俺の相方はハイエナです

水都(みなと)

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14-1.初めて

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「なんっっだあいつ!!」

テレビ局を出てすぐ、堪えていた怒りが爆発した。

周りには通行人がいたが、誰も俺に目も留めず通り過ぎて行った。都会は楽だ。ヤバいやつだと思われただけかもしれないが。

そんな荒れに荒れたまま、ヨルに引っ張って行かれる。
家に着くまで、ヨルは俺を宥めすかしていたがまったく耳に入らなかった。
気づけばヨルと共に部屋に帰って来ていた。

「おい、今日は飲むぞ。付き合え」
「陽向さん、やけ酒は良くないですよ」
「飲まなきゃやってられるか! ってか、なんでお前そんな冷静なんだよ。俺らの話、聞こえてただろ」
「はい、僕もショックでした。猿渡さんが、今までどんな気持ちでコンビを続けてきたのかと思うと」

ヨルは同じ獣人である猿渡に同情しているようだが、悪いが俺にはどうでもいい。
人獣コンビの先駆けだった2人が実は主従関係だったこともガッカリだが、それよりも……

「陽向さん?」
「……悔しいんだよ、俺は。お前らも本当はこうなんだろって言われてるようで。俺は1度もヨルのこと、手懐けようとか躾けてやろうなんて思ったことないのに」

拳を握った手のひらに爪が食い込む。目の前が滲んだ。
俺だって聖人君主じゃない。獣人に対してまったく差別意識を持ったことがないなんて言ったら嘘になる。
でも少なくとも、ヨルに主従関係を意識するようなことはなかった。俺としては。

「俺は……お前と対等でいると思ってる。でも俺は人間だから、無意識にお前のことを見下して、偉そうな態度を取ってたのかもしれない。あいつみたいに」

南の人を馬鹿にする目。
あれを見たときの嫌悪感、あれはもしかしたら同族嫌悪だったのかもしれない。

「そんなことはありません!」

そう言い放つと同時に、ヨルが俺を抱き寄せた。
抵抗する余裕もなくて、大人しくヨルに抱き留められる。

「陽向さんと南さんは全然違います。僕は陽向さんに、1度だって見下されたり馬鹿にされたと思ったことはありません。陽向さんはいつも隣で、僕に並んでくれています」

ヨルが俺の頭を撫でた。耳元で「泣かないでください」と囁かれる。

「Wアッシュが、お笑い業界初の平等で対等な人獣コンビになってみせましょう。きっと、猿まわしにだって勝てます」
「あの売れっ子を打ち負かす気かよ」
「できますよ。陽向さんのネタがあれば」

ヨルがにこっと微笑んだ。結局俺任せじゃねえかよ。
でも不思議と、できる気がした。隣にいるのが誰でもない、ヨルだからかもしれない。
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