孤独な腐女子が異世界転生したので家族と幸せに暮らしたいです。

水都(みなと)

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第二章

第77話 師匠

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「どうでしょう……?」

 ついにナーガさんの前で魔力を使ってみた。
 緊張したけど、なんとか成功!

 でもナーガさんは驚くわけでも、褒めてくれるわけでもない。ただ、ゆっくりと頷いた。

「できてる。問題ない」
「ホントですか!」

 最初はどうなるかと思ったけど、結構あっさり第一関門突破できたみたい。

「次はいつでもどこでも魔力を使えるようになること。いちいち目を閉じたり深呼吸してたら日が暮れる」
「どうしたらできるようになるんですか?」
「反復練習すればいいんじゃない?」

『いいんじゃない?』って、相変わらず丸投げスタイルなんですね。ナーガさんの師匠もそういう人だったのかな。

「ナーガさんのお師匠様って、どんな人だったんですか?」
「魔力の強い人」
「もうちょっと何かないんですか」

 どんな魔法使いに育てられたらナーガさんみたいな人になるのか。親の顔が見てみたいならぬ、師匠の顔が見てみたい。見られなくても、聞いてみたい。
 私が切り株に腰掛け聞く気満々のスタイルになると、ナーガさんも近くの大木に寄りかかった。

「魔法使いの中でも指折りの、一流の魔法使いだ」
「すごい人だったんですね」
「あの人こそ魔王退治にでも出れば、魔王なんて一撃だろうと思ったけどね」

 ナーガさんにそこまで言わしめるほどの人なんだ。そんな人のもとで修業したから、ナーガさんもすごい魔法使いになったんだろうな。
 もともとの素質もあるだろうけど。

「そのお師匠様は、どうやって魔法を教えてくれたんですか?」
「師匠が僕に攻撃を仕掛けてくるんだ。それを防御し、反撃する。その繰り返し」
「な、なかなかハードですね」
「常に気を張って油断をするなと、戦場を想定した修行。でも実際、旅に出て拍子抜けしたよ。全然たいしたことなかった」

 ど、どんだけ過酷な修行生活だったんだ?
 ナーガさんの時代は弟子入りって住み込みだよね。毎日24時間気を張ってたってこと? 恐ろしい……。

「私にはそういう修行しないんですね」
「キミは女の子だから、可哀想だと思って手加減してやってる」
「そ、それはありがとうございます」

 女の子だからとか、可哀想とか、そんな気遣いがナーガさんにあったなんて。

「それに、あんな修行を何年も毎日続けるのは僕も面倒」

 そっちが本心でしょう、絶対。

「じゃあ、ナーガさんもそのお師匠様から杖を貰ったんですね」

 いや、とナーガさんが軽く首を振った。

「杖は使ったことない」
「え、初心者の頃はどうしてたんですか?」
「僕は弟子入りする前から魔法が使えてたから、いらないって師匠が」

 魔法の杖はあくまで補助道具。一足飛びにクリアした場合は必要ないってことか。
 ふと顔を上げると、ナーガさんが遠くを見つめていた。

「……杖、欲しくなかったんですか?」
「別に。僕はそんな子供っぽいもの興味ない」
「けど、お師匠様から弟子に贈る習わしなんですよね。こう、師弟の契りというか……」
「そんな大袈裟なものじゃない。ただの習わしだ」

 ナーガさんが忌々しそうに吐き捨てた。
 何か引っかかったけど、それを聞く前にナーガさんが大木から身を起こした。

「魔力のコントロールは確認したから、もういいだろ。帰れば」

 帰れば、って……。
 後は反復練習するのみか。よし、杖を貰うときまでに完璧にしておこう。

 はあ、とナーガさんが額に手をやって溜め息をついた。独り言のような呟きが、私の耳に届く。

「どうでもいいだろ、杖なんて」

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