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第一章 極度の男性恐怖症な少女は悪役令嬢に転生する
第十七話 外へ
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「ねぇエリー。お父様への贈り物は何がいいと思う?」
「どーして?」
「もうすぐエイリアの日なんですって。その日は大好きな人たちに贈り物と感謝を伝える日らしいの。だから………その。私も何か贈りたいなって………協力してくれる?」
「もちろん!」
「私もお手伝いいたしますよ!お嬢様!」
「ありがとう。エリー、メアリー………できれば花束を贈ろうと思うのだけど………花屋さんってどこにあるのかしら………」
「花屋でしたら、町にたくさんございますよ!………ただ」
「ただ?」
「この時期はエイリアの花がよく売れるため、品切れの店が多いんです」
「そう………」
やっぱりいろんな人がエイリアのお花を贈るんですね………。
それでも私は、贈りたいです。
「………エイリアの花が咲いている場所とかはないかしら」
「え?それならありますけど………え!?お嬢様、まさか………」
「摘みにいこうと思います」
「そ、そんなことは私たちに任せてくれればいいんですよ?」
「………でも、自分で摘みたいの」
自分で用意したものを渡したい。
誰かの力に頼るんじゃなくて、私自身の力で用意したい。
私自身が用意して始めて、それは私からの贈り物だと堂々と言える気がするから………。
だから
「ねーさま?」
私はここ周辺の地図を机に広げ、メアリーに問いかける。
「ここらへんに花の群生地はありますか?自然にできた花畑と言うか………草原というか」
「それなら………こことかここですね」
エイリアは温暖な気候の草原で咲く花です。それならここの地形とあいますから、咲いてるはずです。お店で販売されているものはちゃんとしたところで栽培されたもののはずですから、野生のエイリアの群生地ならまだたくさん咲いてるはずです。あとは咲いてる場所の候補を絞って、特定すれば………。
「………ここ、ですかね」
「………本当に行かれるんですか?」
「………はい。ちゃんと自分で手にいれたものを贈りたいの」
「エリーもいっしょにいくー!」
「エリーお嬢様まで!?」
「ふふっ………じゃあ二人で行きましょうか。エリー」
「うん!」
「………」
ってダメですね………気を抜くとすぐこうなっちゃいます………。
ってあら………?
「メアリー?」
「ほんとに、行かれるのですか………?」
「どうしたの、メアリー。大丈夫よ、町までいくわけじゃないし」
「………分かりました」
「………?」
ちょっと外に出るだけなのにどうしてそんな顔をするの………?
「ねーさま、はやく!」
「あ、うん」
なんだろう………。
なにかが心に引っ掛かった。
***
「ねーさま、はやくいこう!」
「まっ待ってください!」
そんなに引っ張らなくてもいきますってば!
エリーは結構力が強いんですね…………。
なんて、少し苦笑しながら家の外へ向かう。
そういえば、家の外に出るのははじめてかもしれません。
でも不思議ですね。
1ヶ月間一度も家の外へ行ったことがないなんて………。
「ねーさま!こっちだよ!」
「あ、はい」
エリーに呼ばれて、屋敷の門をくぐったその時。
「あ………れ………………」
グラリと体が傾きました。
なん…ですか………この強い拒否感。
全身が、この先へ、外へ、行きたくないと拒んでくる。
この感情は………なに?
わからない………ただただ怖くてたまらない………。
視界がぼやけ、傾く。
「ねーさま………?ねーさま!!」
ごめん………なさ………い………エリー………。
一緒に………いけなくて………。
そんな罪悪感と恐怖が私の中に残っていた。
***
「やっぱり………こうなってしまったか」
「旦那様………申し訳ございません。やはり、私が止めておけば………」
「いいんだ。それに、どちらでも良かったんだ。ユリアが記憶を取り戻しても、取り戻さなくても………まぁ、さすがにここまでとは思わなかったけどね」
記憶はないはずなのに、外へ足を踏み入れた瞬間にユリアは気絶した。
私はそんなユリアの顔を見ながら、呟いた。
いまだに青ざめる愛娘。
やはり、外へ出すのはまだ早かったかもしれない。
けれど、いつまでこのままでいさせてやれるかもわからない。
8歳を迎えれば、王都で洗礼を受けなければならないから。
「私は、どうするべきなのだろうな」
ユリアに無理強いをさせたいわけじゃない。
かといってこのままでもいいとも思わない。
「家族、というのは難しいね」
そんな呟きが静かな部屋に響いたのだった。
「どーして?」
「もうすぐエイリアの日なんですって。その日は大好きな人たちに贈り物と感謝を伝える日らしいの。だから………その。私も何か贈りたいなって………協力してくれる?」
「もちろん!」
「私もお手伝いいたしますよ!お嬢様!」
「ありがとう。エリー、メアリー………できれば花束を贈ろうと思うのだけど………花屋さんってどこにあるのかしら………」
「花屋でしたら、町にたくさんございますよ!………ただ」
「ただ?」
「この時期はエイリアの花がよく売れるため、品切れの店が多いんです」
「そう………」
やっぱりいろんな人がエイリアのお花を贈るんですね………。
それでも私は、贈りたいです。
「………エイリアの花が咲いている場所とかはないかしら」
「え?それならありますけど………え!?お嬢様、まさか………」
「摘みにいこうと思います」
「そ、そんなことは私たちに任せてくれればいいんですよ?」
「………でも、自分で摘みたいの」
自分で用意したものを渡したい。
誰かの力に頼るんじゃなくて、私自身の力で用意したい。
私自身が用意して始めて、それは私からの贈り物だと堂々と言える気がするから………。
だから
「ねーさま?」
私はここ周辺の地図を机に広げ、メアリーに問いかける。
「ここらへんに花の群生地はありますか?自然にできた花畑と言うか………草原というか」
「それなら………こことかここですね」
エイリアは温暖な気候の草原で咲く花です。それならここの地形とあいますから、咲いてるはずです。お店で販売されているものはちゃんとしたところで栽培されたもののはずですから、野生のエイリアの群生地ならまだたくさん咲いてるはずです。あとは咲いてる場所の候補を絞って、特定すれば………。
「………ここ、ですかね」
「………本当に行かれるんですか?」
「………はい。ちゃんと自分で手にいれたものを贈りたいの」
「エリーもいっしょにいくー!」
「エリーお嬢様まで!?」
「ふふっ………じゃあ二人で行きましょうか。エリー」
「うん!」
「………」
ってダメですね………気を抜くとすぐこうなっちゃいます………。
ってあら………?
「メアリー?」
「ほんとに、行かれるのですか………?」
「どうしたの、メアリー。大丈夫よ、町までいくわけじゃないし」
「………分かりました」
「………?」
ちょっと外に出るだけなのにどうしてそんな顔をするの………?
「ねーさま、はやく!」
「あ、うん」
なんだろう………。
なにかが心に引っ掛かった。
***
「ねーさま、はやくいこう!」
「まっ待ってください!」
そんなに引っ張らなくてもいきますってば!
エリーは結構力が強いんですね…………。
なんて、少し苦笑しながら家の外へ向かう。
そういえば、家の外に出るのははじめてかもしれません。
でも不思議ですね。
1ヶ月間一度も家の外へ行ったことがないなんて………。
「ねーさま!こっちだよ!」
「あ、はい」
エリーに呼ばれて、屋敷の門をくぐったその時。
「あ………れ………………」
グラリと体が傾きました。
なん…ですか………この強い拒否感。
全身が、この先へ、外へ、行きたくないと拒んでくる。
この感情は………なに?
わからない………ただただ怖くてたまらない………。
視界がぼやけ、傾く。
「ねーさま………?ねーさま!!」
ごめん………なさ………い………エリー………。
一緒に………いけなくて………。
そんな罪悪感と恐怖が私の中に残っていた。
***
「やっぱり………こうなってしまったか」
「旦那様………申し訳ございません。やはり、私が止めておけば………」
「いいんだ。それに、どちらでも良かったんだ。ユリアが記憶を取り戻しても、取り戻さなくても………まぁ、さすがにここまでとは思わなかったけどね」
記憶はないはずなのに、外へ足を踏み入れた瞬間にユリアは気絶した。
私はそんなユリアの顔を見ながら、呟いた。
いまだに青ざめる愛娘。
やはり、外へ出すのはまだ早かったかもしれない。
けれど、いつまでこのままでいさせてやれるかもわからない。
8歳を迎えれば、王都で洗礼を受けなければならないから。
「私は、どうするべきなのだろうな」
ユリアに無理強いをさせたいわけじゃない。
かといってこのままでもいいとも思わない。
「家族、というのは難しいね」
そんな呟きが静かな部屋に響いたのだった。
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