平凡な私が絶世の美女らしい 〜異世界不細工(イケメン)救済記〜

宮本 宗

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64 笑顔の裏には怒りがある

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笑顔で居続けるのは難しい。私はそうだ。毎日笑顔でいられたらいいなあと思う事はある。
でも付け加えるなら、“笑顔でいる”イコール毎日が楽しいという意味でのことだ。
私自身短気ではないと思う。だけど人間だから、ずっとにこにこはしていられなくて。
例えば仕事で忙しい時とか、体調が悪い時、疲れている時なんかは笑顔でいる事がしんどい。
これもあれも頼むよと言われると“はあ?この書類の山見てから言ってくれます?”と顔に出てしまう事もあった。


それから陰口を言われたり、嫌な事を言われた時もそう。
それが嫌いな相手なら睨み付けるくらいするけど、そうでない人からの場合は落ち込む。
友人であればもっと落ち込むしそして腹が立って言い返す事も。
でもこれは私だけじゃなく、普通に、誰もがあり得る事だ。
だけど常に笑顔でいる人は…きっと逆にそれ以外の感情を出す方が難しいのだと思う。
あの子がそうだった。サーファス様もそうだと思う。
辛い事悲しい事、腹が立った事。悩みを誰かに伝える事もせず、否、出来なかったのもあるだろう。
ずっとそうやって過ごして、そしてそのまま年を重ねていく。
きっと、もうどうやって負の感情を誰かに伝えればいいのかも分からない。
そういう部分は私にもある。
誰にでもきっとある。マティアス様たちは特にそうだ。
そしてサーファス様がただ笑顔で苦痛に耐える人であるなら…此方が注意深く見ない限り何かに悩んでいる事さえ気付けないだろう。



「ありがとうねサイカ。
でも平気なんだ。本当だよ?」


サーファス様とは今日出会ったばかり。
今日、会って、こうして話をしている。
平気だよ。本当だよ。その台詞が嘘なのか本当なのか、会ったばかりでは真実は分からない。
サーファス様は私より十一も年上で、言えば人生の先輩でもある。
私よりも沢山の事を経験しているし、色んな事を都度乗り越えてきたのだろう。
そんな人に十も下の小娘が偉そうに話す。それは本来であればとても烏滸がましい事だ。失礼な事でもあるだろう。
にこにこと笑っているサーファス様の笑顔は何一つおかしいものじゃない。普通に見える。至って普通に、ごく自然に。

だけど私の勘がこう言うのだ。
“楽しそうでも、嬉しそうでもない”そんな笑顔だと。


「サーファス様。」

「ん?何?」

「サーファス様は、私に自分を知って欲しいと言いましたね。」

「え?うん。言ったね。俺の事を知って欲しいし、君の事を知りたいよ。」

「…それは、本心だと思っていいんですよね?」

「え?」

「心からの言葉だと思って、いいんですよね?」

「当たり前だよ!……何か、疑う理由でもあった…?」

「いいえ。確認しただけです。」

「?」


自分を知って欲しいと言いながら、サーファス様は肝心な所を見せない。
にこにこにこにこ。笑顔のままで表情も変わらない。
私はサーファス様の何を知ればいいのだろう。
サーファス様は私に何を知ってほしいのだろう。
笑顔を崩さないサーファス様に対し、何処まで踏み込んでいいかも分からない。この状況でサーファス様の言葉通りに、互いを知るのは簡単じゃないなと思った。
互いを知る。その言葉はどの程度の事を言っているのだろうか。
上辺だけではなく、深い付き合いを、互いの性格を知り心の内まで話せる仲に?そうであれば難しい。
出会ってからすぐそんな親密にはなれはしない。仲が深まるのは追々の事で、今サーファス様の心の内を見せろと言っているわけでもない。
だけど思う。この人は…きっと、自ら私に弱味を見せる事はなく、また悩みも誰かと共有しようとはしない人ではないかと。そんな気がしている。


「ね、サイカの事を教えて。俺はサイカ、君の事が知りたいんだ。
何でもいいよ。何の話だって君の事なら重要だからね。
悩みでもいいし困っている事でもいい。俺で力になれるなら出来る限りの事はするよ?」

「…何でもいい、ですか…。うーん、……じゃあ、改めて自己紹介から。
サイカと言います。年は二十五で娼婦になって一年が過ぎたくらいです。好きな事は散歩をしたり、本を読んだり…ですね。嫌いな事は…特に思い付きません。好きな食べ物は甘いもの。嫌いなのは辛いものでしょうか…。」

「甘い物が好きなんだね!今後の参考にするよ…!あ、それとも今花街で買って来ようか!?」

「え!?いいえ、大丈夫です!」

「そう…?じゃあ、次回来る時は甘くて美味しいお菓子を手土産に持ってくるね。
…気になっていたんだけど…サイカ、君の恋人は何人いるの?」

「…恋人は…四人です。」

「四人か。…その人たちは…最初はお客さんだった?好きになったきっかけとか…あるかな。あるなら是非とも聞いておきたいんだ。」

「…きっかけ……は特になかったと思います。
会う内に、好きになっていました。気付いたのは最近でしたし…恋を、するのが初めてだったので…。」

「……初恋?」

「はい。」

「…そっか。羨ましいけど…出会うのが少し遅かったのは仕方ないよね。
俺もね、サイカが初恋だよ。」

「え?そうなんですか…?」

「うん。女友達は何人かいるけど…誰にも恋をした事がなかった。
俺の中で彼女たちは友人でしかないからね…。」


サーファス様はにこにことした笑顔のまま。だけどほんの少しだけ目に陰りが見えた。
よく見ていないと気付かないけれど、まるでどうでもいいようなそんな目をしていた。


「……ご友人の一人が、サーファス様を好きと言ったら…サーファス様はどうされますか?」

「ん?それは勿論嬉しいけどそのままお付き合いはないかな。
あはは、でも俺みたいな不細工に好意を持ってくれるのは凄く有り難いし俺如きが断るなよって周りに思われるだろうけどね!そもそも吟味出来る立場じゃないか。うん、でも…付き合えないよ。俺は。」

「……。」


冗談っぽく。本当に冗談っぽくそうサーファス様は自虐の言葉を並べる。
どこも不自然じゃない笑顔だ。…目の陰りを除けば。


「それは、これからじゃなくて…これまで、だったとしてもですか…?」

「そうだよ。今までも、これからも。
俺は彼女たちを好きにならない。だからもし、万が一があっても、俺はごめんねと言う。もしそれでその子が俺の前から去っても、それは仕方ないよね。」

「……理由を…聞いても?」

「理由?」

「…好きにならないという、その理由があるんですよね…?」


美醜の問題で虐げられ、嫌悪されてきた人たち。
皆、誰かに愛されたいと思っていたと気付いた。
抱かれていると相手の気持ちが伝わる時が何度かあった。
愛してとそう伝わった時もある。
きっと周りと同じ様に、普通に愛し愛される事を望んでいたのだ。
これは馬鹿にしているわけじゃなく、マティアス様やヴァレリア様、カイル様にリュカ様と会い、話し、セックスをして分かった事。
この世界で醜いとされる容姿で生まれた故に、“普通”が難しい、望みが薄いとこれまでの人生を歩んできたのだろう。
そこに私が現れた。この世界とは正反対の美醜の価値観を持つ私が。
思えばきっと、私でなくとも良かったのだ。たまたま私だっただけで、私でなくともきっと同じ様になっただろう。誰でもよかったのだ。

こんな事を思ってはいるが別にシリアスになっているわけじゃない。
その誰かは私だったという事だ。出会いは縁。運命でもある。
誰か別のひとではなく、私が彼らと出会った。そして今がある。
サーファス様には女友達が何人かいるという。
なら…マティアス様たちよりは恋愛出来るのではないだろうかとふとそんな事を思っただけだった。
サーファス様は楽しい人だ。彼の周りにいる友人たちが容姿じゃなく、性格で好きになる事もきっとあると思う。
だけどサーファス様は万が一もないと言う。これまでも、そしてこれからも。
そこに何か、理由があるのだろうと思った。


「友人だけど他人なんだ。彼女たち。」

「?」

「いや、彼女たちに限った事じゃないかな。彼らも、か。」

「…ええと…?お友達…ではないのですか?」

「いいや友人だよ?だけど他人でもある。分かりやすく言えば…都合のいい時だけの友人って言えばいいかな。
別に裏切られたとかそういうのじゃない。……ただ、俺にとっての友人と彼女や彼らにとっての友人…その意味合いが違うのかも知れないね。」

「……何か、あったんですか…?」

「……ううん。大した事じゃないよ。
でも…サイカ、君にとっての友人は…どういう人が友人に当てはまるのか聞いてもいい?」

「…私にとっての友人、ですか…?」


そう問われ考える。
学生の頃は友人と呼べる存在は沢山いた。
話すと楽しい子。頼りになる子。誰からも可愛がられる子。言葉はキツいけど優しい子。
それぞれにそういう“役割”があった。
だけど大人になってから少しずつ疎遠になって、今私の周りに残っている友人は片手で数える程度。
そしてどの友人も……これまで、決して浅い付き合いはなかった子たちだ。
辛かったねと気持ちを分かってくれる友人もいれば、何をしてるのと怒ってくれる友人もいる。
共通して言えるのは…今も私と友人でいる子はどの子も、時に寄り添い、共感し、励まし、叱咤してくれる、そんな子たちばかりだった。


「寄り添い、共感し、励まし、叱咤してくれる。
上辺だけじゃなく、深い繋がりを持つ…それが、私にとっての友人…。」

「…いいね。うん、とてもいい。
俺もそうだよ。相手の事も自分の事も。互いの事を理解して大切に出来る…それが俺の、友人の定義でもあるんだ。」


優しい笑みを互いに浮かべる。
和むような笑顔の後に…サーファス様は目を伏せた。


「だけど彼女たちはそうじゃない。
友人と言ってくれるけど、言葉だけにしか感じられない時が多々ある。
困った時には力になるとそう言った子もいる。だけど言葉だけなんだよ。それだけの事。」

「……。」

「ふふ。彼女たちはね。友人よって言っておきながら、側にいて欲しい時にはいない。近付きもしない。皆遠巻きに俺を見てるんだ。目が会えば気まずそうに逸らされる。そして事が済んだ後、何食わぬ顔でこう言うんだよ。“大変だったわね”って。おかしいよね?
他人のように接しておいて、次の瞬間には友人に戻るんだ。」

「……。」

「でも彼女たちの友人の定義はそういうものなんだなって思ったらそれでもいいかと思えたよ。
親や兄弟、友人でも“他人”。…不思議だけど、人間は一人一人違うからそういう事もあるんだろうね。周りの人たち皆が“普通”の生活、“普通”の人生を送っているわけでもないし。だから俺のこの我が儘な価値観、定義を受け入れられなくても仕方ない。
理由は単純だよ。俺と彼女たちは絶対に価値観が合わないんだ。何一つとして。友人としては好きになれるけれど、恋愛にはならない。」


サーファス様は気付いているのだろうか。過去の出来事を終わったように話す今も、自分が傷付いているのを。
笑いながら、明るい声で話ながら。だけど目だけは仄暗い。
きっとサーファス様は笑顔で居続け、誰にも弱味を見せなかったのだろう。
そして周りの誰も、サーファス様の笑顔の裏側を知ろうとしなかったのだろう。
気付かなかったのもあるかも知れない。
サーファス様がさっき言ったように、都合のいい時にだけ友人の顔をしている人たちなのであれば…気付かないのも不思議ではないが。

この人を知るにはどうすればいいだろうか。
互いの事を理解して大切に出来るそんな関係。サーファス様はそれを望んでいると言った。
この先私に何度会おうとも、サーファス様は自分の負の感情を笑顔で隠すのだろう。
否。もしかしたら過去の傷はもう自分の中で終わったものだとサーファス様は思い込んでいるのかも知れない。
過去の出来事に今も傷付いていると気付いてないのかも知れない。

互いを知るには、サーファス様を理解するにはどうすればいいのか。
それはまず、サーファス様の弱さを表に出す事から始めなければならないだろう。
でなければ私たちは互いを理解出来ないままだ。
そこから始めなければサーファス様の望む、“互いを理解し大切に”そういう深い付き合いは出来ない。

少しだけ、サーファス様の事が分かった気がした。
笑顔で弱さを隠す所まで、友人に似ているなと思った。
サーファス様の頬を両手で摘まみ引っ張る。


「…ひゃ…ひゃいか…?」

「…サーファス様、辛かったって言ってくれませんか?」

「へ…?…ふらはっは…?」

「…じゃあ、次は苦しかった。」

「…??ふふひはっは。」

「…次は傷ついた。」

「……ひ、ふふひは、」

「大丈夫じゃない。」


ゆっくりと頬を摘まんでいた指を話す。
サーファス様は笑おうとしていたけれど…それは歪な笑顔だった。


「…だいじょうぶじゃ、ない、」

「平気じゃない。」

「…平気じゃ、」


その内何かを思い出したのだろうか。言葉を詰まらせる。
詰まらせると目を固く瞑り、ぐっと拳を握りしめるサーファス様。
ああやっぱりそうだ。
この人もあの子と同じ。自分から辛い気持ちを吐露する事が出来ない人だった。
誰かが気付かなければ限界まで、心が壊れるまで我慢し続ける。笑顔で隠し続ける。
あの子の事は気付けなかった。私が子供で、未熟すぎたせいでもある。
あの子の我慢が限界を越えて、少しずつ壊れ、そして漸く気付く事が出来て初めて後悔した。
もっと早くにあの子のSOSに気が付けたならと。もっと私が、人の気持ちに敏感になれればと。


「…辛い。苦しい。大丈夫じゃない。平気じゃない。今も、サーファス様は傷付いてる。
気にしないように笑顔で隠して、耐えて、心の奥に閉じ込めて。
今の事じゃない。過去の事に対して、今だって苦しんでる。」

「…そんなことは、」

「そうでないなら、どうしてはぐらかすんです?どうして肝心な事は話さないんです?まだ会ったばかりだから。…とは、違う気がします。
サーファス様は私に話をする間、仕方ない、それだけの事、大した事じゃない、そう言いました。
…私にはそれが、自分に言い聞かせている様に聞こえます。」

「……、」

「自分を知って欲しい。サーファス様は私にそう言いましたね。
だけど肝心な事が分からないままじゃ、きっと深い付き合いは出来ない。上辺だけの関係なら簡単です。サーファス様は楽しい人で、会話も飽きなくて、明るい人。でもそれだけになってしまう。」

「……。」

「サーファス様は、私にどこまで知ってほしいですか?
サーファス様自身の事を、どこまで…。もし、サーファス様と私が恋人になったとして。……どんな付き合いをしたいんですか?」

「どんな…?」

「ただ恋愛を楽しむ関係なのか。体の関係も含め「そうじゃない!!」


サーファス様は勢いよく立ち上がり私を見下ろす。
その表情は笑顔ではなく。焦ったような、悲しい表情をしていた。


「そんなつもりじゃない!俺は、…俺は心から君を好きになった…!
ただ恋愛がしたいだけでも、セックスがしたいからでもない…!
誰かの為に怒って、悲しんで、喜んで!そんな君となら俺は!…俺は、寄り添い、互いに支え合える関係になれるんじゃないかって、思い合って、互いを理解して助け合って、…そういう、深い関係になれるんじゃないかって、」

「…はい。だけど、このままじゃ無理だと思うんです。
このままお付き合いなんかが始まれば…きっと私ばかりがサーファス様に寄り掛かる事になる。もし私がサーファス様を傷付けたら。私も人間です。気付かない内に誰かを傷付けている事もある。そんな時も、サーファス様はきっと笑ってるんだろうなと思います。」

「……、」

「私ばかりがサーファス様に寄り掛かり、そして時には傷付ける事もある。気付かず、謝る機会もなく。それはサーファス様の負担になってしまいます。」

「負担なんて!」

「いいえ。負担になります。我慢をし続けていれば、吐き出す事も出来ないままでいれば。…少しずつ少しずつ、私という存在が負担になってくる。それは公平じゃないです。
…支え合うには、理解し合うには、互いの弱さを見せる必要もあります。」

「…言っている事は理解出来る。…だけど…参ったな。俺は君より年上だし…それに好きな子に弱い部分を見せるなんて…何か格好悪いじゃないか…。」

「男だとか女だとか、年上とか年下とか。そんな事は関係ないです。
私は悩みを相談されたり、弱さを見せてくれる方が嬉しいです。だってそれって、信頼していないと出来ない事ですよね…?
弱さや葛藤、悩み。共有して、知って、そして情が沸き絆が出来るんじゃないかなって思うんです。私は友人や恋人たちがそうでした…。」


どんな情であろうと、それがきっかけになるのだ。
友情に、恋情に。マティアス様たちにだって最初は同情だった。
…イケメンだーとそんなドキドキはあったが。最初から恋愛の好きではなかった。
同情が友情になって、そして恋情に、愛情になった。
弱さをさらけ出した皆を格好悪いと思った事はない。
そして私自身、弱さを出す事に抵抗があったけれど、今は違う。


「……弱さ…。……それを見せないと、君は俺を好きになれない…?」

「分かりません。だけど…私も、付き合うなら深い付き合いがしたいんです。寄り添って、助け合って支え合う…そういう付き合いを望んでいる人間なんです。」

「………そう、か。……君は、変に笑ったりしないかい?笑うというか…失笑に近いかな。
俺の辛いという気持ち、苦しい気持ち、やるせない気持ちを、“何言ってんだ”って。」

「しません。真剣に話をしている人の前で失笑なんてする方が失礼です。」

「……そうだよね。…そういう君だから…好きになったのにね。
俺にとっては笑う方が楽なんだ。他の表情の方が疲れる。
…もう二十年は泣いてない。泣いた記憶がない。君を知った瞬間に涙が出たくらいだよ。
…だけどどうしてかな。さっき、君に言ってみてと言われた言葉を口に出すと……胸が苦しいよ。」

「……。」

「胸が苦しくて、目頭が熱くなってくるんだ。
それを我慢しようとしたら、今度は頭が痛くなった。」

「…じゃあ、我慢しないで下さい。
サーファス様。辛いですか?」

「……辛いよ。」

「苦しいですか?」

「…苦しい。辛い。大丈夫じゃない。平気じゃない。
平気な振りをしていただけなんだ。気にしないようにすればする程、もうどうしていいか分からなくなってく。
辛いんだサイカ。辛くて苦しい。どうしてかな。もう慣れたと思ったのに、どうしてこんなに苦しいのかな。」

「人からの悪意に慣れるわけがないじゃないですか。
苦しいに決まってるじゃないですか。辛くて苦しくて、傷付くに決まってるじゃないですか。
止めてと伝えても意味がなくて、まるでその反応さえ笑いの種にされる。
伝える事が無意味に感じて、笑う事で身を守って。
溜め込んで溜め込んで、胸の中に溜めていくしか出来ない。」

「…はは。…どうしてそこまで分かるの?
ねえ、俺が何をしたんだい?人を貶めて楽しむのを止めて欲しかっただけ。俺の辛い気持ちを、少しでもいいから理解して欲しかっただけなのに。だけど怒っても泣いても叫んでも伝わらないんだ。
なら相手が変わる事を求めるより、俺が変わった方がまだ簡単だったんだよ…。」

「……。」

「辛い。辛くて苦しい。何が友人だ。何が家族だ。
見て見ぬ振りをしておきながら、心配そうな顔をして近付いて、ふざけるなよ…!
何が友人だ。辛い時に側にさえいないくせに!目が合ったのに、それなのに!
父上だってそうだ…!優しい言葉をかけるくせに、実際に助けて、庇ってくれた事なんて一度もない…!
うっとうしいんだよ…!何もかも、誰も彼も…!偽善者面した奴等が、反吐が出る程大嫌いだ…!!」


溜まりに溜まったサーファス様の苦しみが怒りとなって吐き出された瞬間だった。
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