孤独な腐女子が異世界転生したので家族と幸せに暮らしたいです。

水都(みなと)

文字の大きさ
25 / 111
第一章

第25話 馴れ初め

しおりを挟む

 お母さんのために大きなピンクのユリを3本、その周りに淡い紫のキキョウ、白いカスミソウが散りばめられたキレイなフラワーアレンジメントを選んだ。
 華やかだけど上品なお花。お母さんもお父さんも、喜んでくれるといいな。

 まだ部屋に戻るのは早いから、ホテルの中庭にある公園に行った。
 ベンチに座って、お花を膝の上に乗せる。良い香り。

「アリシアちゃん、いちごミルクでよかったよね?」
「うん、ありがとう。サディさん」

 買って来てもらったジュースを受け取ると、サディさんが私の横に座った。

「ステキなお土産が見つかってよかったね。お母さん、きっと喜んでくれるよ」

 サディさんが目を細めて、私の膝にあるユリを見つめた。

「サディさんとお父さんは、お母さんとどうして知り合ったの?」
「リリアさんは、僕とアルの最初の仲間なんだ」

 え!? なにそれ、初耳なんですけど。

「旅の道中では、よく依頼を受けてモンスター退治をしてたんだ。そしたら突然、『私を仲間に入れてください!』ってリリアさんが直談判してきてさ」
「お母さんも旅をしてたの?」
「うん、でもいくら魔法使いでも女の子1人旅なんて危険でしょ。男の騎士だってバディを組むくらいなんだから。だから仲間を探してたみたいなんだよね」

 ってことは、お母さんも一緒に魔王討伐に行ったってこと?
 勝手におしとやかでおっとりしたイメージだったけど、お母さんもバリバリ強かったのかな。
 そういえばユリの花の凛とした雰囲気って、美しさの中に強さも秘めてる気がする。

「それで、お母さんを仲間に入れてあげたの?」
「僕らとしても騎士だけじゃ心許ないから、回復とかができる魔法使いを探してたんだ。そうじゃなくても、アルは絶対仲間にすると思ったけどね」
「どうして?」
「リリアさんを見た瞬間、すっごいわかりやすく一目惚れしてたんだよ。もうポーッとしちゃってさ」

 サディさんがくつくつと笑う。
 お父さんとお母さん、そんな出会いだったんだ。

「けど、仲間になった後もアルはなかなかリリアさんと話せなくてね。見かねた僕が先にリリアさんと仲良くなって、2人の仲を取り持ってあげたってわけ」

 サディさんが2人の仲を……?
 そのころ、サディさんはまだお父さんのこと好きじゃなかったのかな。

「アルはずっとリリアさんに夢中で、僕と2人でいるときもずっとリリアさんの話してた。リリアさんもアルのことを好きになるのに、そんなに時間は掛からなかったと思うよ。僕に散々アルのこと聞いてきたからね」
「2人は両思いだったんだね」
「でもどっちも奥手でさ。どう見ても両思いなのに全然気持ちを伝えないわけ。延々じれったい素振りを見せつけられるこっちの身にもなってほしいよ」

 そう苦笑するサディさんの横顔は、なんとなく寂しそうに見えた。
 やっぱりその頃から、サディさんはお父さんを好きだったのかもしれない。
 でもそうだとしたら、自分の気持ちを押し殺してお父さんとお母さんの仲を取り持って、甘酸っぱい2人を見てたってこと!?
 悲しい! 悲恋すぎるよ! お父さん鈍感!

 でも、お父さんとお母さんが結婚しなかったら私は生まれてないわけで。
 ……複雑。

「サディさんは、お父さんがお母さんのことばっかりで寂しくなかったの?」
「まっさかー!」

 笑い飛ばされた。まあ、そうだよね。
 と、スッとサディさんの顔から笑顔が消える。

「……って言いたいところだけど、少しはね。これ、アルには内緒だよ」

 サディさんが唇に人差し指を当てた。
 この反応、やっぱり……!

「サディさんはお父さんのこと……好き、だったの?」

 思い切って直球勝負に出ると、サディさんが目を丸くした。
 でもすぐにふっと笑って

「かもね」

 好きなの!? 好きってことでいいの!?

「お、お父さんも、サディさんのこと好きだと思う!」
「どうかな~? 今はアリシアちゃんが1番だと思うよ」

 ああ違う! そういうんじゃなくて!

「そろそろ戻ろっか。アルが寂しがってるだろうからね」

 サディさんが立ち上がった。
 もう少しハッキリしたこと聞き出したかったけど、今日のところはこれで引き下がろう。

 ふと、サディさんが独り言のようにぽつりとつぶやいた。

「いくら生涯のバディでも、好きでもなかったらこんなに一緒にいられないけどね」

 ちょ……ッ!
 最後にとんでもない爆弾落とされたんですけど!?

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!

音無砂月
ファンタジー
親友面してくる金持ちの令嬢マヤに巻き込まれて死んだミキ 生まれ変わった世界はマヤがはまっていた乙女ゲーム『王女アイルはヤンデレ男に溺愛される』の世界 ミキはそこで親友である王女の親友ポジション、レイファ・ミラノ公爵令嬢に転生 一緒に死んだマヤは王女アイルに転生 「また一緒だねミキちゃん♡」 ふざけるなーと絶叫したいミキだけど立ちはだかる身分の差 アイルに転生したマヤに振り回せながら自分の幸せを掴む為にレイファ。極力、乙女ゲームに関わりたくないが、なぜか攻略対象者たちはヒロインであるアイルではなくレイファに好意を寄せてくる。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす

yukataka
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

処理中です...