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「ちょっ…アル待てって…やめろってば!!」
辿り着いた先は町外れにあるヴェーデルラ公爵家の別荘だった。
「お帰りなさいませ公爵様」
出迎えた使用人に今日はもう下がれと伝えると使用人は承知しましたとその場を去った、デレクは自分で歩くから降ろせと駄々を捏ねていたが結局は寝室のベッドまでデレクはアルに抱かれたままだった。
「なぁなんで俺のことずっと無視するんだよ…怒ってんのかよ、怖いからなんか喋れよ。」
ベッドで横たわって話すデレクに黙ったまま背を向けて羽織っていた上着をコート掛けに吊るした。
「なぁアルさんや…どうして俺の事を見ないんだよ。」
デレクがそう言うと背を向けたままだがデレクの寝転んでいる傍に座った。
「…デレク…正直お前が少し憎い。」
やっと口にしたアルの言葉に、永遠と話していたデレクは暫く黙ってしまった。
ただ黙ってアルの震える背中を見つめた。
「…全くアルは泣き虫だな…図体だけデカくなった子どもみたいだよまるで。」
「どうして自分を大切にしないんだ」
「俺は自分よりリアンが1番大切だし…それが俺の幸せなんだよ。」
「…お前の犠牲の上で成り立った命をあの子が喜ばない事なんて俺でもわかる、あの子の幸せはお前の命があってこその幸せだと言うことくらい分かるくせに。お前は何時も自分勝手で独善的だ何も教えてくれない、俺が知らない間に消えていたかもしれないと思うと恐ろしい、お前が愛しい分憎くてたまらない…俺を頼らないばかりか見ようともしない…まるで空気になった気分になる、お前の中の俺はどうしてそんなに小さいのかと、俺はお前が全てなのに。」
顔を顰めて泣き沈むアルの背中にデレクは起き上がって寄り添いもたれかかった。
「…わかってる俺が独りよがりに生きてることくらい、でもそれが俺なんだよ、それにアル、お前の存在は小さくなんて無い、リアンを見る度にお前を思い出す、そっくりだからな…お前には感謝してるんだリアンだってお前が居なきゃ産まれてこなかったんだから。昔一度だけ言っただろお前の運命が俺だったら良かったのにって、あれ本気だったんだぜ、本気でお前の事…俺は…」
「……どうして続きを言わないんだ、デレク。」
「ごめんな、俺には言い切る勇気も力も無いんだ。」
アルは後ろへ振り返るとデレクも随分と弱々しい顔付きになっていた、二人は見つめ合うと自然に顔を寄せ合い軽い口付けをした。
「…心底ずるい男だ。」
アルはそのままデレクを押した、デレクは拒むこと無くそのまま体を委ねた。
「そんな男が愛しいなんて…可哀想な男だよお前は。」
再び触れ合う唇は先程とは違って深くまで絡み合う、アルはまるで割れ物を扱う様に優しく優しく触れた。
♢
小鳥の囀り…あぁいい朝だ…隣には番がぐっすり眠ってる…あぁ、なんて朝だ…
「腰…痛い…。」
上半身を起こしてガラガラに枯れた声で呟くと隣で眠っていたアルが目を覚ました。
「おはようデレク」
「…あからさまにキラキラすんなよ、なんかムカつく。」
確かに何時もより艶が良さそうな顔に見えるがあからさまと言うほどアルの顔に出ている様子は無いが、デレクには特別わかるのだろうか。
辿り着いた先は町外れにあるヴェーデルラ公爵家の別荘だった。
「お帰りなさいませ公爵様」
出迎えた使用人に今日はもう下がれと伝えると使用人は承知しましたとその場を去った、デレクは自分で歩くから降ろせと駄々を捏ねていたが結局は寝室のベッドまでデレクはアルに抱かれたままだった。
「なぁなんで俺のことずっと無視するんだよ…怒ってんのかよ、怖いからなんか喋れよ。」
ベッドで横たわって話すデレクに黙ったまま背を向けて羽織っていた上着をコート掛けに吊るした。
「なぁアルさんや…どうして俺の事を見ないんだよ。」
デレクがそう言うと背を向けたままだがデレクの寝転んでいる傍に座った。
「…デレク…正直お前が少し憎い。」
やっと口にしたアルの言葉に、永遠と話していたデレクは暫く黙ってしまった。
ただ黙ってアルの震える背中を見つめた。
「…全くアルは泣き虫だな…図体だけデカくなった子どもみたいだよまるで。」
「どうして自分を大切にしないんだ」
「俺は自分よりリアンが1番大切だし…それが俺の幸せなんだよ。」
「…お前の犠牲の上で成り立った命をあの子が喜ばない事なんて俺でもわかる、あの子の幸せはお前の命があってこその幸せだと言うことくらい分かるくせに。お前は何時も自分勝手で独善的だ何も教えてくれない、俺が知らない間に消えていたかもしれないと思うと恐ろしい、お前が愛しい分憎くてたまらない…俺を頼らないばかりか見ようともしない…まるで空気になった気分になる、お前の中の俺はどうしてそんなに小さいのかと、俺はお前が全てなのに。」
顔を顰めて泣き沈むアルの背中にデレクは起き上がって寄り添いもたれかかった。
「…わかってる俺が独りよがりに生きてることくらい、でもそれが俺なんだよ、それにアル、お前の存在は小さくなんて無い、リアンを見る度にお前を思い出す、そっくりだからな…お前には感謝してるんだリアンだってお前が居なきゃ産まれてこなかったんだから。昔一度だけ言っただろお前の運命が俺だったら良かったのにって、あれ本気だったんだぜ、本気でお前の事…俺は…」
「……どうして続きを言わないんだ、デレク。」
「ごめんな、俺には言い切る勇気も力も無いんだ。」
アルは後ろへ振り返るとデレクも随分と弱々しい顔付きになっていた、二人は見つめ合うと自然に顔を寄せ合い軽い口付けをした。
「…心底ずるい男だ。」
アルはそのままデレクを押した、デレクは拒むこと無くそのまま体を委ねた。
「そんな男が愛しいなんて…可哀想な男だよお前は。」
再び触れ合う唇は先程とは違って深くまで絡み合う、アルはまるで割れ物を扱う様に優しく優しく触れた。
♢
小鳥の囀り…あぁいい朝だ…隣には番がぐっすり眠ってる…あぁ、なんて朝だ…
「腰…痛い…。」
上半身を起こしてガラガラに枯れた声で呟くと隣で眠っていたアルが目を覚ました。
「おはようデレク」
「…あからさまにキラキラすんなよ、なんかムカつく。」
確かに何時もより艶が良さそうな顔に見えるがあからさまと言うほどアルの顔に出ている様子は無いが、デレクには特別わかるのだろうか。
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