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「なるほど、吾輩に文句があるもの同士、手を組んだと言うところか? しかし、矢で命を狙うとは……」

 クロノはつけられている気配を感じ取っていた。
 だからこそ泳がせ、仕掛けてくるようであればそのタイミングで一掃しようと考えていた。

 しかし、まさかこの四人が尾行していたとは、そして命を狙ってくるとは……。

 アリアフィーネ同様に呆れた表情を浮かべてしまう。

「うぐ……テメェのせいで、俺たちは……」

「他の冒険者に馬鹿にされるハメに……!」

 体をガクガクと震わせながら、クロノを睨み、恨み言を吐くハリーとマーブ。
 どうやら、あの夜のことが周囲に知れ渡って馬鹿にされる様になったようだ。

「シ、シェリルを返せ……」

「俺たちのモノ――な、仲間なんだぞ……!」

 クラッブとゴイルも、同じように言葉を吐く。

 やはり、二人ともシェリルに固執していたようだ。

 途中で言い直したが、俺たちの〝モノ〟という言葉をクロノは聞き逃さなかった。

 ゆくゆくはシェリルを二人の慰みものにするつもりだったのだろう……そんな憶測がクロノの頭の中に駆け巡る。

「とりあえず、吾輩の命を狙ってきたのは事実だ。殺してやる……のは、まずいか。よし、しばらく眠っていろ」

「え、ちょ、ちょっと待て、何を――あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!?」

 衝撃で身動きが取れないハリーの脚を開くクロノ。

 ハリーは「まさか!?」とでも言いたげな表情で身じろぎするのだが……その途中で悲鳴を上げて、気絶した。

 ハリーの股間に、クロノが蹴りを放ったのだ。

「ご主人様! わたしにもやらせてください! ご主人様の命を狙ったゴミに制裁を加えたいです!」

「む、そうか? 別にいいが……殺すなよ、アリアフィーネ?」

「もちろんです、生き地獄……味あわせちゃいますっ♡」

 アリアフィーネはどこか楽しそうな口調で、マーブの方へとカツカツとブーツを鳴らしながら近づいていく。

「い、嫌だ! た、頼む許して――」

「えいっっ♡」

 恐怖で引きつったマーブの脚の間に、アリアフィーネが踵落としを見舞った。

 何かが破裂したような音とともに……マーブは「~~~~~~~――ッッ!?」と声にならない悲鳴を漏らすと、白目を剥いて気絶した。

「す、すごいですわ! わたくしもやってみたいですの!」

 興奮した声で、戦闘用ハイヒールに包まれた脚を前後に振るシェリル。

「あ、シェリルさんも興味あります? では、わたしが手伝ってあげますね?」

 そう言って、アリアフィーネが、何とか逃げようと身を捩るクラッブとゴイルの方へと歩いていく。

「「潰れちゃえっっ♡♡」」

 ――そんな可愛らしい、二人の美少女エルフの声に続き……。

 クラッブとゴイル二人の……男としての断末魔の悲鳴が迷宮に響き渡るのだった――

☆★☆★☆
新作「妖刀に魅入られしスケルトン ~迷宮を支配し、無敵の軍勢を率いる《最強》の剣魔王~」を投稿しました!
そちらもよろしくお願いいたします!
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