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第三章 信念

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 氷室は目を見張ると、優真の肩を抱き寄せた。その胸にすっぽりと顔を埋めれば、慣れ親しんだ煙草の香りがする。
「少しの辛抱だからな。……ああ、悪いが、マンション探しもその後だ。ま、俺としてはあのレトロなアパートでお前を抱いてみたい気もするが。壁は薄そうだが、他に住人もいないから、思いきり声を出せるぞ」
 氷室は嬉しげに語っているが、優真はふと切なくなった。もしかしてマンションを買ってやるのも、氷室からすれば毎度のことなのだろうか。気に入った、惚れたなどと言っていたが、それも一時の軽口なのかもしれない……。
「優真……」
 上を向かされ、口づけられる。ひとしきり口内をまさぐると、氷室は優真の膝の裏に手をかけ、ひょいと抱き上げた。痩せぎすとはいえ、優真も一応は成人男性だ。だが氷室は、そのままソファから立ち上がると、すたすたと歩き出した。
  真っ直ぐ寝室へと運ばれ、ふわりとベッドの上に下ろされる。氷室は、性急に優真のシャツを脱がせながら、何度も口づけてくる。貪るような激しいキスだった。
(今まで付き合った人たちとも、こんな風に……?)
 一瞬よぎったそんな考えを、優真は振り払った。いつまで続くかわからないが、取りあえず今は、この快楽に埋没したい。
「……んっ……、ふぅっ……」
「反応が良くなってきたな」
 乳首を忙しなく弄りながら、氷室が言う。確かにそこは、すでに凝っていた。ここに来てまだ二週間も経っていないのに、躰は氷室の愛撫に慣れ、従順な反応を示す。とはいえ認めるのは恥ずかしく、優真はかぶりを振った。
「そんなこと……」
「たったこれだけで勃たせてるくせにか?」
 ぐい、とスラックスの布越しに果実を握り込まれ、優真は嬌声を上げた。
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