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木の上のお兄さん視点
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その声は街道の各所に設けられた野営地から聞こえてきた。
「もーいや! また携帯食なの! 私は熱いスープが飲みたいの、メインはグラビーソースをかけたステーキが食べたい!」
限られた荷物と薪で真面な料理が出来る訳ないだろうに。何処の我が儘女だ。
「何なの、このカチッカチなパンは!干し肉は辛いし最悪よ!」
はぁー 付いてねー 分かり切った事で文句言うなよ。ダメだ、あんな女の近くに居るよりは木の上で寝たほうが休まるな。
来た道を少し戻り、獣や魔物が簡単には登れない、背が高く幹の太い木を探す。
これが良いな。両手では手が回らない太い幹、一番下の枝も手が届かない位置だ。
紐を付けたナイフを肩位の高さに刺すと、軽く助走を付けナイフを足場に更に上へと跳び上がった。紐を手繰り寄せ回収し、具合の良い枝を探す。2・3メートルではあの五月蠅さは回避できず高さ6・7メートル位まで登ってしまった。だが他の木々から頭一つ分出た形になり見晴らしが良い。
「いったい何時まで吠えるんだか」
野営地に居る者たちは不憫だな。
溜息を付きながら暮れ行く茜空を見ていた。何も考えず、ただ空を観ているのが好きだ。星が瞬く頃には下も静かになったようだ。
「良い気分転換になったな。…んっ…」
何が気を引いたのか森の奥に目をやる。微かに白く細い煙が見えるが火事などでは無い、規則正し一筋の煙。
あれは焚き木だな、あんな森の奥で強い魔物がいないとしても推挙なことだ。否、いないからするのか。何にしても俺には関係ないな。
靄が少しずつ晴れてきた頃、周りの枝でも目を覚ました鳥たちが軽やかに鳴き出した。
「寝過ごしたか? まあ、いいか。あの女は行ったみたいだし、門が閉まるまでに着けば良いんだからゆっくりと行こう。朝飯は歩きながらでいい」
背負い袋から干し肉を出し、咥えながら降りていく。最後の枝を飛び降りようとした時すこし離れた場所の木が揺れた。
「で~た~! やっと森を抜けたよ。さぁ~て、なるべく早く町に行こう」
エルクの様に森から飛び出して来たのは未だ幼い子供。何時から歩いていたのか漸く達成した歓喜が声に表れていた。出てきた方向を見ると夕べの煙りはこの子か、町に近いと言っても1日はかかる距離だぞ? 親はどうしたんだ?
「焚き火後がそんなに離れてないところを観ると団体さんかな? もしいい人達なら後ろを歩かせて貰おう」
うん、状況判断は出来るよだな。否、それ以前に一人で町を出てくるんじゃ無い!女の子の一人歩きは危険だからな。あと、追い付かない方が良いぞ、性格の悪い女が居るからな。
どうにも気になる。仕方が無い俺が後ろを付いて行くか。
少女の身体は筋肉など一遍も無いほど細く、狩りなど出来る腕の太さには見え無い。一番有りそうな尻はプリっと丸みが有りとても柔らかそうに見える。腰まで伸びた髪は朝露に濡れ、朝の柔らかい光を反射し七色に輝いている。以前に見た海の貝から取れる宝石の様だ。
他人の容姿を気にした事は殆んど無いが素直に美しと思った。
細い割に体力は有るな、しかし警戒心が無い。前ばかり見て後ろへの注意がガラ空きじゃないか。俺が悪い奴だったらどうするんだ。
うん、なんだ? 森に入るのか?
完全に入る様では無いな。木から木に身を隠しながら… 様になってるな、しばらく様子を見てみるか。何を警戒してるんだ。
前が騒がしい、盗賊か! あの距離から気付いていたのか! あの人数では全滅だな、あれでは猫がネズミをいたぶっているのとを同じで、盗賊が飽きるか護衛の体力が先かの違いだな。
さて、俺は上から行くかそれとも派手に突っ込むか。お嬢ちゃんは出てくるなよ。って、おい何をしようとしてるんだ! まてまて!それじゃ届かないぞ!あああ、言わんこっちゃ無い。って、声にしてないけどな。
「あ~ぁ? 正義感にあふれた子猫が1匹紛れ込んだぞ。ふーん、まぁーだ色気は無いが上玉じゃ無いか。野郎ども傷付けんなよ」
「ヒヒヒッ、そんなに睨むなよ。大事に大事に躾けてやるからよ」
「綺麗な子だな、今でも十分だ。こっちに来い気持ちいい遊びをしようぜ」
下卑た言葉と表情に怯え囲い込まれながらも武器を構える姿勢は立派だが、それ以前にもっと考えような。
後いい加減お前らその顔やめろ!俺が見てもブキミなんだよ!夜悪夢に魘されたら可哀相だろ💢
そんなに遊びたいか!
「ほら、来てやったぞ。遊んでくれるんだろ」
お嬢ちゃんの前に飛び降りると盗賊3人を空かさず切り捨てた。向こうでは未だ踏ん張っている護衛の加勢に行く前にお嬢ちゃんに釘を刺しておこう。
「お嬢ちゃん、ちょっと無謀だな。後でお小言だ…ぞ 逃げるなよ!」
本当は「動くな」って言うつもりが、女の子を観たら「逃げるな」になっちまった。
この子の親はどういうつもりなんだ!これは不味いだろう。この子に説教する前に親に一言言いたいぜ。
**************************
エルク=ヘラジカの事ですが、この中では魔物に近い獣としての扱いになってます。
「もーいや! また携帯食なの! 私は熱いスープが飲みたいの、メインはグラビーソースをかけたステーキが食べたい!」
限られた荷物と薪で真面な料理が出来る訳ないだろうに。何処の我が儘女だ。
「何なの、このカチッカチなパンは!干し肉は辛いし最悪よ!」
はぁー 付いてねー 分かり切った事で文句言うなよ。ダメだ、あんな女の近くに居るよりは木の上で寝たほうが休まるな。
来た道を少し戻り、獣や魔物が簡単には登れない、背が高く幹の太い木を探す。
これが良いな。両手では手が回らない太い幹、一番下の枝も手が届かない位置だ。
紐を付けたナイフを肩位の高さに刺すと、軽く助走を付けナイフを足場に更に上へと跳び上がった。紐を手繰り寄せ回収し、具合の良い枝を探す。2・3メートルではあの五月蠅さは回避できず高さ6・7メートル位まで登ってしまった。だが他の木々から頭一つ分出た形になり見晴らしが良い。
「いったい何時まで吠えるんだか」
野営地に居る者たちは不憫だな。
溜息を付きながら暮れ行く茜空を見ていた。何も考えず、ただ空を観ているのが好きだ。星が瞬く頃には下も静かになったようだ。
「良い気分転換になったな。…んっ…」
何が気を引いたのか森の奥に目をやる。微かに白く細い煙が見えるが火事などでは無い、規則正し一筋の煙。
あれは焚き木だな、あんな森の奥で強い魔物がいないとしても推挙なことだ。否、いないからするのか。何にしても俺には関係ないな。
靄が少しずつ晴れてきた頃、周りの枝でも目を覚ました鳥たちが軽やかに鳴き出した。
「寝過ごしたか? まあ、いいか。あの女は行ったみたいだし、門が閉まるまでに着けば良いんだからゆっくりと行こう。朝飯は歩きながらでいい」
背負い袋から干し肉を出し、咥えながら降りていく。最後の枝を飛び降りようとした時すこし離れた場所の木が揺れた。
「で~た~! やっと森を抜けたよ。さぁ~て、なるべく早く町に行こう」
エルクの様に森から飛び出して来たのは未だ幼い子供。何時から歩いていたのか漸く達成した歓喜が声に表れていた。出てきた方向を見ると夕べの煙りはこの子か、町に近いと言っても1日はかかる距離だぞ? 親はどうしたんだ?
「焚き火後がそんなに離れてないところを観ると団体さんかな? もしいい人達なら後ろを歩かせて貰おう」
うん、状況判断は出来るよだな。否、それ以前に一人で町を出てくるんじゃ無い!女の子の一人歩きは危険だからな。あと、追い付かない方が良いぞ、性格の悪い女が居るからな。
どうにも気になる。仕方が無い俺が後ろを付いて行くか。
少女の身体は筋肉など一遍も無いほど細く、狩りなど出来る腕の太さには見え無い。一番有りそうな尻はプリっと丸みが有りとても柔らかそうに見える。腰まで伸びた髪は朝露に濡れ、朝の柔らかい光を反射し七色に輝いている。以前に見た海の貝から取れる宝石の様だ。
他人の容姿を気にした事は殆んど無いが素直に美しと思った。
細い割に体力は有るな、しかし警戒心が無い。前ばかり見て後ろへの注意がガラ空きじゃないか。俺が悪い奴だったらどうするんだ。
うん、なんだ? 森に入るのか?
完全に入る様では無いな。木から木に身を隠しながら… 様になってるな、しばらく様子を見てみるか。何を警戒してるんだ。
前が騒がしい、盗賊か! あの距離から気付いていたのか! あの人数では全滅だな、あれでは猫がネズミをいたぶっているのとを同じで、盗賊が飽きるか護衛の体力が先かの違いだな。
さて、俺は上から行くかそれとも派手に突っ込むか。お嬢ちゃんは出てくるなよ。って、おい何をしようとしてるんだ! まてまて!それじゃ届かないぞ!あああ、言わんこっちゃ無い。って、声にしてないけどな。
「あ~ぁ? 正義感にあふれた子猫が1匹紛れ込んだぞ。ふーん、まぁーだ色気は無いが上玉じゃ無いか。野郎ども傷付けんなよ」
「ヒヒヒッ、そんなに睨むなよ。大事に大事に躾けてやるからよ」
「綺麗な子だな、今でも十分だ。こっちに来い気持ちいい遊びをしようぜ」
下卑た言葉と表情に怯え囲い込まれながらも武器を構える姿勢は立派だが、それ以前にもっと考えような。
後いい加減お前らその顔やめろ!俺が見てもブキミなんだよ!夜悪夢に魘されたら可哀相だろ💢
そんなに遊びたいか!
「ほら、来てやったぞ。遊んでくれるんだろ」
お嬢ちゃんの前に飛び降りると盗賊3人を空かさず切り捨てた。向こうでは未だ踏ん張っている護衛の加勢に行く前にお嬢ちゃんに釘を刺しておこう。
「お嬢ちゃん、ちょっと無謀だな。後でお小言だ…ぞ 逃げるなよ!」
本当は「動くな」って言うつもりが、女の子を観たら「逃げるな」になっちまった。
この子の親はどういうつもりなんだ!これは不味いだろう。この子に説教する前に親に一言言いたいぜ。
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エルク=ヘラジカの事ですが、この中では魔物に近い獣としての扱いになってます。
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