孤独な腐女子が異世界転生したので家族と幸せに暮らしたいです。

水都(みなと)

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第一章

第24話 お母さんの花

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 ベッドに戻ったけど、結局ロクに眠れなかった。

 お父さんとサディさんがBL関係? そんな腐女子の夢みたいなことある?
 でも、あるんだからしょうがない。

 だけどあの様子だと、私に隠れて付き合ってるってことはなさそう。
 たぶんまだお互いの気持ちに気づいてないんだ。お父さんなんて朝になったらキレイさっぱり忘れてそうだし。

 本当に両思いなら(絶対そうであってほしいけど)、私が2人の仲を取り持たなきゃ!
 腐女子、愛のキューピットになります!


 翌日。
 案の定お父さんは二日酔いでベッドから起き上がれなかった。

「悪いアリシア……今日はお父さん寝てるから……サディと一緒に遊んできなさい……」

 ベッドに突っ伏して、ヘロヘロのお父さんが呻いてる。
 サディさんがベッドサイドに水差しとグラスを置いた。

「だから飲み過ぎるなって言ったのに。アリシアちゃん、どうする?」
「今日はホテルでのんびりしたいな。私も昨日あんまり眠れなかったの」

 誰かさんたちのせいでね。

 お父さんが青い顔をしながらうなずく。

「アリシアは繊細だからな。枕が変わると眠れないんだろう。俺と同じで」
「酔っ払いと一緒にするなよ」

 ということで、今日は旅行の中休み。ホテルでまったり過ごすことになった。
 サディさんとゆっくり朝食を食べて、その後はカードやおもちゃで遊んでもらった。
 昼食はホテルのレストランに行って、お子様ランチを食べた。ホットケーキがクマの顔になっていてかわいい。

「おいしい? アリシアちゃん」
「うん! おいしい!」
「よかった。いっぱい食べな」

 こういうの、親子の休日って感じがしていいよね。
 ……本当のお父さんは二日酔いで寝てるけど。

「午後はお土産屋さん見に行こうか。ホテルの中にいくつかあったから」
「うん、マドレーヌさんにお土産買ってくるねって約束したの」

 食事を済ませ、サディさんと一緒にホテルのショッピングモールに行く。
 このホテルはホテルというより、ひとつの街だ。施設内にお店はもちろん、プールや公園、映画館まである。お金持ちが別荘代わりに長期滞在することも多いらしい。
 こんな大富豪の世界、私には縁がないと思ってた。アリシア、幸せ者め。

 お土産屋さんをいくつかまわり、マドレーヌさんにはレースのハンカチを選んだ。
 白地に黄色い星の刺繍が細かく入っている。星は魔法使いの象徴。サウザンリーフらしいお土産だ。

「アリシアちゃん、お母さんにも何か買って行ったら?」
「お母さんに?」
「今度お墓参り行くときに、持って行ってあげたら喜ぶよ」

 そういえば、夢の中の記憶を辿るとそろそろお母さんの命日だ。
 毎年お父さんと一緒にお墓参りに行っている。
 前世でも両親の命日には、毎年お墓に花を飾っていた。

「うん、お母さんにお花を持ってってあげる」

 お土産屋を出て花屋に移動する。
 いろとりどりのブーケや、フラワーアレンジメントがいっぱいに飾られていた。

「ここのお花は魔法使いの人たちが作ってるから、永遠に枯れないんだよ」
「永遠に!? すごい!」

 それならお墓に飾っても、お母さんの傍にずっと咲き続けてくれる。

 でも、命日って難しい。おめでたい記念日じゃないし、どんな気持ちでいたらいいのかわからない。
 前世の父親は亡くなってから10年以上経っていたけど、今のお母さんが亡くなってからはまだ数年しか経ってない。
 アリシアとしてはほとんど覚えてないけど、お父さんはまだお母さんの思い出が鮮明なはず。

 お母さんにも喜んでほしいけど、お父さんの悲しみも和らいでくれるようなものがいいな。

「お父さんって、お母さんにお花をプレゼントしたことないのかな?」
「あるよ。毎年リリアさんの誕生日には、必ず花束を渡してたからね」
「どんなお花あげてたの?」
「ユリの花。アル的にリリアさんのイメージはユリなんだって」

 ユリの花、上品で凛としてるイメージだ。
 お母さんって、そんな感じの人だったのかな。

「アル、プロポーズのときにピンクのユリの花束を渡したんだよ。100本くらいドーンと。跪いて」

 跪いて……お父さん、ロマンティックなところあるなぁ。

 サディさんが何かを思い出したのか、急に笑い出す。

「ピンクのユリの花言葉って『虚栄心』なんだ。カッコつけたがりなアルにピッタリっていうかさ。それをプロポーズに選んじゃうセンスもアルらしいよね」
「お母さんは花言葉知ってたの?」
「もちろん。だって僕、リリアさんにユリの花言葉教えてもらったからね。魔法使いは植物に詳しいんだよ」

 せっかくロマンティックなことをしてるのにどこか抜けてる。お父さんらしい。
 お母さんも、お父さんのそういうところが好きだったんじゃないかな。
 それからきっと、サディさんも。

「じゃあ、ユリの花にする!」
「そうだね。キレイなアレンジのを買って行こう」

 お父さん、プロポーズの日のこと思い出してくれたらいいな。

 でもお父さんって、今でもお母さんのこと大好きだよね。
 素敵なことだけど、もしかしたらそれがサディさんとのBLの障壁になっているのかも……!?

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