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お礼話③ サイカのムラムラ ヴァレリア編

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「……今日も少ししか眠れなかった…」

私は今、欲求不満による睡眠不足な状態である。

「お嬢様、おはようございます。」

「サイカお嬢様、おはようございますっ!今日もいいお天気ですよー!」

「おはようございます…リリアナ、レジーヌ。」

『!!!』

「た、た、大変…!だ、旦那様!旦那様ーーーー!!お嬢様の目の下にうっすらと隈が出来てしまってますーーーーーっ!!」

「だ、大丈夫だから!レジーヌ!大丈夫だからーーー!!」


大慌てでお義父様を呼ぶレジーヌ。
目の下の隈なんて日本では当たり前だった私。寧ろ社会人として働き出してからは常に隈を装備していたと言っても過言ではない。
朝起きて会社へ。定時を過ぎて残業して帰宅。それからご飯を食べたりお風呂に入ったり…その後に毎日恒例だった一人遊びは欠かせない。例えどんなに疲れていても。否、私は疲れている時の方が性欲が強くなるようで…どんなに疲れていてもムラっとした性欲をスッキリさせてから眠るのが日課だった。
当然眠るのは深夜を過ぎる。そして三、四時間程眠ってまた会社へ。そんな生活。
月光館の時は夜型生活ではあったけど、平均八時間は眠れた。
クライス邸に来てからはもう規則正しい生活だ。朝早く起きて、そして夜更かしなんてしない。
日本にいた頃より倍の時間眠れているのでこの異世界に来てからは私の体調はすこぶる調子がいい。お肌の調子も。
なので少ししか眠れなかった…と言ってみたが四時間の睡眠は以前の私であれば何て事ない事案だ。
ただ、異世界に来てから基本七、八時間睡眠になっている今の体では少々キツいだけで。

この日目の下にうっすらと出来てしまった隈はリリアナやレジーヌ、お義父様だけでなく屋敷中の人たちに知れ渡り、えらく心配をかける事になったのだが……睡眠不足の原因が欲求不満によるものだと誰が言えようか…。


「サイカ。何か悩みでもあるのか…?」

「いいえ!そんな事はありません!…多分、少し疲れているだけですから。」

「……であればいいが…。」


実の両親には誰にも知られたくなかった私の秘密を知られてしまっているだろう。
そう……大量のRー18禁のブツたちの存在と、そして私の性欲のヤバさを…。
普通だと思っていた我が子がまさかコンドームやら大量のエロ本に大量のエロゲーに大量のAVに大量の大人の玩具を持っているとは思わなんだだろうとも。
死んだ私が一人で暮らしていた部屋を片付けている両親がヤバいブツを発見している現場…想像するだけで恥ずかしい。穴があったら入りたい。
他人に知られるよりも身内に知られる方が何倍もダメージが凄い。
そんな訳で第二の父であるお義父様に『欲求不満で眠れていません』などとそんな事は絶対に言えない。言ったらもうこの屋敷で普通に過ごせない。
とは言っても発散出来ない性欲はどんどん溜まっていくばかり…。
一体どうすればいいものかと悩ましい日々を送っていたある日、ヴァレが私に会いにクライス邸まで来てくれた。
こんな状態の私を心配したお義父様は自分が視察に行く日に合わせ皆に来られるか手紙を送っていたらしく、都合の合ったヴァレが来てくれたのだとか。本当、私のお義父様はすごく優しい。


「サイカ、貴女に会いたくて堪らなかった…。」

「私もです…。」

「寂しい思いをさせてしまってすみません。
もっと頻繁に貴女に会う事が出来たら…。」

「謝らないで下さい。…ヴァレにだって皆にだって、大切なお仕事があるんですから。それに…クライス領と帝都までは二日はかかりますし。
…寂しいは寂しいですけど、」

「駄目ですよサイカ。」

「?」

「我慢しないで下さい。私に気を使わないで。
寂しいなら寂しいとそう伝えて下さい。私だけではありません。私が会いに来られなくとも、陛下やリュカ殿、カイル殿だっているのですから。…まあ、正直に言うと貴女が寂しいと言った時に私が側にいて差し上げたいのですけど。
でも、大切な貴女のことですから…そんな事はいいのです。」

「ヴァレ…ありがとうごさいます…。」

「さ、言って下さい。寂しくて堪らなかったと。」

「…寂しくて堪らなかった。…会いに来てくれて…嬉しい…。」

「ええ。…私もです、サイカ。貴女に会えない毎日は退屈で…寂しくて堪らない。今日会えて嬉しい。
クライス候から手紙を貰った時、貴女が私に…私たちに会えず寂しい思いをしていると知って、嬉しかった。
でも、次は貴女が手紙を書いて下さい。クライス候からではなく、貴女からの手紙が欲しいのです。」

「はい。次からはそうします。」

「ええ。楽しみにしていますね。」


ぎゅっと抱き締められると安心する。
出会った頃はとても自己評価が低く頼りなかったヴァレは、今ではすっかり男らしくなって安心できる…頼れる存在になった。
出会った頃のヴァレを知っているからこそ、努力して堂々としている今のヴァレを見ると感慨深い。


「以前来た時よりも随分可愛らしい部屋になりましたね。
サイカらしい、とても可愛い部屋です。」

「ええ。お義父様が屋敷の皆と考えてくれたみたいで…とても気に入っています。」

「そうでしょうとも。この部屋の全ての物が貴女の為に用意された物だとすぐに分かります。
クライス候やクライス邸にいる皆さんがどれだけ貴女を大切に思っているか、それが伝わってきますから。」

まるで聖母のような微笑み。
男の人に聖母なんて失礼だけど、私を見る今のヴァレの優しい目はまさに聖母様と言えるだろう。
ヴァレは男の人だけど、どちらかと言うと中性的だ。
もしヴァレが男性でなく女性だったなら、きっとすごく美人さんだ。今でもかなり美人なのだから。女性であれば絶世の美女に間違いない。

「顔を見せて下さい。…私の大切な貴女の顔を。
久しぶりに会う恋人に、私によく見せて。」

ヴァレの骨ばった手が私の頬に添えられ、ゆっくりと顔が近付き口付けされる。
どれだけ美人でも…やっぱりヴァレは男の人だ。

「ん…」

「……ちゅ。……そんな潤んだ目で私を見つめて…とても可愛いですよ、サイカ。」

よしよしと頭を撫でられれば、甘えたくなる。
ヴァレの優しい眼差しと、低くても優しい、ゆったりとした声が一層私の乙女心を刺激してくる。

「ふふ。出会ったばかりの頃とは逆になりましたね。」

「?」

「あの時、私の頭を撫でてくれたのは貴女の方でした。
家族以外の女性に生まれて初めて膝枕をしてもらって…緊張しましたけど、でもとても安心したんです。
貴女の優しい匂いと、優しい手付きに癒されて…私はそれまで息をすることすら辛かったのに、あの瞬間、心からほっと息を吐く事が出来た。」

「何だか懐かしい…」

「ええ。あの頃の私は…サイカ、貴女から見ても頼りなく、情けない男だったでしょう。
でも今は違う。貴女に支えられ、甘やかされるばかりの私ではなくなったのです。今の私は…貴女に甘えるのではなく、貴女を甘やかせたい。
私の愛する貴女を支える男になりたいと…私は生まれ変わったのですから。」

私の恋人は何て男らしくて、格好いいのだろうか。
もうきゅんきゅんと胸が高鳴りっぱなしだ。
マティアスもリュカもカイルも各々強い魅力がある。
そしてヴァレにも不思議な魅力が。私を惹き付けてやまないとても強い魅力がある。
人として生まれた、女として生まれた喜び。それを強く感じる魅力が、ヴァレや皆にある。

「寂しい思いをさせた分、私に甘えて下さい。
可愛い貴女を甘やかせる特権を、恋人である私は当然、持っているのでしょう?」

甘い雰囲気と、ヴァレの中性的な魅力の相乗効果は凄まじかった。
多分、絵にすると今の私の瞳の中にはどでかいハートマークが描かれているだろう。私の彼氏の何と素敵なこと。

「ヴァレ…ぎゅってして。キスして。」

「ええ。…沢山抱き締めて、キスして差し上げます。」

並んで座ったソファーの上でヴァレに抱き締められながら何度もキスを受ける。
優しいキスの合間に漏れるヴァレの吐息がとんでもなく色っぽい。
長い、骨ばった指で髪を梳かれるのが心地いい。


「ヴァレ…会いたかった…寂しかった…」

「ええ。寂しい思いをさせてしまって、すみませんでした…。」

「好き…大好き、ヴァレ…。ヴァレが好き…大好き…お義父様が帰るまで、今日はずっと一緒にいて…。」

「ああ…貴女というひとは何て可愛いのでしょう…。
サイカ…私たち以外の、他の男の前ではそんな可愛い姿を見せては駄目ですよ?
でないと……可愛すぎて、すぐ食われてしまいますから…。
貴女がこんなにも可愛いから…会えない間、私は毎日心配なのです。」

「…ヴァレや、皆の前でだけだもの。
可愛い私を見せたいって思うの…私の大好きな人の前でだけ…。」

「もう……男心を擽るのが上手ですね…。
…そんなに可愛いと我慢出来なくなります。会ってからずっと貴女を抱きたい気持ちを我慢していたのに…今すぐ襲ってしまいそうになる。」

それまでの優しいヴァレの目が、妖しい色気のあるものへと変わる。強い、雄が宿った瞳に。


「ヴァレ……今日は、沢山甘えていいんでしょう…?」

「ええ。勿論です。」

「…じゃあ…沢山私を可愛がって…」

「……。」

「寂しかった。それから…セックスしたくて堪らなかったの…。」

「サイカ…」

「ヴァレのせいなんだから…。ヴァレと、皆のせい。
ヴァレが、皆が、…私に気持ちいいセックスを教えたから…だから、抱いて欲しくて苦しくなる。
眠るとヴァレの夢を見て、切なくなる。……ヴァレのせいよ。」

「ああ……それは私が悪いですね…。
可愛い恋人をそんなに悩ませてしまった私のせい。
目の下の隈も、私のせいだったのですね…。」

うっとりとしてヴァレが笑う。
妖しく、色気たっぷりの表情で笑う。
自分の雌を犯したいと雄の宿った目で笑う。

「責任は取ります。…私の愛しいサイカ…。貴女の憂いを、私が今すぐ取り払って差し上げますからね…。
ここがいいですか?それとも…ベッド?」

「…ベッドがいい……ベッドで、可愛がって…。」

「ええ、それがいいでしょう。
広いベッドの上なら、激しく出来ますから。」


噛みつくようにキスをされて、ぞくぞくと体が反応してしまう。
以前にも増して自分がいやらしい女になった自覚がある。
これからヴァレに激しく抱かれる、犯されるんだと思うとまだ触れられてもいないのに期待で体が疼いてしまう。
自分の中からとろとろと愛液が溢れ、下着を濡らしているのが分かってしまう。

「んは…。……ふふ。サイカ、もう濡れてるんですか…?」

「…だって、ヴァレに抱かれると思うと……」

「嬉しくなる?……ああもう。こんなに可愛くてどうするんです。余計心配になるじゃないですか…。」

「あんっ…!」

「ほら…指が簡単に吸い込まれていく…。水音も聞こえていますよね?…でもまだまだ狭いですから…私のが入るようにしておかなければ。
ねえサイカ。クライス邸にも、男の使用人が何人かいますよね…。」

「ふぇ…?」

「貴女の世話係りは女性ですが……当然、彼らとも接する機会は多いでしょう…?
その彼らに、可愛い貴女を見せてはいませんか…?可愛い笑顔、可愛く怒った顔、可愛く泣いた顔。
…こんな、いやらしくて可愛い貴女を。」

「あ、んんっ…!ヴァレ、あっ、指、そこ…引っ掻いちゃ、…あんっ…」

「そういう顔も、絶対に見せてはいけませんよ…?
他の男に笑いかけるのも…出来る限り控えて下さいね。
優しくするのはもっといけません。…貴女に優しくされてしまえば…男は皆、勘違いをしてしまいますから…。」

ヴァレは私の反応を観察しつつ、うっそりと笑う。
膣の中で動く指を抜き差しし、私の感じる所を中から擦ったり引っ掻いたり。
ヴァレの指一つに容易く翻弄される私を見て、嬉しそうに笑っていた。

「約束ですよ?サイカの可愛い所を見るのは恋人である私たちだけの特権。…義父であるクライス候と…キリム殿は別として…他の男は絶対に駄目です。
そしてサイカを抱いていいのは…私たちだけ。
…ああ、いい具合に解れてきましたね…。」

「ヴァレ、…ばれ、…あっ、…ひあっ……わた、し、」

「いいですよ。一度達しておきましょう…。
とろとろになっているここ、舐めて差し上げますからね…?」

ぬめった、温かい舌の感触。
下から上へとなぞる様にして、最後にクリトリスを刺激される。

「ふあ……ああああんっ…!」

「ん……んっ……じゅる、…はぁ………ああ、凄い…私の指を食い千切ろうとするみたいにキツく締め付けて……イった後も中が収縮してますよ…。
ふふ、上手にイけましたねサイカ…。」

いい子いい子、良くできましたと頭を撫でられ額にキス。
それがすごく嬉しくて、満たされる。
ヴァレとのセックスではどうも私はM属性になってしまうようだ。…Sだった事もないが。


「では…お待ちかねのモノをあげますね。
……サイカの大好きな…私の反り返ったモノ。
ちゃんと入るように自分で広げて。」

「ん……はい、」

「そう。いい子ですねサイカは…。
サイカの気持ちのいい穴の入り口が良く見えます。
…ぱくぱくして…早くって、言ってる…。」

「ん、…はやく……ばれ、…ちょうだい…」

「もう…本当、可愛いんですから…。」

亀頭が宛がわれ、ゆっくりと私の膣内に侵入してくる。
ぞりぞりと上壁を擦られながら、全部は入れず私の中の浅い位置にあるGスポットをヴァレは執拗に攻める。
反り返った硬い陰茎で何度も何度も壁を擦られ、ひんひんとした声しか出せない私の反応を、ヴァレはいつも嬉しそうな顔で見る。

「ああぁ…堪らない…。温かくて、気持ちのいいサイカの肉穴…。
可愛い声。可愛い泣き顔……今は私だけのもの…!
今の貴女は、私だけの女…!」

「ひあぁ…!あ、あっ、…ひっ、…く、…ひぁ…!」

「ふぅ、っ、…気持ちいい、でしょう…?サイカは、っ、奥も…好き、ですけど…浅い所にある、ここも…!…はっ、大好き、なんですよね…?
擦るときゅっきゅと、締まってっ…、奥に行くとっ、早く子種が欲しいって、先っぽに吸い付いてっ、くるん、ですっ…!
ああ…!私も、…気持ちよくて、堪らない…!」

「ひぃっ…!ば、ばれぇ…!だめ、いや、…いやぁ…!」

「ダメ、じゃなくて、いい、でしょう…?
いや、じゃなく、…はぁっ、…気持ちいい、でしょう…?
ふふ、…駄目ですよ、…嘘を、吐いたらっ…!」

浅い上壁を擦っていた陰茎が、勢いよく奥へ。
壁を擦りながら一番深い所へ。
気持ちよすぎて、目の前でちかちかと火花が散っている。

「イきたいですか…?でも…、ん、…いいって、言わないと…イカせて、あげませんよ…?
駄目でもっ、ぅ、…嫌でもなく、気持ちいいって、言わないと…!」

「は、…あああ!ばれ、あっ、ばれ、…ばれ…!
い、い、……いい、…きもち、いい…!こわい、…きもち、よくて、…こわいのっ…!」

「大丈夫、ですからっ…!
手を、握ってあげますっ…!だから、…可愛い顔で、イって下さい…ねっ。はっ、…私の、名前っ…呼びながら、……イって、サイカ…!」

「あ、あっ、あっ、…っ、んっ、ひぁっ…!
ば、れ…、ばれ、…ばれぇ…!ばれ、も、も、だめ、いく、も、いく、…ばれも、ばれもぉ…!」

「ええっ…!一緒、です…!
沢山、溜めて、ましたからっ…!きっと、凄い量が、出ますよ……ん、はぁ…!
ああ、イく……!出る……!サイカ、…サイカっ……愛しています、サイカっ…!私の、愛を…っ、受け止めて…!!」

ぐるる、とヴァレが獣のように唸る。
どぷんと、重たい精液が凄い勢いで流れて子宮の入り口を刺激していく。
体の震えが止まらない。私の膣内がヴァレの射精をもっとと促すように動いているのが分かる。

「はぁ、…はあー…、…ああ、…凄い…。
最後の最後まで、搾り取ろうとして……ほんと、…いやらしい身体…。…はは、最高の気分ですっ…。」


先ほどまで獣みたいだったヴァレが、射精をしながら労るように優しく触れてくる。
幸福な気持ちで満たされながら、私はヴァレの熱い体に寄り添うようにして目を閉じたのだった。
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