………。
どうしたらいいんでしょう………?
この人生嫌がらせなんてしたことありませんし………どちらかといえばされる側でしたし………でもさすがにあの頃されたことをヒロインさんにするのは気が引けるんですよね………。

「………ダメです。なにも浮かびません。こうなったら………聞くしかない!ですよね」

私はノートを閉じて、そう意気込みました。
このときの私は、ユリアスの日記のことなんてすっかり頭から消えていたのでした。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

悪役令嬢の大きな勘違い

神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。 もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし 封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。 お気に入り、感想お願いします!

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜

As-me.com
恋愛
 事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。  金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。 「きっと、辛い生活が待っているわ」  これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。 義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」 義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」 義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」  なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。 「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」  実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!  ────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

処理中です...