せめて、優しく殺してください。

緋田鞠

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「これはどういう事ですか、陛下」

 召喚状を手にしたフレマイア侯爵が、憤りに震える声を押し殺しながら、議場に現れた。
 今日、ここで、フレマイア侯爵夫妻とアシュトンを対象に裁判が開かれるのだ。
 彼の背後には、青い顔をした侯爵夫人と、魔法騎士団の制服に身を包み、強張った顔のアシュトンが控えている。

「どう、とは? そこに記載されておるだろう。そなたは、殺人事件に関与した疑いで、この場に呼ばれたのだ」

 すり鉢状になっている議場のもっとも低い位置に、被告人であるフレマイア侯爵とその家族が立った。
 彼らの両脇を、逃亡防止のために騎士達――フレマイア侯爵の部下である魔法騎士以外の――が固めている。

「一体、何をおっしゃっているのかわかりません。長きに渡り、シャルイナに献身してきた私を、お疑いになるというのですか」
「潔白であるというのなら、そう焦る必要もなかろう」

 議場の高い位置、フレマイア侯爵からは見上げる場所に悠然と腰を下ろした父が、気のない素振りで答えた。
 父の前列には、法務を担当しているウェルシュ公爵が、裁判長として厳めしい顔をして座っている。
 ウェルシュ公爵の両脇に、法務部所属の裁判官と陪審員が控え、胡乱な目つきで手元の資料とフレマイア侯爵との間に視線を往復させた。

「……いよいよ、ですね」

 緊張を隠せない様子のリタと俺が座っているのは、貴賓用に設えられた傍聴席。
 今日のリタは、落ち着いた黒のワンピースドレスに、同じく黒のベールを被り、目元まで覆い隠している。

「大丈夫だ。十分な証拠は揃えた」

 そっと手を握ると、リタも握り返してくれる。
 一般傍聴席もまた、人で一杯になっていた。
 魔法騎士団の幹部として名高いフレマイア侯爵が、よりにもよって、殺人の罪で裁判に掛けられるのだ。
 否が応でも、人々の注目は集まる。

「静粛に! これより、被告ハドリー・フレマイアの裁判を開廷する」

 ウェルシュ公爵が裁判の開始を宣言すると、ざわついていた議場が、しんと静まり返った。

「ハドリー・フレマイア侯爵。候には、殺人の嫌疑が掛けられている。申立人ロブ・デイヴィス殿、前へ」
「はい」

 ロブが、俺の側近である事に気づいたのだろう。
 フレマイア侯爵が、顔を歪め、傍聴席の俺を睨みつける。
 同じ船に乗っていると思っていた相手に訴えられたのだ、はらわたが煮えくり返っているに違いない。
 だが、俺の隣に座っているのがリタである事には、彼女の特徴的な髪を隠しているせいか、気づいていないようだ。

「ハドリー・フレマイア侯爵。貴方には、少なくとも三十八件の殺人に関与した疑いがあります」

 三十八、という数字に、傍聴席が大きくどよめく。
 ただの殺人ではない。大量殺人だ。

「事実無根だ」
「ベサニー・レイクス、アリシア・ガルトン、ケニス・ロード、ソフィア・ティンバー、」

 フレマイア侯爵の否定を取り合わず、ロブは、淡々と人名を読み上げていく。
 その数、三十八人。

「いずれかの名に、聞き覚えは?」
「あるわけがないだろう!」

 きっぱりと否定するフレマイア侯爵に、

「そんな筈はない!」

 と、悲鳴じみた声が上がった。

「静粛に。デイヴィス殿、彼は証人ですか?」
「はい。レイクス子爵、こちらへ」

 レイクス、と名を聞いたフレマイア侯爵の視線が、一瞬、揺らぐ。
 ただでさえ、青かった侯爵夫人の顔色もまた、倒れそうなほどに悪くなっている。
 アシュトンは、戸惑うように両親の顔を見ているだけだ。

「証人、発言をどうぞ」
「……はい。私は、トレバー・レイクスと申します。ベサニー・レイクスは、行方知れずとなっている私の妻です。妻は二十一年前、乳母として住み込みの仕事に就きました。……友人である、シェリル・フレマイア侯爵夫人に乞われて」

 ふら、とフレマイア侯爵夫人の体が揺らぎ、慌てた様子でアシュトンが支える。
 ウェルシュ公爵が、椅子を用意するように部下に命じたのが聞こえた。

「フレマイア夫人は産後の肥立ちが悪いため、アカデミー時代の親友であるベサニーを傍に置きたい、とのお話でした。当初、妻からは、幼い息子と私を案じる手紙が度々届いておりました。仕事内容について一切、触れられていない手紙です。もちろん、乳母にも守秘義務というものはあるでしょうから、私はその事に対して疑問は持っておりませんでした。しかし、一年が経っても一度も帰宅を許されない事には、不満を抱いていたのです。息子の四歳の誕生日に、どうしても会わせてやりたいと思い、フレマイア侯爵閣下に向けて、妻の帰宅を願う手紙を出しました。妻からは、お許しが得られたとの返信があったのですが……」

 レイクス子爵が、ぎり、と唇を噛む。

「妻は、予定日を過ぎても帰宅しませんでした。フレマイア邸に問い合わせても、ベサニーは帰した、の一点張り。ご子息のために乳母が必要と乞われたから、親友が傍にいると心強いと言われたから、幼い子供を置いてお仕えしたのに、捜索のための人員すら出していただけませんでした。妻の足取りは、ダナイドで途絶えておりますが、領主であるフレマイア侯爵のご協力をいただけなかったため、それ以上は突き止められておりません」

 レイクス子爵は、ふぅ、と溜息を吐くと、頭を下げて自席に下がった。

「フレマイア侯爵。思い出されましたか?」

 ロブの問い掛けに、フレマイア侯爵はむっつりとした顔で頷く。

「……確かに、息子の乳母が姿を消したとは聞いた。残念な事だ。だが、それは自宅に帰る途中での事。大方、かどわかされたのだろう」
「なるほど。では、次の証人をお呼びしますね。ヒューゴ・ガルトン殿、お願いします」
「はい」

 次に証人席に立ったのは、四十代のがっしりした体つきの男性だった。

「私は、アリシア・ガルトンの弟です。病に臥せている父ガルトン男爵に代わり、証人として出廷しております。姉は二十五年前から五年ほど、魔法騎士団に所属しておりました。闇属性の女騎士、といえば、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか」

 あぁ、と議場に肯定の声が漏れる。
 父も覚えていたように、珍しい闇属性の女騎士は、目立っていたらしい。

「姉は、数ある縁談も受けずに騎士団におりましたので、生涯、結婚しないものと家族は思っておりました。しかし、ある日、『ずっと慕っていた方に、求婚された。退団して、その方の元に行く。きっと、お相手を知ったら驚く筈よ』と手紙が届いて以来、姿を消しました。騎士団に問い合わせても、退職願を受け取った後の事は知らない、と取り合っていただけませんでした」

 ロブが再び、フレマイア侯爵に聞く。

「思い出されましたか?」
「……あぁ、闇属性の女騎士と聞いて思い出した」

 その回答に、ヒューゴ・ガルトンがフレマイア侯爵を睨みつける。

「姉が長年慕っていたのは、貴方ですよ、フレマイア侯爵」
「……私を慕ってくれた女性は多いのでな」

 「慕っていた相手に求婚された」というアリシアの発言をそれとなく躱したフレマイア侯爵を、ヒューゴ・ガルトンは再び睨みつけると、自席へと戻った。
 これ以降も、姿を消した人物の縁者を名乗る証人達が、フレマイア侯爵家との縁について証言を繰り返す。
 貴族、平民、関係なく集められた証人達は、フレマイア侯爵に「家族を帰してくれ」と訴えた。
 フレマイア夫人は完全に脱力して椅子に凭れかかり、アシュトンは青い顔で冷や汗を垂らしながら、父親の顔色を窺っているだけだ。

「……確かに、我が家に縁のあった者達が姿を消したのかもしれないが、それと、私が彼らの命を奪ったという話には、なんの整合性もない。彼らは、行方がわからないだけなのだろう?」

 フレマイア侯爵の発言に、ロブが、にぃ、と口の端を上げる。

「いいえ? 見つかりましたよ。三十八人、全員が。最初に申し上げましたよね。『少なくとも三十八件の殺人』と。裏を返せば、見つかった三十八人に関しては、確実な証拠がある、という事です」
「……!」

 フレマイア侯爵の顔色が、焦燥からなのか、赤くなった。

「少々、刺激的なものですから、こちらの証拠品は裁判官と陪審員の皆様のみにお見せいたします」

 そう言いながら、ロブが手元の資料を配っていく。

「王宮魔法師長が、長年の研究の結果、『復元魔法』という新たな魔法を構築しました。詳細は魔法師長に説明していただく事にします。王宮魔法師長、お願いします」

 名を呼ばれ、王宮魔法師長が証言席に立った。

「私は長年、複数の魔法属性を同時に発現する魔法の研究をしておりました。人には一つずつしか属性がありませんが、複数の人間が同時に魔力を合わせる事で、別種の魔法が作れないかと考えたのです。最近になって糸口が見つかり、水属性の幻影魔法、光属性の保護魔法、闇属性の時間魔法を練り合わせる事で、『物質上の時間を巻き戻し』、『再現された状態を保護し』、『視覚化する』復元魔法の構築に成功しました。最低、三人の魔法師を必要としますし、非常に繊細なバランスで成り立っておりますので、誰にでも再現できる魔法ではないのが難ですが。この度は、ルシアン殿下と治癒魔法師長、熟練の闇属性魔法師による、我が国でも最高峰の魔法師の協力で成功しました」

 ほぅ、と感心したような溜息が、傍聴席から漏れる。

「簡単な事例で復元魔法について説明しますと、こういう事です。食べ終わって芯だけになった林檎があります。その林檎に復元魔法を掛ける事で、時間が巻き戻り、歯形もない艶々の果皮を持つ林檎の姿になるのです。ただし、魔法の効力は二十四時間だけです」

 説明を終えた魔法師長が自席に戻ると、ロブが再び、前に立った。

「この魔法で、あるものが復元できるようになりました。すなわち、」

 もったいぶるように一度言葉を切ると、高々と言い放つ。

「白骨化した人骨の、生前の顔です」

 裁判官達の手元の資料には、三十八人分の人骨と、その生前の顔の復元図が記載されている。
 三十八人、という数字は、本人確認できる縁者が見つかった数だ。
 彼らの顔には、一人ずつ、名前が書き添えられていた。

 『ベサニー・レイクス』、『アリシア・ガルトン』、『ケニス・ロード』・・・

 フレマイア侯爵の背が、明らかに震えている。

「これらの人骨は、すべて、ある土地に埋められておりました。その土地とは、」
「っ待て!」
「フレマイア侯爵領ダナイドの、侯爵邸の敷地です」

 フレマイア侯爵の静止を聞かず、ロブが口にすると、

「母上!」

 とうとう、フレマイア夫人が気を失った。
 アシュトンが、フレマイア夫人に縋りつく。
 倒れる妻に、ハッとした顔を見せたフレマイア侯爵が、ロブを睨みつけた。

「……フレマイア家の敷地から発見されたからといって、何者かが私に罪を被せようと企んだ可能性もあるではないか。私には、理由がない! なぜ、そのように大勢の人間を、殺さねばならんのだ!」
「その説明は、この方にお願いしましょう」

 隣を見ると、リタはしっかりと頷いた。
 そのまま、証人席へと歩を進め、黒いベールをそっと取る。
 ざわ、と傍聴席がどよめいた。
 少し目尻が垂れた紫がかった灰銀の瞳。
 ぽってりとした唇。
 小さな顎。
 薔薇色の頬。
 ――顔立ちは明らかにリタなのに、その髪がだったからだ。
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