孤独な腐女子が異世界転生したので家族と幸せに暮らしたいです。

水都(みなと)

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第二章

第91話 流星

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 収穫祭はもうすぐ。
 子供たちは街の広場に集まって、アステリランプを製作中。
 竹ひごのような細い木で丸い型を作り、周りにアステリに似た黄色っぽい紙を張り付けていく。

 たどたどしい手つきの私を、ソフィアちゃんや村の子供たちがあれやこれやと手伝ってくれる。
 なんとか完成したそれは、どことなく見覚えがあった。

「お祭りの日は、この中に火を灯して飾るの」
「へえ、すごくキレイなんだろうね」

 ソフィアちゃんが掲げて持ったそれを見上げて……思い出した!
 これ、ランプっていうか提灯だ。前の世界でよく見たのは、もっと縦に長くて赤くて「祭」とか文字が入ってた。
 アステリランプは真ん丸で無地だけど、構造は同じだ。作ったのは初めてだけど。

 2つ、3つと作っていくうちに段々と慣れてきた。この調子ならどんどん作れそう!
 と思ったけど、手慣れた村の子たちは私が1つ作ってる間にもう3つ目に取り掛かってる。

「みんなすごく速いね」
「これくらい楽勝だよ!」
「今年はいーっぱい作らなきゃだもんね」

 ぐるりと円になって座っていた村の子たちが、「ねー!」と声を揃えた。
 いつも以上にランプが必要なのは、お父さんとサディさんの結婚式のためだ。
 みんなに協力をお願いすると、村で結婚式をするときはいつもやってるからと引き受けてくれた。
 30人ほどいる子供たちが5つ6つと作っていくから、必要な量はあっという間にできてしまった。
 大量のアステリランプが、広場にずらりと並ぶ。

「結婚式のときって、こんなに作るんだね」
「今年は特別多く作ることにしたの」

 誰よりも速く、そして丁寧に紙を貼りつけながらソフィアちゃんが言う。

「アリシアちゃんのお父さんとサディさんの大切な結婚式だもの。特別なものにしなくちゃ」

 ソフィアちゃんの目が輝いてる。
 勇者様2人の結婚式とか、ソフィアちゃんの書いてる物語実写版だもんね。
 わかるよ、その気持ち。
 私も、前世では『オレウケ』ってアニメ好きだったなぁ。あの2人の結末は見届けられなかったけど、お父さんとサディさんみたいになってたら嬉しい。

「わあ、みんなすごい! いっぱい作ったんだね」

 お祭りの準備に駆り出されてたサディさんがやって来た。
 子供たちの仕事はランプ作りくらいだけど、大人は大忙し。
 村の商店街の人を中心に飾りつけや屋台の準備で、みんな走り回ってる。

「みんなに教えてもらって作ったの。サディさんは、お祭りの準備もう終わった?」
「まだなんだ。アルが村のおじさんたちと盛り上がっちゃって、ずっと喋ってて手が進まないんだよ。さっき商店街の奥さんたちに『いい加減にしな!』って怒られてた」

 ちょっと男子! ちゃんとやって!
 ってやつですね。遠い記憶になった学校の思い出が、一瞬よみがえる。

「まだ家に帰れそうもないから、アリシアちゃんもみんなと遊んでなよ」
「うん、そうする」

 サディさんはお祭りの準備に戻って行ったけど、さてどうしよう。
 ハドリーさんに料理の準備どうなってるか聞きに行きたいけど、今日はお祭りのことで忙しいだろうし。
 ナーガさんはあんまり進捗を伺いに行くと、ウザがられて逆効果な気がする。

「アリシアちゃん、一緒に果樹園を見に行かない?」
「果樹園?」
「アステリの木がたくさん植えてある畑なの」

 村に来るとき、空から見た場所だ!
 もちろん行くと頷いて、ソフィアちゃんの案内で果樹園に向かった。


 キレイに整列したアステリの木々は壮観だった。
 太い幹が高く伸びて、枝には緑色の艶やかな葉っぱがたくさん茂ってる。
 そして、黄緑色の丸い実がたくさんなっていた。

「これ全部アステリ?」
「そうよ。流星が降ると、その光で輝いてあまく熟すの」

 すごい! 全部の実が輝いたらイルミネーションみたいだろうなぁ。
 でも、お祭りまでもうすぐなのに全然熟してない。というか、私が村に来てから流星なんて降ってないよね。

 アステリの木を見上げながら、ソフィアちゃんがため息をついた。

「いつもだったら、もうそろそろ流星が降るの。でも今年は雨も雷もほとんどない。雷雨で空が揺れないと、星が落ちてこないのに」

 流星ってそういう仕組みなの!?
 こっちの世界ではそうなのか、ソフィアちゃんがそういう物語を作ってるのかわからないけど、とにかく流星が降ってないのは事実。

「流星が降らないと、どうなるの?」
「熟さないまま、アステリの実が腐って食べられなくなっちゃう」
「え、そうしたら……お祭りは?」

 ソフィアちゃんが黙り込んでしまった。
 お祭りはアステリの収穫祭。収穫できなきゃお祭りができない!

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