孤独な腐女子が異世界転生したので家族と幸せに暮らしたいです。

水都(みなと)

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第二章

第104話 見せたいもの

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 結婚式だけならできるかも。
 ……なんて甘い考えは、一瞬で崩れ散った。

 ケガ人などは出ていなかったものの、村は街路樹や植え込みがなぎ倒されてぐちゃぐちゃだった。地面は泥水と葉っぱにまみれてる。
 お祭りに準備していた物も撤退が間に合わなかったのか、屋台のテントやみんなで作ったアステリランプの残骸が散らばっていた。

 呆然としていたお父さんが、やっと口を開く。

「これは片付けに何日も掛かるな」
「ナーガの魔法でどうにかならねえのか?」
「僕の魔法にだって限度はある」

 勢いよくナーガさんを引っ張ってきたハドリーさんも、食事どころではなくなってしまったみたいだ。
 片付けを始めようにも、村の人たちみんなこの惨状にすぐには動けないでいる。

「誰もケガがなくて良かったね。今年は残念だったけど、きっと来年にはアステリも熟すよ」
「うん……」

 サディさんが慰めてくれたけど、上手く笑えない。
 村がこんな風になっちゃったのに結婚式のことを考えるなんて不謹慎かもしれないけど、でもこの日のために頑張ってきたのに。
 この雰囲気じゃ、お父さんはプロポーズも諦めちゃうだろうな。
 今日は大切な日だったのに。お父さんとサディさんが旅立った、大切な――

『アリシアーー!!』

 振り向くと、小鳥たちが飛んで来た!
 ピッチとルリと……キキだ!

『アリシア! アリシア!』
「キキ! 無事だったんだね。みんなも、ケガはない?」

 キキが私の右肩に乗ると、ルリも私の左肩に留まった。

『大丈夫。アリシアのお父さんが私たちを安全な木の隙間に隠してくれたの』
『その近くで偶然キキを見つけたのよ!』

 ピッチが私の頭の上で飛び跳ねてる。
 お父さんがみんなを助けてくれたんだ。

『アリシア? 元気ない?』

 キキが小首を傾げた。

「ちょっとね……。結婚式、できなくなっちゃったから」

 サディさんに聞こえないように声を落とした。
 言っても仕方ないのはわかってるけど、小鳥たちにくらいは零してしまう。
 ふいに「アリシアちゃん」とサディさんに呼ばれる。

「小鳥たちもみんな無事だったんだね、良かった。みんながアリシアちゃんのピンチを教えてくれたんだよ」
「そうだったの? みんな、ありがとう」

 みんな私に助けを求めてたのに、結局私が助けてもらっちゃった。私、なんにもできなかったな……。

 小鳥たちが私から飛び降りて、丸くなってなにやらピーピーと話し始めた。
 しばらくすると、ピッチが私を見上げて翼を大きく広げる。

『アリシア! アリシアに見せたいものがあるの』
『ついて来て! お父さんたちも一緒に』
「え? どこに?」
『早く早く!』

 よくわからないけど、行ってみた方が良さそう。

「お父さん、サディさん。一緒に来て」
「どうした?」
「小鳥たちが、お父さんたちと一緒に来てって」

 お父さんとサディさんが顔を見合わす。

「まさか、フルグトゥルスが戻ってきたのか?」
「こんなすぐに? それより、倒れた木の下敷きになってる動物がいるとかかもしれないよ」
「とにかく行ってみるか」

 小鳥たちが飛んで行く方へ、お父さんたちと一緒について行く。
 お父さんたちは心配してたけど、私は悪い予感はしてなかった。何を見せたいのかは全然わからないけど多分、悪いことじゃない気がする。

 小鳥たちが向かったのは、また森の中だった。
 夜の森は暗くて、サディさんが魔法で明かりを灯してくれる。
 こっちの道は、フルグトゥルスがいた方向じゃない。ナーガさんの家の方とも違う。道になっていない道を、木々を掻き分けて進んで行く。

「どこまで行くんだ?」
「結構奥まで来ちゃったね。魔法で蛍を出せば、帰り道は大丈夫だと思うけど」
「みんな、まだ着かないの?」
『もうすぐ! こっち! こっち!』

 飛んで行ったキキたちが暗闇に消えてしまう。でもその先に、ぼんやりと光が見えた。
 あれが、私に見せたいもの?

「わあ……っ!」

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