田舎で出会った女性が実は....

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再会の夜に....

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 数時間経ち日は暮れようとしており、昼間明るく俺たちを照らしていた太陽は隠れるように沈もうとしていた。俺と紗衣佳は日が暮れるまで梱包されていた少量の荷物を開封したり配置したりの作業や、掃除を行った。ある程度掃除がされているといえ、建築年数も古く誇りまみれも部屋も多かった。資料室にでも使っていたのかというぐらい目的不明の部屋も多かった。

 そして、日が沈み夜がやって来ると紗衣佳は移住の記念にと夜ご飯を作ってくれた。台所に立つその姿は結婚した未来予想図にも見えたが妄想の域だ。

「天王寺さんお待たせしました 」

 紗衣佳の手作り料理。俺の目の前には宝が沢山見えていた。釜で作った白飯に赤味噌の味噌汁、冷や奴にきゅうりとトマトのサラダ、煮魚と栄養のバランスも取れており最高の夕飯だ。普段、スーパーの惣菜で済ませる事が多い俺としては久しぶりの手料理だ。それに、よく見ると2人分用意されている。これは紗衣佳も一緒に食べてくれるという事なのか。

「俺、手料理食べるの久しぶりかもしれない 」

「私の料理、腕前は普通だと思います....でも、誰かと一緒に食べるご飯は絶対に美味しいと思います 」

「ああ。そうだな 」

 俺たちは手を合わせていただきますと言った。そして、箸を取り味噌汁が入った漆の椀を持ち口へとゆっくりと流し込む。温かい。味噌汁の温度というよりは紗衣佳が持つ性格を感じ取った。

「美味しい。とても温かくて心が休まるようだ 」

「良かったです 」

 紗衣佳はサラダを食べていた。野菜のリズミカルの音が口から漏れて聞こえていた。この土地で栽培し、収たとされる胡瓜やトマトの水々しさはお店では見る事が出来ない植物の神秘を見せてくれていた。

「御堂筋さん。どれも美味しいです。とても 」

「喜んでいただけて幸いです 」

 俺たちは静かに食事を楽しんだ。俺個人としては、会話をする事よりも紗衣佳が作ってくれた料理の一つ一つを静かに集中して味わいたかった。そこには余計な会話は必要なかった。食事を通して紗衣佳とコミュニケーションを取っていた。この1日は新天地への驚きと記憶を失った紗衣佳との再会で流れるように時間が過ぎていた。その中でもこの食事の時間だけはゆっくりと静かに流れているように思えた。

「御堂筋さん。今日は本当にありがとう 」

「天王寺さん、同じ村同士頑張りましょうね 」


◇◇◇


 幸せな食事が終わり食器の片付けを2人で済ませると、紗衣佳は自分の家へと帰った。紗衣佳が帰った俺の家は異常に広く感じた。そして、暗く寂しさも同時に与えてきた。

「まぁ、仕方ないよな 」

 俺は布団の準備を先に済ませてから風呂に入った。俺の家の風呂はひのき風呂になっていて非常に良い香りもするし癒される。俺は目を瞑り、今日一日の出来事を振り返っていた。少し開いている窓からは雨の音が聞こえる。今日は夜から雷雨だと予報されていた事を思い出した。

 風呂から出た俺は布団に入り電気を消した。目を瞑ると無音な暗闇が広がる。都会に居た時よりも非常に怖く感じる。慣れない土地で味わう恐怖はこれからの生活に対しての不安を高めていく。果たしてやっていけるのか。先が見えない暗闇の道を俺は歩いて行かなければならない。中々寝付けずにいた時、玄関から音が聞こえた。俺は棒を持ち恐る恐る玄関まで行き扉を開いた。

「天王寺さん。私です。この雨で家が雨漏りだらけで....良かったらしばらくここに住ませてくれないですか? 」

 先程まで先の見えない恐怖に怯えつつあった俺は今度は興奮と歓喜によって全くの真逆の状態になっていた。紗衣佳と一緒に暮らせるというこれまであり得なかった出来事が今目の前で起きようとしていた。
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