やり直し人生は異世界から

ローザ

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私はダメな子?

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「後ろから人攫いがついて来ても気にし無さそぉ……」

 そんな事有るかー!でも、敵意を持った人が近付くと分かる様に成っているから何て言えないし……此処は無言でやり過ごそう。


「ハァー、親は如何してんだ、こんな世間知らずを1人にして」
「本当よね、私達2人は兄妹だと思ったから聞かなかったけど…」
「「「「「家出か?」」」」」

 成人した女に何を言ってんの!

「違いますぅー! 出る家なんか無いよ」
「「「「「「えっ!」」」」」
「一緒に暮らしていた祖母が亡くなって、1人山に居るのが嫌で下りてきたんです!」

 祖父と父が2人で冒険者をしていた事、依頼中に父が亡く成った後母と一緒に祖父母と山の麓の森の中に住んでいた事、祖父が亡くなり母が亡くなり諸事情で山の中に移り住んだ事。

 ベルクーリュー様と決めた身の上話を話した。

 あー シンミリとしちゃったな。

「良いんです、大丈夫ですよ。物心付いた時から山暮らしで慣れているんです」
「親類はい無いのか?」

 ……親類…… はっ…人の皮を被ったハイエナならいるけどね…

「親類……いませんよ。天涯孤独ってもんで」

 言ったよ! ベルクーリュー様♡

「でも不思議ね、三ヶ所あったのに……何で一度も合わなかったのかしら?」
「手前の野営地、ロッカの方が先に来ていたんじゃないのか?」
「そうなの?」
「まあ森に入ったり出たりしていたし、多分私のほうが先だと思う」
「薫製って時間かかるんでしょ、どれだけ森にいたの?」
「一ヶ月かなぁ」
「そんなに!どうやって暮らしていたの!?」
「?普通に? 森で採集して、加工して、食べて?」
「一人であんなに奥で?ましてや一ヶ月?」
「祖父母に一人でも生きていけるように仕込まれてますから」
「「「「ロッカちゃん💦」」」」

 そう、色々と教えて貰った。親戚づきあいは無かったけど、両親と祖父母は仲が良く、私はとても可愛がって貰った。
 おじいちゃんは手先が器用でおばあちゃんは園芸好き。お父さんは企業戦士だったけどアウトドア大好きで、お爺ちゃん家の庭でなんちゃってキャンプ、休みの日には皆でスーパーには無い野菜を種から自家菜園で作って、それをお母さんが創作料理を考えて皆で食べる。

「お母さんのミートパイ美味しかったな……」

 思い出したら泣けてきた、今日会ったばかりの人達に見られたく無いな。

「あーごめんなさい、チョット失礼します」
「馬鹿野郎!我慢するな!」

 立ち上がった瞬間腕を掴まれ、よろけた拍子にリュシウォンさんの胸に抱き込まれてしまった。

 ぎゃー 待って何この体勢!足踏んだかも?うわー脛が足首かしら?骨にグリグリ当たって地味にイタい!

「暴れるな!ほら此処に座れ!」

 リュシウォンさん腕力凄い!座ったまま私を持ち上げたよ!
 今、私はリュシウォンさんの胡座をかいた膝に横向きに座り、頭は胸に抱き込まれてしまった。なになに!どうすれば良いの!?男性とこんなに接近したこと無いんですけどお!

「わ、わわぁ!わぁたし!…」
「ここまで良く頑張ったな、お前の家族は誇りに思ってるだろうな『うちのロッカは偉い!』てな」
「全くだ。勇敢で優しくて料理上手」
「しかも凄く可愛い。モテるだろ」
「イヤイヤ、じいさんや親父が『害虫が出たぁー』とか駆除してたんじゃ」
「ハハハ、それじゃロッカちゃんお嫁に行けないよ」
「「「「まだ早い!」」」」




「ああぁ、ロッカちゃんに貰ったポーションすごいなー!」 
「ポーションの作り方も二人から?」
「祖母が薬師で」
「あれはハイパーポーションでしょ!しかも良品!もしかして優良品かしら!?」

 ガストさんとサーシャさんのテンションものすごく高いけど、気を遣わせてごめんなさい

「…普通のですよ」
「「「えっ!」」」
「ローリーさんとリュシウォンさんにも言われましたが、あれは普通のポーションですよ」

 カバンから一本出して見せる。

「これがぁ? 私が作ったらこんな澄んだポーションに成らないわ。売られているハイパーポーションでもこんなの見た事無いわ、もっと濁りがあったわよ」
「サーシャさんも薬師なんですか」
「いいえ私は治療士よ」

 薬師と治療士ってどこが違うの?

「解ってない顔だな。簡単に言うと、物を変化させるのが【薬師】極めれば【錬金術師】になる。一方魔力で促進させるのが【治療士】こちらは【錬金術師】もしくは【プリースト】になる。難しいけどな」
「どちらも光魔法だけど、生まれ持った資質で偏るみたいだよ」

 そおか、私もヒール使えるものね。

「サーシャさんはポーションも出来る?」
「粗悪品程度ならね。かすり傷程度よ、イザと成れば無いよりマシ程度」
「試しに作って貰っても良いですか?おばあちゃんと自分のポーションしか見たこと無くって」
「下手なの笑わないでね」

 試しに作ってもらった物は濁りが強く殆ど金粉が無い、鑑定しなくても粗悪品だと分かる。

「その水はどこの水?他に持っていますか?」
「これは途中の川で汲んだの。町の井戸水も少しあるわ」
「それでもう一度同じ様に作って下さい」

 同じ粗悪品だが少し濁りの少ないものが出来た。それでもサーシャさんには別物に見えるようで

「なんで?同じように作ってこうなるの?」
「その二本を貸せ。濁りは減ったが金粉は変わらない」

 リュシウォンさんは腕に傷をつける。自分で自分に傷を付けるという行為に戦く私を無視して、最初井戸水を使ったポーションを飲む。傷は塞がたが薄らと跡が残る。その傷の隣に再び傷をつけ濁りの強いほうを飲むと血が止まっただけ、一度目の傷も薄らと残っている。

「金粉だけじゃなく濁りも効果のうちか」

 平然と感想を言わないで欲しい…

「無茶するな…」
「検証できるのはロッカが居るうちだろ」
「そりゃぁーそうなんだが…」
「水が違うのは分かったわ、綺麗なものの方が良いのよね。後は何?」

 リュシウォンさんにポーションを渡しながら

「身を持って検証してくれたリュシウォンさんに免じてヒントをもう一つ。みんなに飲んでもらったポーションは森で野営したときに川の水で作ったの」
「「「「「!?」」」」」
「えっ!水でしょ!でも川?井戸より森の川の方が綺麗なの?」

 サーシャさんが頭を抱えて考えている。余計に分からなくなったかな? こちらの人たちに【消毒】の概念が無いと難しいかも。

「それはね…」
「ロッカ… さっきも言ったが無料で教えるのは其処までにしろ、レシピは親から子へ代々伝えるものでこんな開示をするものじゃない誰かに師事するにも契約書を作り制限をかけられるんだ」
「そうなの?他の薬師を知らないから分かんなかった」
「んんー他の薬師に会った事も無いのか。常識…というか警戒心が無さ過ぎるだろ」

 冒険者は他人の過去を探らないってマナーが有るみたい、でも私の場合は聞いて良いよ。むしろ聞いてくれ。

「だから物心付いた時から山暮らしで他人と付き合った事が無いしそんな決まり事知らないもの」

 リュシウォンさんに大きな溜息を付かれたけど、そんなに秘密にしなくても良いのに。

「ロッカちゃん色々ごめんね。確かにタダは拙いのよ…ロッカちゃんは善意で行う事でも巡り巡って損をする人も出ることが有るから」
「損をする人?」
「私も調子に乗っていたわ。先ずは市場が荒れるわ」

 レシピ公開をすると品質が揃えられ価格が一定になる。儲けたい薬師は儲けられ無くなり一定品質が作れない薬師は、薬師失格のレッテルを張られてしまい廃業に追いやられる。薬師が減るとポーションが高騰し、新人冒険者には手が出せなくなる恐れも有る。
 だから今のままが良い。と言うこと。

「暫くは俺が付きっきりで常識を叩き込んでやる、知らないじゃ済まない事もある」
「ハァー 取り敢えずダメな事は分かりました。なら…今回のポーションおよび講習は【銀の翼】とリュシウォンさんに町までの護衛と常識講習の報酬にしたいです」

 これで良いでしょ?

「よし……分かった。…手始めに身分書はあるか?」

 ??? 身分書? そう言えばそんな物無いな。テンちゃんまたまたヤバいです。ゲームでは街どころかお城だって出入り自由で、人の家だろうが「アイテムゲットだぜ!」状態で気にしてませんでしたぁーーー

「その感じだとギルドの事も知らないだろう」

 なぜでしょう… なぜそうなる……ゲームの知識が役にたた無い、これが現実だからか?私、非常識な事している? どうしよう町に行けない。絶対迂闊な事をしそう。
 私の常識は地球の常識、彼らに常識無しと言われても仕方が無い。
 リュシウォンさんの両腕を掴み

「先生!…御鞭撻お願いします!」

 そのまま土下座の流れと相成りました…

「おう!任せろ!」

 
「町に住みなよ。素材採取なら俺たち付き合うし」

 誘ってくれて嬉しい、でも始まったばかりで冒険してないよ。これじゃテンちゃんにお話し出来ない。

「山から出た事が無いから、いろいろ行ってみたいの。おばあちゃんの遺言でもあるし」
「ロッカちゃん、だったら今夜は一緒に寝よう。街の話をしてあげる」
「ほんと!家族以外と寝ながら話すのは初めてなの」

 女子会だ 何を用意したら良いかしら。そうだ!

「どちらのテント使います?」
「私のは一人用だからロッカちゃんので良いかしら」

 既に設置された私の大型テントを見ながら聞いてきた。3人位は余裕の大きさだ。

 私は自分のテントに

「もちろん!【アース・ドーム】」
「おいおい、俺たちは襲ったりしないぞ!」
「違いますよ。虫が怖いんです。寝ている間に顔を這っていたら?空いた口の中に入ってきたら?信用してるよ一纏めにドームかける?かけていい?」

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