孤独な腐女子が異世界転生したので家族と幸せに暮らしたいです。

水都(みなと)

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第一章

第45話 学園生活

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 大きな門を通って辿り着いたのは、うちの何倍もあるようなお屋敷。というかお城のような建物。
 ここが私の通う学園らしい。
 私と同じような馬車に乗ってきた子たちが、次々と学園に入って行く。私も続いて馬車を降りると、どこからともなく、グレーのジャケットとロングスカート姿の女性がやって来た。

「ごきげんよう、アリシアさん」

 ごきげんよう!?
 そうか、貴族の挨拶は「ごきげんよう」なんだ。上流階級って感じ。

「ご、ごきげんよう」
「今日からあなたの担任教師となるクルーラーです」

 クルーラー先生が眼鏡をクイッと押し上げた。厳しそうな先生……まさに女史って感じだ。

「ここには貴族のご子息やご子女たちが通われていますが、あなたも当学園の生徒に相応しいご令嬢と判断し入学を許可しました。ご立派なお父様の名に恥じぬよう、努力してくださいね」
「は、はい……」

 お父様の名。
 つまり、勇者の娘としてしっかりやれと。

 クルーラー女史に連れられ、教室に向かった。
 教室といっても、床には絨毯が敷かれ、重厚な長机が並べられている。カバンを置くロッカーなんてものはなくて、部屋の後ろには洒落たキャビネットが並んでいた。出窓には高そうな花瓶に生けられた豪華な花。
 黒板があるから辛うじて学校だとわかるけど、とても教室とは思えない雰囲気だった。
 そこに20人ほどの貴族の子供たちが座っている。同じ制服を着てるけど、男女とも髪をキチンとセットして完全に良いとこのお坊ちゃま&お嬢様の雰囲気。
 庶民の私が、そんな輝く貴族たちの前に立たされる。

「皆さん、ごきげんよう。今日から共に勉強するお友達を紹介します。アリシア・クローバーさんです。アリシアさんのお父様、アルバート・クローバーさんは皆さんご存じの通り、魔王を倒した勇者様。アリシアさんは貴族ではありませんが、お父様譲りの強い意志と勇気をお持ちです。皆さん、仲良くして差し上げるように」

 先生! ハードル上げすぎだってば!
 すごいのはお父さんで、私がすごいわけじゃないのに。これが二世の扱い。
 中身20歳とはいえ、この世界で通用しそうな知識は算数くらい? 国語や社会は使い物にならないし、理科は……どうなんだろう。
 落ちこぼれたらお父さんの評判にも傷がつくんだろうか……

 なんて困惑しながら、私の学園生活は始まった。
 けど、困惑してるのは私だけじゃなかった。

 転校生といえば、休み時間に席の周りを取り囲まれて「どこから来たの?」とかいろいろ質問攻めに合うと相場が決まってる。
 なのに、誰も来ない。みんな遠巻きに私を見て、ひそひそと何か話してる。
 うっすら聞こえてくるのは「勇者の子なんだって」「庶民なんだよね」みたいな話。もういっそのこと直接言ってほしい。
 結局、みんなも貴族じゃない私をどう扱っていいか困ってるわけですね。

 それなら、こっちから歩み寄らないとぼっち確定だ。
 貴族の中で気が引けるとか、人見知りとか言ってられない。自分から話しかけないと。

 隣を見ると、ブロンドの巻き髪が素敵な女の子がいる。この子も7歳のはずだけど、身にまとった上品で優雅な雰囲気はまさにご令嬢だ。
 よし、まずはこの子に話しかけてみよう。隣の席の子と仲良くなるのは定番だよね。

「ご、ごきげんよう。私、アリシア・クローバー。よろしくね」

 ブロンドの令嬢がパッとこっちを向いてくれたので、にこやかに微笑んだ。
 が、令嬢は何も言ってくれない。それどころか、目を見開いて驚いてる。

「あ、あの……あなたのお名前聞いてもいいかな?」

 ブロンドの令嬢は私のことをじっと見つめて、それからふいっと顔を背けると、席を立ってしまった。
 え? 無視ですか?

 ふと視線を感じて周りを見ると、みんなが私のことを見ている。信じられないものを見るような目で。
 それなのに、私が顔を向けると一斉にみんなが目をそらす。

 わ、私、何かやっちゃいましたか……?

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