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屋敷に戻り、レニに「疲れただろう。ゆっくり休むんだよ」と声を掛けて別れた。
普段は飲まない寝酒を用意させて、寝衣でソファに腰を下ろす。
今日は、飲みたい気分だったのだ。
王宮での滞在時間は、いつもの夜会と比べれば短かったが、その分、濃度が濃かった。
ラーデンブルク公爵、バーデンホスト侯爵夫妻、ラファエル、そしてクリントヴォルト侯爵。
彼等のうち、何人か、もしくは全員が、後日、接触を図って来るだろう。
他にも、探りを入れて来る者はいると思った方がいい。
事前に、準備をしておかなくては。
私の事は何と言われても構わないが、レニの不名誉な噂が減じるのであれば、幾らでも骨を折る。
レニを知れば知る程、彼女は幸せにならねばならない、と思うようになった。
家族を失った私と。
家族に愛されなかったレニと。
婚約者を亡くした私と。
婚約者が逃げ出したレニと。
私達は、似ているようで違う。
違うけれど、誰よりも人の温もりを欲しているのは、同じなのではないだろうか。
「レニ…」
ぽつり、と名を呼ぶ。
そして、今日は、イルザに焦がれる気持ちが湧き出さなかった事に、気が付いた。
いつだって、夜会はイルザとの輝かしい日々を呼び起こす場だったと言うのに、彼女がいない寂しさや恋しさは、なかった。
ウルリーケ夫人がイルザを貶めた時も、まず、考えたのは、レニの安全の確保だった。
イルザが亡くなってから、もう直ぐ九年。
彼女と過ごした二年の時間は、これ以上、伸びる事はない。
思い出は増える事なく、美化されていく。
「私、は、イルザを…愛して、いる…」
自分に言い聞かせるように、声に出す。
そう、私は、イルザを愛している…。
…何故、だろう。
言い聞かせないと、自信を持って言い切る事が出来ない。
イルザとの記憶の齟齬に気づいて以来、白紙にぽたりと垂れたインクの染みのように、抱いた違和感は、私の中で、薄く広がっている。
けれど、彼女を愛おしく思う気持ちは、嘘ではない。
イルザは、私の全てだった。
彼女は、自分に自信を持てない私を、初めて認めてくれた人だ。
肯定し、受け入れてくれた。
「貴方は、貴方でいいの。他の誰かになる必要はないわ」
「他の人がどう思おうと、関係ないわ。私にとって、貴方が一番よ」
何でも出来た兄と比べて、全てが劣っていた私を、初めて「一番だ」と言ってくれた人。
勿論、私は、家族からの愛情を感じていたし、陛下やレオンハルト従兄上にも、目を掛けて貰っていたと思う。
けれど、それは、血縁故の贔屓であって、私自身を受容されたと思えた事がなかった。
文武に優れ、人品に優れ、姿形の良い完璧な貴公子だった兄ディートリヒ。
対する私は、時間を掛けて繰り返し学習する事で何とか理解出来る程度の頭しか持たず、体術に至っては必要最低限。
幼少期に体が弱かった影響なのか、長身の多いアーベルバッハ家の中では極めて小柄で、男性の平均身長に僅かに届かない。
「線が細いからか、ディートリヒ様と比べると、随分と存在感が薄くていらっしゃるのよね…」
「ディートリヒ様は精悍なお顔立ちですのに、ジークムント様は可憐でいらっしゃるから…」
学院で、何度となく聞いた言葉だ。
三歳違いの兄と私は、学院の在学期間が重なっている。
誰もが、兄と私を比較した。
小柄で、筋肉がつきにくく、母によく似た女顔。
顔立ちのせいか、体格のせいか、年齢よりも幼く見えてしまう。
少しは男らしく見えるかと髭を生やそうとしても、情けない量がぽそぽそと生えるだけで、却って見すぼらしい。
兄のおまけとして扱われ、自分への自信が持てず、その心根が顔に出るのか、余計に頼られる事がなくなり…悪循環だった、と、今、振り返れば判る。
劣等感に苛まれ、卑屈になっていた私に、太陽のような笑顔で、初めて、「そのままでいいのよ」と言ってくれた人。
それが、イルザだ。
「ねぇ、ジーク。私にとって、貴方が一番。だから、貴方にとっての一番も、私にしてね。約束よ?」
そう彼女が望んでいたのだから、私にとっての一番は、永遠にイルザでなくては、いけない。
…いけない、と思う時点で、私の心は揺らいでいる、のだろう。
レニと過ごした時間は、まだ半年。
それも、同じ屋敷で過ごしているだけで、恋人として過ごしたイルザとは、全く違う。
けれど、彼女との時間は私にとって、とても満ち足りたものだった。
…私は、弱い人間だ。
一人の力で立ち、歩いていく事が出来ない。
両親を亡くしてからは、兄を頼った。
イルザを亡くしてからは、彼女との思い出に縋った。
そして今、レニを支えにしようとしている。
彼女を守る、と言う目標が、私を立たせてくれる。
――…ただ。
この気持ちを、恋愛感情だと名付ける事は、私には出来なかった。
同情ではない。
愛情なのは確かだ。
兄のように妹を見守る気持ちだ、と、強引に納得する。
何故なら。
レニが、私を安心して頼ってくれるのは、私が彼女を女性として見ていないと考えているからだ。
そして、マルグリット夫人の得られなかった永遠の愛を、私が体現していると思っているからだ。
「…やり直せたら」
卑怯にも、そう思う。
初対面の時に、あんな言葉を言わなければ良かった。
夫婦として、向き合う努力をしたい、と言えば良かったのだ。
イルザへの愛が、失われたわけではない。
彼女は今でも、私にとって特別な女性だ。
けれど、今、生きているレニを、大切に思う事を、止められそうになかった。
コンコン
夜も更け、緊急時でもなければ、誰も訪れる筈のない時間。
思考の淵に落ち込んでいた私は、扉を叩く音に、ふと顔を上げる。
バスティアンや、マティアスの物とは違う、躊躇うような弱々しい音は、ともすれば、聞き逃していただろう。
いや、いつものように寝ていたら、間違いなく、気づかなかった。
…まさか。
返答するのではなく、扉を開けに行った。
開けると、そこには…、
「…ジーク、ムント、さま…」
廊下の薄暗がりでも判る程に、青い顔をしたレニが、いた。
「…何か、あった?」
レニは、薄い夜着にカーディガンを一枚羽織っただけの姿だった。
夜は冷える。
思わず頬に触れると、驚く程に冷たい。
レニは小さく震えており、その視線が、落ち着きなく揺れている。
「取り敢えず、中に入って」
肩を抱いて、先程まで腰を下ろしていたソファに誘導して座らせると、彼女が手に何かを握りしめている事に気が付いた。
白い…封筒?
「ご…ごめん、なさっ、こん、な…じかん、に」
レニは、何とか声を絞り出そうとするが、震えて上手く話せない。
いつも穏やかな表情のレニの、こんな様子は初めてだ。
怯えているのか?
「焦らなくていい。ゆっくりでいいから。お酒を飲む?少し落ち着くかもしれない」
新しい器を用意して少量注ぐと、レニは受け取ろうとして、手を伸ばした。
手が細かく震えている為、零さないよう手に手を添えて、口元に運んでやる。
こくり、と細い喉が動いた。
「わた…わた、し、どう、したら、いいのか…っ」
「うん、聞いてるから、大丈夫。言いたい事を、全部言えばいい」
震える手を、封筒ごと、両手で包み込むと、レニは、かさり、と紙が触れ合う音に、ハッとした顔をする。
「てがみ…」
「手紙?この封筒の事かい?」
「はは、からの、」
混乱した様子のレニが、途切れながら紡ぐ言葉を整理した所。
レニは、母親のマルグリット夫人が亡くなる直前に書いた手紙を、ずっと持っていたのだと言う。
マルグリット夫人が亡くなった後、レニの私室にあった物は父親であるバーデンホスト侯爵に検められ、母に繋がるものは全て持ち出されてしまった。
しかし、この手紙は、書机の引き出しの二重底に隠してあった為、間一髪で難を逃れたのだそうだ。
封筒の表書きに、
『レニへ』
と書いてあるだけならば普通なのだが、その下に、
『心から信頼出来る方と出会えるまで、読んではいけません』
と書いてあるのは、普通とは言えない。
幼いレニは、その注意書きを読んで、母との約束を守って来た。
彼女は、母を亡くしてからの十二年、一度も、手紙を読もうとしなかった。
けれど。
今夜、レニは、手紙を開けてみる事にした。
バーデンホスト家には、レニが心から信頼出来る人間はいなかった。
彼女は生涯、母の最後の手紙を読む日は来ないだろう、と思っていた。
しかし、アーベルバッハの屋敷に来て、少しずつ、彼女の気持ちに変化が訪れた。
そして、今夜の夜会を経験して、私なら心から信頼出来る、と思えたと言う。
「最愛の家族」と呼ばれて、嬉しかったのだ、と。
今なら、読める。
大丈夫、一人じゃない。
そして、開けた手紙には。
普段は飲まない寝酒を用意させて、寝衣でソファに腰を下ろす。
今日は、飲みたい気分だったのだ。
王宮での滞在時間は、いつもの夜会と比べれば短かったが、その分、濃度が濃かった。
ラーデンブルク公爵、バーデンホスト侯爵夫妻、ラファエル、そしてクリントヴォルト侯爵。
彼等のうち、何人か、もしくは全員が、後日、接触を図って来るだろう。
他にも、探りを入れて来る者はいると思った方がいい。
事前に、準備をしておかなくては。
私の事は何と言われても構わないが、レニの不名誉な噂が減じるのであれば、幾らでも骨を折る。
レニを知れば知る程、彼女は幸せにならねばならない、と思うようになった。
家族を失った私と。
家族に愛されなかったレニと。
婚約者を亡くした私と。
婚約者が逃げ出したレニと。
私達は、似ているようで違う。
違うけれど、誰よりも人の温もりを欲しているのは、同じなのではないだろうか。
「レニ…」
ぽつり、と名を呼ぶ。
そして、今日は、イルザに焦がれる気持ちが湧き出さなかった事に、気が付いた。
いつだって、夜会はイルザとの輝かしい日々を呼び起こす場だったと言うのに、彼女がいない寂しさや恋しさは、なかった。
ウルリーケ夫人がイルザを貶めた時も、まず、考えたのは、レニの安全の確保だった。
イルザが亡くなってから、もう直ぐ九年。
彼女と過ごした二年の時間は、これ以上、伸びる事はない。
思い出は増える事なく、美化されていく。
「私、は、イルザを…愛して、いる…」
自分に言い聞かせるように、声に出す。
そう、私は、イルザを愛している…。
…何故、だろう。
言い聞かせないと、自信を持って言い切る事が出来ない。
イルザとの記憶の齟齬に気づいて以来、白紙にぽたりと垂れたインクの染みのように、抱いた違和感は、私の中で、薄く広がっている。
けれど、彼女を愛おしく思う気持ちは、嘘ではない。
イルザは、私の全てだった。
彼女は、自分に自信を持てない私を、初めて認めてくれた人だ。
肯定し、受け入れてくれた。
「貴方は、貴方でいいの。他の誰かになる必要はないわ」
「他の人がどう思おうと、関係ないわ。私にとって、貴方が一番よ」
何でも出来た兄と比べて、全てが劣っていた私を、初めて「一番だ」と言ってくれた人。
勿論、私は、家族からの愛情を感じていたし、陛下やレオンハルト従兄上にも、目を掛けて貰っていたと思う。
けれど、それは、血縁故の贔屓であって、私自身を受容されたと思えた事がなかった。
文武に優れ、人品に優れ、姿形の良い完璧な貴公子だった兄ディートリヒ。
対する私は、時間を掛けて繰り返し学習する事で何とか理解出来る程度の頭しか持たず、体術に至っては必要最低限。
幼少期に体が弱かった影響なのか、長身の多いアーベルバッハ家の中では極めて小柄で、男性の平均身長に僅かに届かない。
「線が細いからか、ディートリヒ様と比べると、随分と存在感が薄くていらっしゃるのよね…」
「ディートリヒ様は精悍なお顔立ちですのに、ジークムント様は可憐でいらっしゃるから…」
学院で、何度となく聞いた言葉だ。
三歳違いの兄と私は、学院の在学期間が重なっている。
誰もが、兄と私を比較した。
小柄で、筋肉がつきにくく、母によく似た女顔。
顔立ちのせいか、体格のせいか、年齢よりも幼く見えてしまう。
少しは男らしく見えるかと髭を生やそうとしても、情けない量がぽそぽそと生えるだけで、却って見すぼらしい。
兄のおまけとして扱われ、自分への自信が持てず、その心根が顔に出るのか、余計に頼られる事がなくなり…悪循環だった、と、今、振り返れば判る。
劣等感に苛まれ、卑屈になっていた私に、太陽のような笑顔で、初めて、「そのままでいいのよ」と言ってくれた人。
それが、イルザだ。
「ねぇ、ジーク。私にとって、貴方が一番。だから、貴方にとっての一番も、私にしてね。約束よ?」
そう彼女が望んでいたのだから、私にとっての一番は、永遠にイルザでなくては、いけない。
…いけない、と思う時点で、私の心は揺らいでいる、のだろう。
レニと過ごした時間は、まだ半年。
それも、同じ屋敷で過ごしているだけで、恋人として過ごしたイルザとは、全く違う。
けれど、彼女との時間は私にとって、とても満ち足りたものだった。
…私は、弱い人間だ。
一人の力で立ち、歩いていく事が出来ない。
両親を亡くしてからは、兄を頼った。
イルザを亡くしてからは、彼女との思い出に縋った。
そして今、レニを支えにしようとしている。
彼女を守る、と言う目標が、私を立たせてくれる。
――…ただ。
この気持ちを、恋愛感情だと名付ける事は、私には出来なかった。
同情ではない。
愛情なのは確かだ。
兄のように妹を見守る気持ちだ、と、強引に納得する。
何故なら。
レニが、私を安心して頼ってくれるのは、私が彼女を女性として見ていないと考えているからだ。
そして、マルグリット夫人の得られなかった永遠の愛を、私が体現していると思っているからだ。
「…やり直せたら」
卑怯にも、そう思う。
初対面の時に、あんな言葉を言わなければ良かった。
夫婦として、向き合う努力をしたい、と言えば良かったのだ。
イルザへの愛が、失われたわけではない。
彼女は今でも、私にとって特別な女性だ。
けれど、今、生きているレニを、大切に思う事を、止められそうになかった。
コンコン
夜も更け、緊急時でもなければ、誰も訪れる筈のない時間。
思考の淵に落ち込んでいた私は、扉を叩く音に、ふと顔を上げる。
バスティアンや、マティアスの物とは違う、躊躇うような弱々しい音は、ともすれば、聞き逃していただろう。
いや、いつものように寝ていたら、間違いなく、気づかなかった。
…まさか。
返答するのではなく、扉を開けに行った。
開けると、そこには…、
「…ジーク、ムント、さま…」
廊下の薄暗がりでも判る程に、青い顔をしたレニが、いた。
「…何か、あった?」
レニは、薄い夜着にカーディガンを一枚羽織っただけの姿だった。
夜は冷える。
思わず頬に触れると、驚く程に冷たい。
レニは小さく震えており、その視線が、落ち着きなく揺れている。
「取り敢えず、中に入って」
肩を抱いて、先程まで腰を下ろしていたソファに誘導して座らせると、彼女が手に何かを握りしめている事に気が付いた。
白い…封筒?
「ご…ごめん、なさっ、こん、な…じかん、に」
レニは、何とか声を絞り出そうとするが、震えて上手く話せない。
いつも穏やかな表情のレニの、こんな様子は初めてだ。
怯えているのか?
「焦らなくていい。ゆっくりでいいから。お酒を飲む?少し落ち着くかもしれない」
新しい器を用意して少量注ぐと、レニは受け取ろうとして、手を伸ばした。
手が細かく震えている為、零さないよう手に手を添えて、口元に運んでやる。
こくり、と細い喉が動いた。
「わた…わた、し、どう、したら、いいのか…っ」
「うん、聞いてるから、大丈夫。言いたい事を、全部言えばいい」
震える手を、封筒ごと、両手で包み込むと、レニは、かさり、と紙が触れ合う音に、ハッとした顔をする。
「てがみ…」
「手紙?この封筒の事かい?」
「はは、からの、」
混乱した様子のレニが、途切れながら紡ぐ言葉を整理した所。
レニは、母親のマルグリット夫人が亡くなる直前に書いた手紙を、ずっと持っていたのだと言う。
マルグリット夫人が亡くなった後、レニの私室にあった物は父親であるバーデンホスト侯爵に検められ、母に繋がるものは全て持ち出されてしまった。
しかし、この手紙は、書机の引き出しの二重底に隠してあった為、間一髪で難を逃れたのだそうだ。
封筒の表書きに、
『レニへ』
と書いてあるだけならば普通なのだが、その下に、
『心から信頼出来る方と出会えるまで、読んではいけません』
と書いてあるのは、普通とは言えない。
幼いレニは、その注意書きを読んで、母との約束を守って来た。
彼女は、母を亡くしてからの十二年、一度も、手紙を読もうとしなかった。
けれど。
今夜、レニは、手紙を開けてみる事にした。
バーデンホスト家には、レニが心から信頼出来る人間はいなかった。
彼女は生涯、母の最後の手紙を読む日は来ないだろう、と思っていた。
しかし、アーベルバッハの屋敷に来て、少しずつ、彼女の気持ちに変化が訪れた。
そして、今夜の夜会を経験して、私なら心から信頼出来る、と思えたと言う。
「最愛の家族」と呼ばれて、嬉しかったのだ、と。
今なら、読める。
大丈夫、一人じゃない。
そして、開けた手紙には。
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