獣人辺境伯と精霊に祝福された王女

緋田鞠

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***

 ノーハン領民の前で、結婚を宣言した翌日。
 ヴィンセントとシャーロットは、王都へと向かう旅に出た。
 目的は、王宮への結婚報告及びロトン公爵家の主催する夜会への出席だ。
 シャーロットが王宮に入る事は、二度とない筈だった。
 だが、フェルディナンドが、
「敢えて王宮に足を運ぶ事で、疑いの目を逸らす」
と、提案したのだ。
 シャーロット王女が生存している、とする一派の中で、王女はノーハン領主の妻と同一視されている。
 これで、無関係の令嬢が拉致される危険性は大幅に下がる筈だ。
 一方で、シャーロットの身の安全を図る為に、ノーハン領主夫人として堂々と王宮に入り、王女とは他人として振る舞う事を求められた。
 通常、貴族の結婚報告だけならば、謁見の時間に行われる。
 多忙な国王が、一組一組に特別に時間を割く事は難しいからだ。
 だが、バーナディス家は辺境伯でありノーハン領主である為、申し入れれば、個人的に時間を割いて貰う事は可能である。
 そこを敢えて、フェルディナンドの提案により、他の貴族の目がある謁見時間に訪れる事とした。
 他の陳情やご機嫌伺いと同様、限られた謁見時間に、一組ずつ、陛下に挨拶をする列に並ぶのだ。
 その姿は、特に吹聴しなくとも、まことしやかに噂が流れるだろう。
 王女の女婿であれば、バーナディス辺境伯は特別視され、丁重に取り扱われる筈なのだから、本当にノーハン領主夫人が王女なのであれば、このような扱いにはならない。
 シャーロット王女生存派の中を、混乱させる事が目的なのだ。
 ロトン公爵家の夜会への出席もまた、シャーロットの存在をあやふやなものとする布石である一方で、獣人族が人族と交流していく為の第一歩でもある。
 ヴィンセントは、今回の件を受けて、人族との交流にもっと積極的になる事を決めた。
 表向きは、人族の娘を妻として迎えた事をきっかけに、と言う体を取るから、人族貴族からの違和感もないだろう。
 フェルディナンドが迷惑を掛けた詫び、として、ロトン公爵家から招待された形式になっている。
 ノーハン領主として、周辺の領との付き合いは細々と続けていたが、王都では特に招かれる機会もなく、王宮の夜会以外に出席した事がない。
 緊張がないわけではないが、ヴィンセントもシャーロットも、互いに互いを支えていく為に必要な第一歩と考えているので、気合は十分だった。
「シャーロット様、ドレスの刺繍は、何色に致しましょうか」
 今回の王都への旅には、カーラも同伴していた。
 ハビエルから賜った馬車に、シャーロットとカーラが乗り、周囲をヴィンセント、ロベルト、近習達が取り囲み、全ての宿泊を旅籠で行うゆったりとした旅である。
「そうね…山吹色に映えると言えば、濃紫かしら?あぁ、でも、折角のヴィンセント様のお色だから、他のお色を入れるのも悩ましいわね」
 シャーロットとカーラは、ノーハン領で行った結婚式で着ていたドレスに、新しく刺繍を入れようと考えていた。
 国王に領主夫人として謁見するのに、普段着ているような綿のワンピースと言うわけにはいかない。
 かと言って、何着も仕立てるだけの時間的余裕もない。
 刺繍ならば得意だから、道中で新しく刺繍を入れて、雰囲気を変える事にしたのである。
「ドレスと同系色の刺繍ですか。それもよろしいですね。では、こちらの、落ち着いた金の刺繍糸はいかがでしょう?所々に飾り玉を留めると、より華やかになりますわ」
「そうね。素敵だと思うわ」
 ハビエルは父だが、娘としてのシャーロットは死んだ。
 国王と臣下として顔を合わせる時間は、実質、一分程度だろう。
 それでも、王宮に上がる以上は、失礼のないように服装を整えなければいけない。
 カーラは、ドレスの裾にぐるりと一周、花の模様を刺していく。
 一方で、シャーロットの手元には、ヴィンセントの黒のジャケットがあった。
 こちらも、装飾のないデザインだったものに、襟と裾周りに艶のある黒糸で刺繍を入れていく。
 ドレスもジャケットも、一目見ただけでは地味だが、光が当たれば華やかに見える筈だ。
 ヴィンセントは、ただでさえ目を引く容姿なのだし、これ位、装飾を控えめにしてもいいだろう。
 ヴィンセントが侮られるような事は、妻として絶対に許せないが、同時に、余り人の…女性の目を惹いて欲しくない、と思う。
 そう言うと、カーラは、
「シャーロット様は、本当に旦那様の事がお好きなのですね」
と、揶揄うように笑った。
 ジェラルドの手綱捌きは見事で、馬車の振動が大して気にならない。
 手先が狂う事もなく、移動の長い時間の間、シャーロットとカーラは、黙々と刺繍を進めた。
 十日の後には、素晴らしい作品として、完成したのだった。



「明日は、王宮に上がります」
 王都に到着した一行は、定宿としている宿に腰を落ち着けた。
 厩が裏にあり、獣人族に慣れている事から、代々、バーナディス家の人間が利用している宿なのだと言う。
 他の領主は、王都にも屋敷を持っている者が多い。
 年に何度か王宮に顔を出し、社交期には長期に渡って滞在するからだ。
 バーナディス家は滅多に王宮に上がらないので、これまで不要だったが、ヴィンセントは、他の人族貴族と同じように、もう少し、社交に力を入れるべきだと考えるようになっていた。
「私とシャーロット、従者として、ロベルト、ロビン、カーラに来て貰います」
 シャーロットに説明をした後、ヴィンセントは近習達に顔を向ける。
「そう遠くない内に、王都に別邸を求めようと思う」
「別邸、ですか」
 ロビンが問い返すと、ヴィンセントは深く頷いた。
「これまで、ノーハンでは自領の事だけしていればいい、と考えていた。ロトン卿の件がきっかけの一つではあるが、少し前から、獣人族と人族の関わりを増やす方法はないものか、と思うようになった。一朝一夕に理解が進むものではないだろうが、長い目で見て、人族との交流が進めばいいと思う。その第一歩としての、別邸だ。ナランの事があるから、私がノーハンを長く離れる事は難しいだろうが、ウィルヘルムがいる。王都に出て社交をする機会を増やしたい」
「ですが、頻度が余り多くないのならば、無駄になりませんか?今回のように、宿に宿泊するのではいけないのでしょうか」
「では、領事館のような形にするのはいかがでしょう?」
 話を聞いていたシャーロットが、提案する。
「領事館、ですか?」
「はい。ノーハンは、マハトの中でも特殊な立ち位置にある領です。人族でノーハンに興味を持つ方がいても、情報がない。また、獣人族は、ノーハンを離れると庇護がない。困った時に、気軽に問い合わせられる機関が王都にあれば、心強いのではないかと思います。ノーハンの皆さんが、自領を愛している事は判っているつもりですが、同時に、高等部に進み、人族の知識を求めている方がいらっしゃる事も事実です。彼等は、王都で学びたいと望みながらも、王都での伝手がなく、諦める方もいらっしゃると聞きました」
 シャーロットは言葉を切って、驚いたようにこちらを見つめるヴィンセントの顔を見返した。
「人族の社会を見て、学びたい、と考えている獣人族の皆さんが増え、ノーハンを訪れる人族の人々が増える事もまた、獣人族と人族の交流に欠かせないのではないかと」
「そう…ですね、確かに、そうです」
 獣人族代表として、ヴィンセント自身が社交を行う事も大事だが、平民の交流もまた、大切だろう。
 ヴィンセントは、大きく頷く。
「領事館として常設の機関にすれば、館が無人になる事もないですし、領主館の者であればいつでも宿泊可能にしておけば、王都に来る事も容易くなります」
 宰相閣下に相談してみましょう、と言うと、ヴィンセントはロベルトに命じて、書簡を用意させる。
 ハビエルへの謁見は謁見として、リンギットに領事館の設置に伴う手続きを相談しようと言うのだ。
「ロッテ、有難うございます。よい案を頂きました」
「いいえ。お役に立てたのならば、何よりです。王都に常駐して下さる獣人族の方が、見つかればいいのですが…」
「まずは、募集を掛けてみてから、反応を見て考えましょう」
 人族との積極的な交流は、獣人族の歴史の中で、なかった事だ。
 反発は必至だろう。
 初めてノーハンを出て行った民も、マハトの国王と契約したバーナディス家の先祖も、同じような状況に陥った事は想像に難くない。
 だが、ヴィンセントは、長い目で見て、人族と交流していく事は、獣人族の福利に叶うと考えている。
 ナランとの実情を広く知らしめ、国境の争いに人族の手を借りる事で、彼等に獣人族の価値を理解させる事は、大きな意義がある筈だ。
「試行錯誤しながら、様々な方法を考えていきます。ご協力頂けますか」
「勿論です」



 翌朝。
 ヴィンセントとシャーロットは、刺繍を加えたドレスと礼服をまとい、馬車で王宮に向かった。
 今日は、週に一度の謁見の日。
 謁見の間の玉座にハビエルが座し、挨拶や陳情を聞く日だ。
 従者は控室で待たせて、ヴィンセントとシャーロットも、長い謁見待ちの列に並んだ。
 チラチラと視線が送られるのは、二人の事を見慣れないからだろう。
 今日のヴィンセントは、常ならばスカーフで覆っている頭部を、隠していない。
 近くに寄らなければ、彼の瞳が獣人族のそれであると気づく事もない為、獣人貴族であると気が付いた者は、いないようだった。
「…何方かしら?黒髪に金の瞳で、大層麗しい…」
「隣の女性は奥方か?透き通るように美しい方だな」
「何て逞しい方なの。何処の騎士団に所属されているのかしら…」
「あのように可愛らしい女性を、お見掛けした事がなかったとは…迂闊だ」
 ひそひそと小声ながら、耳のいいヴィンセントには、周囲の声が聞こえてしまう。
 シャーロットが美しいと評価されるのは嬉しい一方で、他の男の目に晒す事が許せない独占欲も掻き立てられる。
 エスコートしているシャーロットの顔を見遣ると、彼女は微笑みを絶やさないままでありながら、雰囲気が何処か固い。
「緊張していますか?」
「そう、ですね…緊張もありますが、ヴィンセント様にご婦人方の視線が向かうのが、ちょっと…」
 語尾を濁すのは、はっきりと、嫉妬している、と言うのが恥ずかしいからだ。
 ヴィンセントは目を丸くした後、破顔した。
「おや、では、互いに互いの評判を聞いて、もどかしい思いをしていたと言う事ですか」
 一瞬、間が空いて、シャーロットがヴィンセントの顔を凝視する。
「有難うございます、嬉しいです。ですが、私には貴女以外は見えておりませんので、ご安心を」
 大きな体躯を屈めて、シャーロットの耳元で囁くと、ポッと頬が赤く染まった。
 そのまま、顔を隠すように俯けてしまったシャーロットをにこにこしながら眺めているうちに、二人の順が回って来る。
「ノーハン領主ヴィンセント・バーナディスと、シャーロット・バーナディスが、ハビエル国王陛下にご挨拶申し上げます」
 玉座にあるハビエルの前で、二人揃って、深く膝を折った。
「バーナディス辺境伯。久しいな。先のナランとの戦いでは、見事な采配を振るったと聞く。よくぞ、退けてくれた」
 シャーロット・バーナディス、と聞いて、美しい女性を鑑賞する目から、王女の疑いのある女性を観察する目にがらりと変わった雰囲気の中、ハビエルは、欠片も動揺を見せずに、ヴィンセントに応える。
「ナランの侵攻は、これまでになく執拗なものでしたが、無事に人的被害なく退ける事が出来ました」
「うむ」
「領内が落ち着いた事もあり、この度、妻を迎えましたので、ご報告に参りました」
 ヴィンセントがシャーロットを紹介するのに合わせて、シャーロットが深く頭を下げた。
 ハビエルは、歓迎するように笑みを浮かべているものの、それは、旧知の者に対するそれよりも固い。
「実にめでたい事であるな。これで、バーナディス辺境伯は一層、領政に邁進される事だろう。バーナディス夫人。ノーハンはマハトの中でも、重要な地だ。ご夫君をよく、支えて欲しい」
「仰せに従います」
 これだけのやり取りだが、彼等がどんな会話を交わすのか、謁見の間にいる人物が全て、一挙手一投足に注目している。
 だが、どれ程に穿った目で見ても、ハビエルとシャーロットの間には、親子の情のようなものは見えない。
 『演技』では片づけられない自然さに、
「やはり、ノーハン領主夫人とシャーロット王女は別人なのでは」
「では、王女は本当に亡くなっているのか」
「いや、王女ご本人であるのは確かだろうが、陛下は決してそれをお認めにはならないと言う事だろう」
と、様々な憶測がヒソヒソを流れるのを、ヴィンセント達は聞こえない振りをして、謁見の間を辞した。
 人族の貴族は、気づいていない。
 ハビエルもシャーロットも、演技等してはいない。
 彼等は確かに親子だが、彼等の間には、十五年と言う実に長い分断の溝が横たわっているのだと言う事を。
 


 謁見の間を辞したヴィンセントは、続いて、宰相であるリンギットに面会の申請を出した。
 出直す事も考えていたが、偶然にも時間が取れたと言う事で、シャーロット共々、リンギットの応接間へと通される。
「リンギット宰相閣下、ご無沙汰しております」
「バーナディス辺境伯、先のナランとの戦いでは、ノーハンには苦労を掛けました」
「ここ数年、頻度が高いのは事実ですが、特に今回は、執拗でした」
 ピチュアの名は伏せ、感染症が持ち込まれた、と告げると、リンギットの顔が目に見えて強張った。
「ナランは、本気で侵攻してくるつもりなのでしょうか」
「ナランにとっても、国境は辺境の地。正直な所、ノーハンで押さえられない程の軍勢を移動させる事が出来るとは思えませんが…何か、企てがないとは言い切れません」
 これまで、ノーハンは国境線を侵したナランの兵を退けるだけだった。
 だが、ナランが全面戦争に持ち込もうとするのであれば、これまでの対応ではいけない。
「ご提案があるのですが」
「何でしょう」
「前回の夜会で、人族貴族の中に、ノーハンがマハトでどのような役割を果たしているのか、ご存知ない方がいらっしゃる事を実感致しました。万が一、ノーハンが敗れれば、マハトの国防はどうなるのか、お考えでない方が余りに多い。そこで、各領から、領兵を少しずつ、ノーハンにお貸し頂きたいのです」
「ふむ?」
「三ヶ月でも、半年でもよい。任期の間、ノーハンの領兵と同じように訓練し、有事の際にはナランとの前線に立って頂く。勿論、戦いですから、命のやり取りになります。ですが、現場を知る事は、兵の慢心を戒め、より己の技量を高める事に繋がりましょう。また、ノーハンとしても、我等、獣人族の技量を正確に知って頂く事が出来れば、有難い」
 リンギットは、ふむ、と腕を組んで頷いた。
「なるほど。伯のおっしゃる事は理に適っておるようですな。確かに、私も、この所の人族貴族の勘違いには、大いに悩まされておった所です。どれだけ口煩く説こうと、人の価値観等、そう簡単には変わらぬもの。上に立つ者から変えねばと思っておったが、ふむ、寧ろ、現場の人間から変えると言うのは、よい手のように思えます。陛下にご相談申し上げましょう」
 リンギットの同意を得る事が出来て、ヴィンセントとシャーロットは、ホッと一息吐く。
「あと、もう一点、ご相談が」
「何でしょうかな」
「先日、ロトン公爵家のフェルディナンド殿が我が領をご訪問なさった事はお聞き及びでしょうか」
「…えぇ。ロトン卿にご報告頂いております」
「シャーロットと婚姻を結ぶに辺り、ノーハンと他領との付き合いについて、検討し直していたのですが」
 シャーロット、と呼び捨てにされているのを聞いて、リンギットは、ちらり、とシャーロットの顔を見た。
 シャーロットが、何も言わずににこりと笑い返したのを見て、リンギットは頬を緩める。
「睦まじいようで、何よりです。大切にして頂いて、シャーロットの両親も一安心しておる事でしょう」
 リンギットは、『シャーロットは遠い縁戚』と言う設定を忠実に守りつつ、実の両親――国王夫妻――を念頭に言葉を掛けた。
「そうであると、よいのですが」
 ヴィンセントもまた、にこやかに返す。
「あぁ、話の腰を折ってしまいましたな。それで、どう検討し直されたのでしょう?」
「ノーハンはもっと、広く開かれるべきだ、と思うに至りました」
「ほぅ?あぁ、そう言えば、今日の伯は、スカーフで頭を隠しておりませんな…獣の耳がないとは、初めて知りました。思い返せば、獣人族の方の真の姿にお目に掛かった事はありません」
「祖を秘す、と言う習慣からですが…ノーハンがマハトの一部となって、もう長い。獣人族と人族の交流を図るにあたって、秘密は一つでも少ない方が良いのでは、と」
「それで、スカーフを?」
「えぇ。勿論、人族への恐れがある者もおりますから、今直ぐ、全員がスカーフを脱ぐ事はないでしょう。ですが、僅かずつでも、溶け込んでいければ、と思うのです」
 ヴィンセントの言葉に、リンギットは頷いた。
「人は誰しも、見慣れぬものに恐れを抱きます。ですが、獣人族が良き隣人である事を真に理解すれば、誤解も減りましょうな」
「そこで、王都に、ノーハンの領事館のような建物を置きたいのです」
「領事館…」
 ヴィンセントが、ちら、とシャーロットを見遣る。
 彼の視線を受けて、シャーロットが言葉を継いだ。
「ノーハンの中にも、王都に出て、人族の知識を学びたい、と考えている方は少なくありません。ですが、獣人族は基本的にノーハンのみで生活しておりますから、王都で何か問題が起きた時に、相談する窓口がございません。わたくしは、ノーハンに実際に住んでみるまで、人族と獣人族の考え方や価値観の違いを知る事はございませんでした。彼等の問題を解決する手掛かりとして、また、ノーハンに興味をお持ちの人族の窓口として、王都で活動する事は出来ないかと考えたのです」
「なるほど…」
 リンギットは、顎を触りながら、何かを考えているように視線を上向かせた。
「確かに、良い案のようですな。ですが、人族の社会に造詣が深く、王都に滞在可能な獣人族の方はおられるのですか?」
「目星はつけております。人族の学校で学びながら、と言った形になるかもしれませんが」
 ウィルヘルムの事だ。
「我々は、長く、ノーハンの地に籠っておりました。それは、必要以上に人族との間に軋轢を生まない為だったのですが、却って、籠っている事での害が大きいように感じるようになっております」
「否定は出来ませんな」
 中途半端にしか知識がないから、必要以上に恐れ、侮る者が出るのだから。
「承知致しました。ノーハン領事館と言う形での設置を許可するよう、貴族議会に進言致します」
「有難うございます」
 まずは、第一歩。
 長い目で見た目標は、人族と獣人族が、共に学び、共に働く社会だ。
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