愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径

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第一章

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その事実を地下牢で知った元姫は嘆き悲しみました。令嬢の婚約者で実行犯のひとりだった公爵子息は、令嬢に飲ませた毒薬を入れていた瓶を取り出し中身を口に含んで後を追おうとしました。しかし、残りの毒薬が少なかったため命は助かり、手足の痺れと半身麻痺。そして言語障害が残りました。
彼らは勝手知ったる部屋のために明かりもつけず、ベッドで横になっている女性を確認もせずに多数で押さえつけて毒薬を飲ませたのです。
令嬢には見えたのでしょうか。自らに毒を盛る婚約者の狂気じみた表情を。自らが毒を盛られるのを悪鬼の表情で笑っていた実姉の顔を。
本当に誰も気付かなかったのでしょうか。手足を押さえるために接近した令嬢の顔を、ひとりくらい見ていなかったのでしょうか。あれほど間近にいたはずなのに……
大公子息以外の男性は『魔力封じの腕輪』をつけられ、肉体労働専用の奴隷として奴隷商人に買い取られ、国内外に売り飛ばされました。元姫たち女性も、同じく『魔力封じの腕輪』をつけられて、奴隷商人に買い取られ、国外の娼館や長距離船の娼婦として売られていきました。長距離船では、海が荒れた時に『人身御供』として生きたまま海に投げ込まれます。暴れている『海龍』と呼ばれる魔物たちに人身御供エサを与えて大人しくしてもらうために。そのため、売られた時に薬で思考が壊され、『性処理の道具』として船倉に入れられます。
長距離船に売られた元姫は、十年後に人身御供となり、その生涯を終えられました。実妹を殺した哀しみで、かつての輝きを失っていた元姫にとって、薬で思考を壊されたのは幸せかもしれません。

大魔導師が同行していた理由は、異国へ渡る義妹を心配してでした。普通でも心細いでしょう。それが夫は『新国王』で忙しく、自身は身重なのです。不安で仕方がなかったでしょう。それを分かっていたから、大魔導師が付き添って来たのでした。
王妃が無事に王女を産んだ一年後に、大魔導師は愛する夫の腕の中へ戻っていきました。別に長い間離れていたわけではありません。大魔導師は転移魔法で毎晩アーシュレイ領に帰っていました。大魔導師は某国へ出勤していただけです。
その某国は『王妃殺害未遂事件』が元王族たちの手で引き起こされたこともあり、アシュラン家の属する国の従属国となりました。そして、半独立国と認められて、国の自治やその他は新国王に一任されることになっています。そのため文化の保持は許され、関税は免除され、物価の値段は下がり国民には大いに喜ばれたそうです。

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