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17.愛してるぞ
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守谷さんと別れて喫茶店を出ると、もう陽が暮れかけていた。
「あー、腹減ったな~。さっきの店で何か食っときゃ良かった」
「守谷さんが奢ってくれるって言ったのに、陽向さんジュースしか頼まなかったじゃないですか」
「これでも悪いと思って遠慮したんだよ。ヨルが変なこと言うから」
まさか名前如きで初対面の、しかもこれから事務所の社長になるという人に「ダメです」なんて言い放つとは思わなかった。恐ろしいやつめ。
「お前、結構独占欲強いのな」
「陽向さんのことになると、どうしても……こんな相方は嫌ですか?」
「嫌ってか、重い」
ガーンと、絵に描いたようにヨルがショックを受けていた。耳も尻尾もしょぼんと垂れてしまう。
「重いけど、それも背負ってやるよ。それが相方だからな」
「陽向さん……!」
パッとヨルの顔が輝いた。単純なやつ。
「僕もお腹すいてきました。晩ご飯、何にしますか?」
「そうだなー……って、一緒に食う気か?」
「外食はお金掛かりますし、家に帰って食べましょうか」
ヨルが当たり前のように俺の手を取った。
「俺んちで食べるのかよ」
「ダメですか?」
なんでそんな仔犬みたいな目してんだよ。俺よりでかいくせに。
でもこいつ、普段はあのボロアパートで1人でメシ食ってんだよな。
「うち、住むか?」
「えっ!?」
「ネタ合わせもしやすいし、ルームシェアすればお前も今よりはまともな暮らしできるだろ」
「そ、そそそそれって、同棲ってことですか!?」
「ルームシェアだ、つってんだろ!」
聞いてるのか聞いてないのか、ヨルはぴょんぴょんと飛び跳ねている。
出会った頃のクールなハイエナはどこに行ったのか。
でもこれが本当の、ヨルなんだよな。
「スーパーで材料買ってくか。何食いたい?」
「陽向さんが作ってくれるんですか!」
「簡単なやつならな」
「陽向さんの手料理か~。僕、塩おむすびが好きなんです!」
「それ料理か?」
一緒に住むとか俺の作ったメシ食べるとか、そんなことだけで喜びまくるヨルを見てると、まるで俺がめちゃくちゃ良いことをしてるみたいな気分になる。
「でも、僕はやっぱり……」
ヨルに両肩を掴まれて、止める間もなく唇にキスを落とされた。
「陽向さんが食べたいです」
「……はっ!? どこで何言ってんだよ! ふざけんな!!」
「ごめんなさい……」
へにょっと垂れた耳を避けて、頭を引っぱたいてやる。
こんなバカなことを言われたくらいで、俺の顔は熱くなってた。
絶対真っ赤になってる。いつからそんなにウブになったんだ、俺。
「でもこれからは、いつでもチャンスがありますもんね」
沈みかけた夕陽に照らされたヨルの笑顔が、爽やかすぎて怖い。
ルームシェアとか、余計なこと言ったかな、俺。
でも、後悔はしてない。
「さっさと買い物して帰るぞ。食ったらネタ合わせだからな」
「はいっ! 頑張ります!」
グッと拳を握ったヨルに、頼もしさを感じる。今度は俺からヨル手を取った。
横に並んだ俺たちは人間と獣人。正反対だけど、俺たちは同じだ。
「ヨル」
「はい」
「……愛してるぞ」
「――ッ!?」
動揺したヨルが手を放した隙に、夕陽に向かって駆け出した。
俺たちの道は俺たちが作っていく。俺たち、2人で。
立ち尽くしていたヨルが、俺に向かって叫んだ。
「陽向さんっ、僕も、愛してます!」
「大声で言うなバカ!!」
END
「あー、腹減ったな~。さっきの店で何か食っときゃ良かった」
「守谷さんが奢ってくれるって言ったのに、陽向さんジュースしか頼まなかったじゃないですか」
「これでも悪いと思って遠慮したんだよ。ヨルが変なこと言うから」
まさか名前如きで初対面の、しかもこれから事務所の社長になるという人に「ダメです」なんて言い放つとは思わなかった。恐ろしいやつめ。
「お前、結構独占欲強いのな」
「陽向さんのことになると、どうしても……こんな相方は嫌ですか?」
「嫌ってか、重い」
ガーンと、絵に描いたようにヨルがショックを受けていた。耳も尻尾もしょぼんと垂れてしまう。
「重いけど、それも背負ってやるよ。それが相方だからな」
「陽向さん……!」
パッとヨルの顔が輝いた。単純なやつ。
「僕もお腹すいてきました。晩ご飯、何にしますか?」
「そうだなー……って、一緒に食う気か?」
「外食はお金掛かりますし、家に帰って食べましょうか」
ヨルが当たり前のように俺の手を取った。
「俺んちで食べるのかよ」
「ダメですか?」
なんでそんな仔犬みたいな目してんだよ。俺よりでかいくせに。
でもこいつ、普段はあのボロアパートで1人でメシ食ってんだよな。
「うち、住むか?」
「えっ!?」
「ネタ合わせもしやすいし、ルームシェアすればお前も今よりはまともな暮らしできるだろ」
「そ、そそそそれって、同棲ってことですか!?」
「ルームシェアだ、つってんだろ!」
聞いてるのか聞いてないのか、ヨルはぴょんぴょんと飛び跳ねている。
出会った頃のクールなハイエナはどこに行ったのか。
でもこれが本当の、ヨルなんだよな。
「スーパーで材料買ってくか。何食いたい?」
「陽向さんが作ってくれるんですか!」
「簡単なやつならな」
「陽向さんの手料理か~。僕、塩おむすびが好きなんです!」
「それ料理か?」
一緒に住むとか俺の作ったメシ食べるとか、そんなことだけで喜びまくるヨルを見てると、まるで俺がめちゃくちゃ良いことをしてるみたいな気分になる。
「でも、僕はやっぱり……」
ヨルに両肩を掴まれて、止める間もなく唇にキスを落とされた。
「陽向さんが食べたいです」
「……はっ!? どこで何言ってんだよ! ふざけんな!!」
「ごめんなさい……」
へにょっと垂れた耳を避けて、頭を引っぱたいてやる。
こんなバカなことを言われたくらいで、俺の顔は熱くなってた。
絶対真っ赤になってる。いつからそんなにウブになったんだ、俺。
「でもこれからは、いつでもチャンスがありますもんね」
沈みかけた夕陽に照らされたヨルの笑顔が、爽やかすぎて怖い。
ルームシェアとか、余計なこと言ったかな、俺。
でも、後悔はしてない。
「さっさと買い物して帰るぞ。食ったらネタ合わせだからな」
「はいっ! 頑張ります!」
グッと拳を握ったヨルに、頼もしさを感じる。今度は俺からヨル手を取った。
横に並んだ俺たちは人間と獣人。正反対だけど、俺たちは同じだ。
「ヨル」
「はい」
「……愛してるぞ」
「――ッ!?」
動揺したヨルが手を放した隙に、夕陽に向かって駆け出した。
俺たちの道は俺たちが作っていく。俺たち、2人で。
立ち尽くしていたヨルが、俺に向かって叫んだ。
「陽向さんっ、僕も、愛してます!」
「大声で言うなバカ!!」
END
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